武士道シックスティーン (文春文庫 ほ 15-1)

著者 :
  • 文藝春秋
4.10
  • (909)
  • (1064)
  • (471)
  • (69)
  • (12)
本棚登録 : 7124
感想 : 830
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167780012

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「青春小説 おすすめ」とかで検索するとヒットするので、どんなものかと思い購入。

    これぞエンタメ作品という感じで非常によかった。中高生はもちろんのこと、大人が読んでも十分に楽しむことができると思った。

    まず、文章がよみやすかった。
    本作はいわゆる一人称目線で、(ぼく、わたし、などの主語で語られる)小説だとよく

    『あたしは竹刀を強く握りしめながら相手をにらみつけた』

    のように、登場人物たちの目をかりて「状況を説明する文」があるのだけど、本作はそういった文がほとんどない。主人公の独白と登場人物たちのセリフだけでうまいこと状況を説明してくれるので、小説に慣れていない人でも気軽に読めると思う。

    次にストーリー展開がよかった。簡単にいってしま少年漫画的なアツい展開が、いい。

    「剣道の強豪である主人公が、(ちなみに全国二位。一位じゃないところもいい)ノーマークの無名校の選手に破れ、進学先の高校で今度は二人が一緒に戦う」

    剣道一筋だった主人公が、悩みながらも仲間たちの交流を経て少しずつ変わっていく、素晴らしい青春小説でした。

  • 遅ればせながら
    冒頭、武士すぎて笑っちゃったけど。良い。すごく良い。
    スルスル読めた。早速セブンティーンにうつります

  • こりゃあ、いい❗️
    純粋に青春小説かとおもいきや、ちょっと深い部分もあり、でもストーリーはテンポがあって
    面白い、とは聞いてたけどほんと、いい❗️
    さぁセブンティーン読もっと

  • 爽快感あふれる小説であった。

    天才肌と超努力家。
    比べることにしか価値を見出さない少女と、比べることに価値を見出せない少女。

    似ていないようで似ている二人の、青春。

    涙もアツさもそこそこに、程よく盛り上がり、程よく終わる。
    すべては続編のために。

  • 私は運動が苦手で、スポーツものは今まであまり読まなかったのだが、次女が高校で剣道をしていたので、こういうのもちょっと読んでみる気になった。


    『武士道シックスティーン』 誉田哲也 (文春文庫)


    16歳高校生、剣道少女二人の、汗と涙と笑い(多め)の青春小説である。


    全中二位の実力を持つ磯山香織は、中学最後の試合で無名の選手に負けてしまう。
    相手は、今回の大会で剣道人生初勝利という西荻早苗。
    そして春。
    二人は同じ高校の剣道部で再会する。


    香織は、宮本武蔵を心の師と仰ぐ熱血剣道少女。
    3歳から剣道を始めた剣道エリートだ。
    自分を兵法者だと言い、兵法の本質は斬るか斬られるか、それが剣の道だと言い切る。

    早苗は小さい頃から日本舞踊を習っていたが、中学に日舞の部活がないため、立ってやる和風のもの、というだけの理由で剣道を選んだという、勝ち負けにこだわりのない、趙マイペースでおっとりした女の子だ。

    これは、こんな対照的な二人が、互いにぶつかり合い、影響を与え合いながら、剣道を通して成長していく物語なのだ。

    ハラハラさせられつつもうるうるしたり、もう最後らへんなんか、武士道を極めてやるぜベイベーみたいなことになっていて、こちらまで楽しくなってくる。


    一章ずつ交替のモノローグは、互いを客観的に見ることができ、物語の風通しがいい。
    剛の香織、柔の早苗と、中身も対照的だが、タイトルも、香織が「気剣体」とか「愚考録」とかカタいのに対して、早苗のは、「呼び捨ては苦手かも」とか「手を踏まれました」とか、ゆるゆるで面白い。


