秘太刀馬の骨 (文春文庫 ふ 1-30)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192303

感想・レビュー・書評

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  • 根強い人気の藤沢周平だが、読むのはこの作品が初めて。古書店で見つけて試しに読んでみることに。最初に読むものとしては、この作者の本流からは外れているようにも思うが、じんわりとした感動の伝わってくる作品だった。秘太刀「馬の骨」をめぐる謎解きといった構成がプロットを引っ張っていくあたりは、他の時代小説と変わらない(あまり読んだことはないのだが)ようだが、終章にいたって、これが藤沢作品なのだなと思わせ、納得させられるものがあった。

  • 矢野仁八郎から幻の剣技「馬の骨」を継承した剣客は誰か?半十郎は個性の強い若者銀次郎に同行し、2人で矢野道場の後継ぎおよび高弟たちと会い、真剣勝負を挑んで行き、追求していく。そして意外な人が継承していた。五人の高弟たちのさまざまな人間模様と藩内における派閥の争いの真相解明、その人が誰かを解く推理小説を読む楽しさと剣客小説の楽しみが倍化された傑作です。そして馬の骨を一瞬のうちにたたき斬った「馬の骨」のもうひとつの意味にも著者のアイディアの冴えを感じます。

  • NHKのドラマ(賛否両論でしたが私は好きでした)を視聴後、「原作とはだいぶ違う」と聞いて購入。
    なるほどかなり違う。ドラマはかなり盛って盛って盛りまくったんだなという印象(後半明らかに蝉しぐれ入ってた気もした)。
    小説はまた違った趣で楽しめました。
    伝承者の正体や、ラストはこちらのほうが好みです。
    特にあっけらかんとした〆方がいい。

  • 読んだきっかけ:藤沢周平さんです。最近よく読むようになったなぁ。連れが古本屋で買ったみたい。367円。

    かかった時間:9/26-10/6(11日くらい)

    内容:半十郎と銀次郎が、秘太刀「馬の骨」の使い手を、6人の容疑者?の中から、直接立会いをしながら探す話。
    結構面白かった……なるほど、NHKでドラマになるだけはある。というか、テレビでドラマにしやすそうな構成。

    最後に、馬の骨の使い手があらわれ、なるほど、こいつが犯人か。と思わせておいて。

    最後の「解説」を読んで、違う人が犯人と教えられた。
    気づかなかった…。
    でも、本当に「解説」が正しいのかなぁ。
    そんな犯人ありえるの??

  • 狂気じみて見えた石橋銀次郎が徐々に人間らしい印象になる。「拳割り」では,結構いいやつじゃないと思わせるし,最後も哀れというか,馬鹿というか,案外純情なのかもという気がする。その分,伯父の家老が不気味に。。。

    「解説」の解釈は,最後の段を読んだとき,私もちらりと考えたけど,少々無理があるのでは?

  • 藤沢作品は男女の機微の描き方が見事。
    秘事の内容はともかく、外見の表現から民乃の幸せが伝わって、年長で老人扱いの半左衛門の印象が立ち合いの後でガラッとカッコよく変わってしまう。
    終盤馬の骨の遣い手の正体に一気に迫って加速して読まされた。
    解説には賛同しかねるが、ここぞという時に奮う剣こそ秘剣なら、杉江も杉江なりの秘剣で子どもを救い自分の心の苦しみを断ち切ったのだと思う。

  • 幕末好きにはたまらない要素、歴史小説のダイナミズム、武士の心がしっかり描かれている。秘太刀の継承者が、思いがけない形で明らかになるのがさすがの一言。また秘太刀の継承者探しと、主人公の夫婦の不仲という2つの軸が同時に進行しているのが物語をリアルに、また読者を退屈させないようにしていると思う。それにしても、武士の心ってどこに行っちゃったんだろうな。日本人として、ほんの少しくらいは持ち合わせていたいもの。自戒をこめつつ。

  • ただでさえ他流試合を行わない流派から秘太刀の継承者を探す話。
    ドラマ化されていたようで、映像化されると最後のシーンが勿体なくなりそうですが各弟子たちと戦うところは面白そう

  • 貰い本。
    痛快な時代小説。藤沢らしい7つの物語を満喫!

  • 秘太刀の持ち主を捜すというサスペンス風味がよい。思わせぶりで、多重解釈できそうなラストもよい。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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