センセイの鞄 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 10590
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167631031

感想・レビュー・書評

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  • あっけない終わり方で、でもそれが人生なんだろうなと思った。

  • 最初、この本を読み始めたとき、センセイの話の内容や言葉の遣い方など、難しい表現が多く何を読んでいるんだろうとただ文字を読んでいました。

    が、次第にツキコさんとセンセイの会話や間柄が、読んでいていつの間にか当たり前のように馴染んできて、最後には二人に愛着が湧いていて、わかっていながら読み進めるのが辛く、数ページを大切に慎重に読みました。

    まだ余韻で心が熱い感じがします。
    このお話の日常と愛情が凄く上手く描けていて、読んでいても知らぬ間にゆっくりと、自分の中に浸透していました。素敵なお話でした。

  • センセイとツキコさんの温かく愛のあるつながりがとても良かった。年齢関係なくこんな出会いをしてみたい。物語りの温度感や時の流れ方が心地良く読み始めると止まらなかった。

  • 好きな本
    物語はちゃんと進むし日常の感じが面白い
    大人な関係が素敵だった

  • ブロック塀で囲まれた古い民家の狭い庭の匂いのする恋愛小説

  • 今回の読書会でお借りしてきた本その2。

    タイトルは知っていたけど未読だったこちら。何となく老年の元教師と妙齢の教え子の心温まる交流の話だと勝手に思っていた。

    5章目(?)のキノコ狩りその2ぐらいまではまあまあその印象であってるな、と思ってたんだけど、9章目の花見ぐらいでわずかずつではあるけれど、私にとっては思いがけない展開へ進みはじめる。

    これは賛否分かれるところじゃないかなー。少なくとも私はこのあたりから違和感を覚えて、最終章の手前までどことなく残念な気分で読んでいた。
    それはそこまでの2人の関係性がとても素敵だったので。

    ただ最後の最後はそうなるだろうとわかっていたけどやはり泣いちゃったな。
    たぶん主人公のツキ子さん以上に喪失感が凄かった。
    それまでの、丁寧に少しずつ関係性を進めるエピソードの積み重ねがめちゃくちゃ効いていると思う。

    読み終えて、やはり細かな違和感は拭えないけど、繊細な物語の運びはやはり秀逸。登場する食べ物がなんだかやたらと美味しそうで、汽車土瓶、卸金や内田百閒など小道具(?)の散りばめかたも粋だなあと思った。
    正直ちょっとファンタジー入ってるなあ、とか、読者への迎合?と穿った感じ方もしてしまったんだけど(たぶんこれは単純に私の性格が悪い)
    1章ずつゆっくり読むのがこの数日とても楽しかった。
    結末を知った状態でもう一度読み返してみると、また印象は変わりそうな気がする。




  • 描写がとてもうまく、読んでいて温度や匂いを感じられる。「先生」でも「せんせい」でもなく「センセイ」とカタカナで呼ぶのもとてもしっくりとくる。

    大きな事件は起こらないけれど、日常にある些細な幸せって、こういうことなんだろうな。大人の男女の寄り添い方が優しくて良かった。

    映画も悪くなかったけれど、映画の前に原作を読んでいて良かったと思える作品。
    再読しても、やっぱり素敵な作品でした。

  • 寒さでかじかんだ手を、両手でそっと包んで温めてくれるような本だった。カイロよりも熱燗よりも温かいその手の熱を、なんだか泣き出したくなるような気持ちで感じていた。

    ひとりは、気楽で、自由で、ときどき心細い。
    ひとりを愉しんでいたはずなのに、ひとりよりも居心地の良い誰かの隣を見つけてしまったら、もう前のわたしには戻れないのだと知る。それは喜びではなく絶望だ。もしその相手がいなくなってしまったら、その時わたしはどうなるのだろう。

    「一度出会ったら、人は人をうしなわない」と、以前読んだ本の主人公は言っていた。すぎたことだけが、確実に自分のものであると。

    目を閉じて考える。あなたはわたしの内側に確かに存在している。あなただったらどうするか、あなただったら何と言うか、日々あなたの存在が私を生かす。

    あなたが隣に、いなくても。

  • 恋愛文学と知らず手に取ったのですが、
    センセイとツキコの会話、居酒屋で季節の料理と酒を楽しむ描写に、引き込まれました。
    料理やお酒を嗜む2人の様子につられ、私も今日は飲もうと日本酒を飲むこともしばしば…

    「梅雨の雷」の章で、ツキコが自分のことを「時間と仲良くできない質なのかもしれない」と表現する文が、とても刺さりました。大人なのに少女のような幼さを併せ持つツキコを表す言葉に、胸がキュッとしました。そんなツキコを背伸びさせずいさせてくれたのが、センセイだったのですね。
    とても優しい人たちの小説でした、良かったです。

  • いくつになっても変わらない物がある。それぞれの歳で思う事がある。人間見参!朝ドラのパクリですが…。人間として産まれて良かったー。

    • じゅんさんさん
      いくつになっても変わらない物がある。それぞれの歳で思う事がある。人間見参!朝ドラのパクリですが…。人間として産まれて良かった。
      いくつになっても変わらない物がある。それぞれの歳で思う事がある。人間見参!朝ドラのパクリですが…。人間として産まれて良かった。
      2022/02/12
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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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