大地の子 四 (文春文庫 や 22-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167556044

感想・レビュー・書評

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  • 恐るべし中国文化大革命!!

    民族って、宗教って、なんでこんなに
    憎みあうの???

    うらみは3代続くんですねーー。
    でもうらみをとかすのは結局人情だったりするんだよ。

    海外に暮らす友人はたいてい、
    「あなたはあなたの国が私の国に行った行為について、どう謝罪しますか!?」とか、
    まじで聞かれるという。

    日本人、真っ白。無知も罪ですよ。
    読みなさい!!

  • ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
    そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
    お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。

    出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
    しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。

    1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。

    悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。

    そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。
    日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。
    広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。

  • ひたすら心に重く、戦争への怒りでいっぱいで、読むのがつらかったです
    これが今からそう遠くない昔のこととは。

    運命の過酷さを受け入れられない、納得できないと思いながら読み続け、最後の最後でもう全身に衝撃なほどの納得と涙が
    この世から戦争がなくならない限り、今もどこかの紛争地で同じような人たちがいるかと思うと、本当につらいです。

  • 前半の戦争及び日本人への待遇、また日本軍の行為、えん罪のための囚人描写など大変につらい内容だったが、近代から現代への中国の発展へ続く鉄鋼の製造の様子は、新しい中国へ、人々の暮らしが豊になりそうな復興を予期する内容。

    主人公が肉親との逢瀬を果たすも、それがまたもやスパイ扱いされるなど、過酷な運命は続くが、戦後を生き抜いた強い魂が広大な土地ではぐくまれ、またさらに生きていくという決心は壮大でよい終わりだった。

  • 以前に一度読んでいて、再読だったが今回の方が読んでいて辛く感じた。
    解説にあった著者の「戦争は個人を虐殺するのです」という言葉が印象に残った。

  • 山崎豊子『大地の子』文春文庫 読了。中国残留孤児の半生を描く大河小説。国共内戦や文革の嵐を背景にその出自に翻弄される。養父はじめ思い溢れた周囲に恵まれ、中日共同の製鉄所建設プロジェクトに携わり、実父との運命的な再会を果たす。戦争孤児として生き別れた妹の境遇が衝撃的。まさに戦禍だ。

  • 昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。

    “日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ”
    文中このような言葉がでてくるが、一方で「大地の子」を読むと、後の時代の担う責任、贖罪というものをいやがうえにも考えさせられる。

    大河映画のエンドロールのように表題が語られる最終頁を読み終えたのは終戦記念日の翌日でした。

  • いつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。
    戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう、不利を克服し持ち前の熱心な取り組みで優秀な社会人に成長する。
    幼少からの体験や生活は中国そのもので、痰の様に吐き捨てたい経験も中国なんだろう。
    だから主人公はあんな事があっても中国から逃げない。
    あんな事も自分も中国の一部だからなんだな。
    月並みだけど本当に今のこの時代である事に感謝する。

  • 陸一心と松本耕次を引き合わせ親子と認識させたのはあつ子の死だった。戦争とそのあとの日中間の軋轢に苦しめられる戦争犠牲孤児とその家族。過去の歴史について深く考えさせられる作品。

  • すごい考えさせられる内容だった。
    文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。

    最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。
    すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。
    中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。

    ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事実を基にした話だと知り、多くの人が苦しんだ過去が日本と中国にあったことを知った。
    戦争孤児という言葉は聞いたことはあったけど、どういう意味かもほとんど知らなかった。その戦争孤児について深く書かれていて、日本が犯した罪について知った。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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