「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610242

感想・レビュー・書評

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  • 刺激的な視点を提供してくれようとしている気はするが、私の読解力が足りないのか、翻訳が良くないのか、文章が頭にあまり入ってこなかった。グラフをもとにドイツの世界における位置づけを説明する部分は伝わった。

  • 第7章の「富裕層に使える国家」が面白かった。その次が第8章の「ユーロが陥落する日」。前半のグルジア/ジョージア問題はあのあたりの地理や背景にもう少し私自身が詳しくなると面白さが増すのではないかと自分の力不足を感じているところ。
    トッド先生は、ほんとにドイツの事嫌いなんじゃないかと思いますが、それ以上にフランスに歯がゆさを感じているのだとよく伝わってきます。あと、日本人がドイツと日本を同一視したり同カテゴリに置いたり、過度に親近感を抱く節があるのはちょっと本来のあり様から外れているよ、という指摘は結構重要だと思っています。
    日本について論じているところが読みたい人は編集後記を先に呼んで参照ページを読むのが便利だと思います。流石文春、その辺のマーケティング解ってますね。

  • フランス人の作者から見ると、やはり問題は天敵ドイツなのでしょう。もちろん、最近のドイツの一人勝ちは日本にいてさえ見えてはいます。でも、周辺諸国がどれくらい虐げられてるのか、それをどう思ってるのか、それとも思ってないのか、その辺までは分からなかった。

  • ドイツが現在EUの中心であり、今後も脅威になることを説いた一冊。

    視点は面白いのだけど、いかんせん翻訳が難しいのか、内容自体が難しいのか、わかりにくかった。

  • ヨーロッパの真の敵はロシアではなく、ドイツだという話。

    また、EUというのは、一握りの金持ちとドイツを独り勝ちさせるためのシステムで、すでにその従僕となっているフランスは、一刻も早く立ち上がるべきだという内容。

    世の常識からすると、びっくりするような話で、著者がフランス人だと聞けば、ああなるほど、ドイツ・アレルギーが嵩じたあげくの世迷言かと思ってしまうが、書いたのがあのエマニュエル・トッドということならば、話は違う。

    ベルリンの壁の崩壊や、アラブの春など、この人類学者の将来予測は、けっこう的中するのである。

    インタビューをまとめたものなので、中身はそう濃くはないが、その分読みやすい。
    刺激的な本である。

  • ほとんどがフランス誌のインタビュー記事なので、ちょっと読みにくいのが難点。

    帯には「圧倒的な5つ星(日経新聞)」ってあるけど、3つぐらいか。

    で、なんだかんだで、だいたいまあまあ言った通りになるやつっているじゃん? あれの欧州版。

  • とりもなおさず首尾一貫している点はすばらしい。
    この人の言っていることは昔から同じで、「フランス(=パリ盆地、田舎は知らん←本当にこんな扱い)では人類学的に『カップルと子ども』の核家族を形成し、子どもは全員平等に扱われる。しかし、家父長的大家族と長子優遇を伝統として刷り込まれているドイツ人(やロシア人や日本人)が、民主主義を真に理解する日はけっして来ない」。当時読んだのは民主主義をテーマとした本だったので、一部の外国人にothersの烙印を押して「おまえらはけして文明人にはなれないよ、ケケケ」と言わんばかりの論調には腹が立つなどというものではなかったが、本書ではだいぶマイルドになっていた——フランス人とは違法駐車を発見しても警察を呼ばず、ネズミ捕りに出くわしたら、対向車線からパッシングしてドライバーに注意を喚起する人種だというのだ(笑 そりゃ確かに「われわれ」とは常識が「違う」し、強いて「同じ」にすることなど不可能だよな。
    そういうチャランポランで個人の自由をこよなく愛するフランス人が、お国のためなら給料切り下げにも甘んじるドイツ人の集団パワーに押されて勝てるわけがない、ヤツらはヤバいんだよ、俺らとおんなじように違法駐車を見逃してくれるだって人類みなきょうだいなんだから☆なんてとんでもないお花畑だよ! というのが本書の主旨である。
    が、本人は再三否定するが…著者個人にあらず、隣人として長年ライヴァルやってきたフランス人としての「ドイツ嫌い」「ドイツ恐怖症」が、やや前面に出ている気がする。著者はロシアにやたら甘いが、同時に反同性愛者法などを制定するロシアが、およそ「フランス流の自由と平等の民主主義」とは相容れない強権国家であることも認めている。それでもロシアを評価するのは、つまるところ「ドイツよりはマシ」だからで、それは「しょせん遠く離れているから」にすぎないのでは? 著者はポーランドやバルト三国を「ロシア嫌いのあまり、世界を滅ぼすドイツの覇権に手を貸す衛星国」とくさすが、かれらのほうこそ「ロシアに比べりゃ遠い(純然たる地理的距離でなく歴史的・文化的なもの)分だけドイツのほうがマシ」と言いたいのでは…? と思われた。
    著者はドイツと同じ箱に日本を入れており、それが少なからず不快(救済不能と切り捨てられているのだから当然だ)だったのだが、訳者あとがきには「アジアにおけるドイツは実は中国であり、我々はむしろ(征服される立場の)フランスに近いのでは」とあって、新たな指摘であるとともに腑に落ちた。そして、さんざん「予防拘禁も必要なナチュラルボーン加害者」と非難されまくったあげく、「実は狼でなくウサギでした、無惨に食い荒らされちゃってください、サーセンwww」で片付けられる己の運命に、つくづく絶望しかなかった。

    2017/8/6〜8/7読了

  • 指摘されているドイツと日本の類似性を知らなかった。
    Todd の「燃え上がるレトリックに騙されてはいけないわけですね...。」と対談者が言うのが象徴的。

  • ギリシャ危機、ウクライナとロシアの紛争などヨーロッパの情勢については、地理的距離からか関心が少ない、情報が少ないというのが実態だろう。その他、ニュースに取り上げられる移民問題、極右政党、政府の過剰債務、貧富の差の拡大とエリート層について一刀両断で解説してくれる。EUを通じてドイツが結果として経済覇権を確立させ、他国を支配しているという。しかもそれは単にドイツだけの問題ではなく類似点を持つ日本に対する問題提起でもあるという。

  • 【作品紹介】
    人口動態から、ソ連崩壊と米国衰退をいち早く予見した歴史家の新たな「予言」の書。冷戦終結とEU統合によって生じた「ドイツ帝国」は、当初もっぱら経済的だったのが、今日ではすでに政治的なものになっている、とトッド氏は指摘します。そしてウクライナ問題で緊張を高めているのも、ロシアではなくドイツで、「ドイツ帝国」がこのまま拡大すれば、いずれアメリカとも衝突しうる、と。インタビュー形式で読みやすく、しかも『悪童日記』の名訳者、堀茂樹さんによる素晴らしい翻訳で読める、日本オリジナル版です。

    【感想】
    読み切るのに2週間以上かかってしまった。。。
    はやりこの手の本は難しく進みが遅い。
    現在のユーロがドイツ中心で周っていてフランスがそれに追随しているとの趣旨は理解できたが、それが世界破滅までにはつながらなかった。
    まだまだ理解が足りていないのか、それ以上は自分で考えろ、なのか。。。

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著者プロフィール

1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。現在はフランス国立人口統計学研究所(INED)所属。家族制度や識字率、出生率などにもとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析する。おもな著書に、『帝国以後』『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』などがある。

「2020年 『エマニュエル・トッドの思考地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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