    それにしても、香織のキャラのまあ濃いこと(笑)
    読み始めてすぐ、これはコメディーなのか?と思った。
    笑ってしまうほどデフォルメされた熱血ぶりに、やっぱりギャグテイストな話なんだよね、そう思って読んでいいんだよね、と方向性を決められないまま読み進む。

    しかし物語は、途中から意外な深みへと舵を切り、香織は、痛々しいほど心をむき出しにした等身大の16歳の女の子になっていくのだ。
    ここら辺から、ぐんと身近に彼女たちを引き寄せて読めるようになる。


    難攻不落と見えた鉄の心は本当はとても脆く、香織は、自分が追いかけていたはずの剣道から追われるように逃げ、答えの出ない問いを自らに繰り返す。
    香織の性格のなせる業か、この煮詰まり具合が半端ない。
    けれども、早苗の章で早苗から見た香織の苦悩を描くことで不思議な安心感が生まれ、この二人ならきっと大丈夫だと読んでいて思えてくる。


    この物語は、彼女たちの周りの大人がいい人だらけだ。
    けれどもクセは強い。
    そこが面白い。

    たつじいが、武蔵の『五輪の書』のことを、「長嶋の、ビューときてバシンと打つ、スーッとくればガン、ってのと大差ない」と評しているのが、どっちに対して失礼なのか分からなくて、可笑しかった。


    香織、早苗、両方の父と娘の関係が描かれているのもいいなと思った。
    母ではなく父。

    剣道という武士道の先にあるものが、たぶん彼女たちにとって、父親的なものに繋がるんじゃないだろうか。
    娘にとってお父さんは、一生理解はできないし、越える対象でもないが、ずっと先にある何かとても大きなものなのだ。
    この二人の父娘関係を見ていてそう思った。


    世の為を思い、他人を敬い、精進を怠らない、それが武士道であると香織の父は言った。
    さすがにカタい。

    一方で、メールの絵文字の使い方が変な(文中に突然ペンギンとか)早苗の父は、好きなものに出会えたことを喜ばなくちゃいけないよと言う。
    それを幸せだと思えたなら勝負は怖くなくなる、と。


    香織も早苗も、自分の力を自分の成長のために使える環境にいる。
    そして、彼女たちは、そのことに自分で気付いていく。

    香織が、たくさんの人の支えがあってこそ自分が剣道をやっていけるのだと気付くシーン。
    感動します。
    ありきたりかもしれないけれど、どんなことにも当てはまる、心の基本だから。


    世の中(社会)に振り回されたり、潰されたりすることなく、高校生がまっとうに成長できる。
    こういう青春小説って、真っ直ぐでいいな。

    それにしても、体育会系と文化系の中間みたいな不思議な魅力のあるスポーツですねぇ、剣道って。

  • 高校受験の塾に通っていた時、出題された作品。
    もちろん、内容は切り取られたものだったけれど、あっという間に引き込まれて、翌日自転車を飛ばして本屋に買いに行った思い出の作品。
    作者の誉田哲也さんはストロベリーナイトで有名だが、この作品は全く毛色が違う。
    相反する二人の主人公という、今まで幾度となく使われてきた設定だが、この作品の二人は本当に生きていて、ページをめくるたびに新鮮だ。
    剣道を通して、二人の関係性や考え方が変わっていくのがただただ胸を動かす。
    とても楽しいが、どこか儚い二人の旅路を丁寧に紡いでいくこの作品を是非とも手に取って欲しい。

  • 『独りでは生きる意味を見出だせない』
    ・宮本武蔵の五輪書をガチ読みする剣道部の現代JK
    ・日本舞踊出身の初心者だがなぜか強い剣道部JK
    誉田哲也さん。ホラサス特別賞なのにゆるふわほっこりさせられて感謝。

  • 爽やかな青春部活物語。序盤の磯山は割とヤバかった

  • ラスト50ページで一本取られた。

  • 最高に面白いシスターフッド小説。
    こういう女の子同士の友情やライバル関係を男性が書くの初めて読んだ。めちゃくちゃいい。

全830件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

誉田哲也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×