「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610242

感想・レビュー・書評

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  • ・人口学的指標
    ・家族構造
    等、国家関係や政治的な出来事を見るときに、考えたことのない視点が多く、面白かった。
    ドイツとアメリカは衝突する(してる)のですかね…。

    ただ、私には基礎知識が皆無なので、この人の言うことが妥当なのかどうかは分からないのですが。
    最近になって国際政治に興味を持って少しずつ本を読んだりしているのですが、難しいですね(ひとは見たいものを見て言いたいことを言うものだな、とつくづく思います)。

  •  フランスの研究家のインタビュー集。

     インタビュー集なのでちょっとあっちゃこっちゃ話題がいってるが、なかなかに刺激的な一冊。
     ドイツが旧東側の安価な労働力で経済的な成功を収めたこと、大手の銀行が政治的な決定権を握りつつあることなんかの情報を知っているとギリシャ危機が全く違って見えてくるのは面白い。
     ドイツ人、フランス人、ロシア人。それぞれメンタリティや社会観が全然違うんだなぁ。
     はたしてユーロやEUはどうなるのか。。。

  • パリでのテロを受け、これまで「ドイツ副首相」とまで揶揄され、埋没しがちだった指導力を急速に回復させつつあるオランド大統領。
    本書で展開される主張もこの事件を受けて多少変更されるかもしれないが、著者の根強い「ドイツ嫌い」は揺るがないだろう。

    ドイツは、権威主義的で不平等な文化の国であり、給与水準抑制策をたいした抵抗にも遭わず実施できる国であり、政権交代よりも好んで国民一致を実践する、途轍もない政治的非合理性のポテンシャルが潜んでいる国だとする。

    普通の人であれば、たとえ隣国に不満があっても、その国の長所、たとえば規律の高さや優れた工業力などがあれば、それを渋々ながらも認めるものだが、著者にかかるとその長所の源泉が自国の文化と相容れないと激しい拒絶を示すのだから、まるで取り付く島がない。
    ちなみに、著者の警戒すべき対象国には日本も含まれていて、この他にスウェーデンや、ユダヤ、バスク、カタロニアなどが、驚異的なエネルギーを生み出し得る社会文化として挙げられている。

    著者とすれば、「EUの優等国 = ドイツ」という評価がまず我慢がならないのだろう。
    ふつうヨーロッパの人々が恐れてるのは、ロシアの膨張主義の方だけど、著者はそれを「安定化」と肯定的に評価している。
    クリミアやウクライナをめぐる紛争で擡頭してきているのは、ロシアではなく間違いなくドイツだと考える。

    さらに昨今のドイツの、軍事的コストを負担せず、政治的な発言力を強め、裏切りととられるような反米的でアグレッシブな態度にも違和感を表明する。
    アメリカが真に恐れるべきなのは、ウクライナでの勝利による、ドイツシステムの拡大とロシアの崩壊なのだ、と。

    ドイツの民主主義に対する徹底した不和をどう評価するか意見が別れるところだが、ユーロ危機の実態やEU域内の各国の思惑とパワーバランスの変化など、傾聴に値する指摘も多い。

  • ギリシャ危機はEUを率いるドイツがまねいたもの。
    アメリカさえも制御できなくなっているドイツの戦略的な巨大化に警鐘を鳴らす。

  • 訳し方のおかげで読みにくい。最後の後書きだけで良かったかも。201511

  • そんな目でドイツを見ていなかった。

  • 題名はミスリーディング。フランスのじいさんの面白い話位の位置付けで読んだほうがいいと思います。何しろ切り口が斬新で見たことのない景色を見せてくれる。そういう見方もある、位のスタンスを楽しめる人に。通貨発行権ってのは国家にとって本質でユーロとかバカじゃんとは私も大学の頃から思っていて、それをそのまましゃべったらユーロ国際学生招待イベントのオーディションに落とされたことを思い出した。安い東欧の労働力を軍事負担なしでてにいれたドイツ。とかアメリカの覇権の終わりを認識しないと始まらないとか、楽しい。新生児の死亡率の上昇からソ連の崩壊を予想したトッドさん。必読

  • ロシアに関する分析が、佐藤優氏のロシアに関する分析と重なる部分もあり、読み応えがあった。

  • 著者の最近のインタビューをまとめたもの。
    フランス人として、隣国の再度の台頭に警告を発している。
    ドイツ経済が元々の力に加え、東欧の崩壊を安価な労働力の確保に働き、ユーロの優位性を活かして域内の緒国家を従える形になってきた。アメリカは弱体化して、ドイツを抑えられなくなってきた。
    地勢学的にはロシアと対抗するが、そのうらで中国と結び付きが強くなるのは当然か。

  • いやあ、興味深かった。
    タイトルは刺激的であるが、そのタイトルに負けない中身だった。
    欧州を中心に起きているさまざまことを整理するとこういった見方になるのかという驚きがある。
    ただそこには全く、論理の飛躍はみられず、過去の歴史とドイツ人(特にエリート層)の気質を考えると非常に理解できる。
    ドイツのエリート層は、意識しているのか意識していないかはわからないが、ドイツ人がEUを運営するという立場になったとき、こういった行動をする(しがち)というのも肌感覚でわかる。
    私は、立場上EUをドイツ人を通してみているのだが、そのほか(それも中心的立場のフランス)の国の人からこういう意見が出てくることに驚きを感じたが納得もした。
    EU(全体としての)の悩みも深いな。。。
    ちなみに、アメリカ・ロシア・中国も納得の解説でした。しかし日本には世界的ビジョンないなあ。

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著者プロフィール

1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。現在はフランス国立人口統計学研究所(INED)所属。家族制度や識字率、出生率などにもとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析する。おもな著書に、『帝国以後』『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』などがある。

「2020年 『エマニュエル・トッドの思考地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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