- Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163903408
感想・レビュー・書評
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祖父の介護を通じて、ニヒルで無気力だった青年が生きる力を取り戻していく物語。
筋トレのシーンの描写は好き。疾走感があって。真面目に語るようなことじゃない内容を必要以上に真面目に語ることで生まれる面白さ。最近はフィットネスブームだし、AYAさんとか、テストステロン氏の著書なんかも売れている。わたしも筋トレが好きだし、落ち込んだときもトレーニングをすればすぐに気持ちが切り替わって、高揚感を得られる。介護や日常にもやもやした主人公が筋トレに目覚めて覚醒していく、というのはとても共感できるストーリーだった。
ただ全体を通して、文才を主張したいあまりなのか、文章が凝りすぎているように感じて、ちょっと疲れた。読点を用いずに一つの文に情報を詰め込めるだけ詰め込んだ、早口で畳み掛けるようなウーマンラッシュアワースタイルの文章は、ツイッターでよく見かける。言いたいことをまくしたてるように全部とにかく今すぐ言ってやる!という意気込みはきっと、140文字という字数制限がある中でこそその面白さ発揮するのであって、文字数に上限のない小説においてそういう書き方をする必要を、わたしはあんまり感じない。
とはいえ、芥川賞受賞以来、羽田圭介さんのパーソナリティ含めずっと気になっていた作品だから、ついに読めてよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018.10.28読了
☆3
図書館で借りて読んだ。
設定は面白く小説の世界に入りやすかったが、ラストがあっさりしすぎていたように感じた。 -
うーん、、、これが芥川賞なのか。
自分の勉強不足かもしれないが、何が評価されているのかわからない。
体育会系の発想が気にくわないだけなのか。
亜美が最低女みたいに描かれてるのが女性の自分的には解せなかった。 -
オーディオブックで聞きました。
読後に感じたのは「人間ってしぶとい…」ということ。面倒くさいことに、人間は「死にたい」と言うとき、「生きたい」というメッセージを発信しているのだと思う。
さらに面倒くさいことに、だからと言って他人が直接的に相手の人生をどうこうしてあげることはできない。結局は本人の想いの通りに生きていくし、想いを変えるのは本人しかできない。
この本を読んで、そう感じました。 -
主人公建斗は祖父の介護をしつつ、資格取得を目指したり、肉体を鍛えたり、就活に励んでいる。
どこにでもあるような家庭を、羽田さんはク-ルな筆致で描いているが、根底は温かい目をもって見つめている。
読み終えた瞬間、こんな作風もあるのだと感心した。 -
とても、読みやすい芥川賞でした。NHKのドラマを先に見てからの、読了となりました。ドラマでは、女性ボクサーの存在が面白かったのですが、小説では書かれていません。青年の立ち直りの物語なのでしょうが、介護を必要とする祖父の振る舞いの面白さに惹きつけられました。青年の祖父に対する思いと行いは、実際に老人と生活を共にしたものからすると、とても実感の伴ったものでした。