氷平線 (文春文庫 さ 56-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167836016

感想・レビュー・書評

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  • もと釧路の住人として、北大通の閑散とした風景と霧に覆われた寒い夏を思い出しながら読んだ。作品には賢い女も愚かな女も描かれているが、いずれも重い人生を背負っている。道東はどんなに明るい夏の日でさえも夕方は涼しくなって、厳しい冬がいずれくるのを感じさせる場所である。そんな舞台が彼女たちの生き様に凄みを加えている。
    しかし、やっぱり釧路は暗い。こういう風にしか描けない気がする。

  • 行き場のないオトナの恋愛って、道東の曇り空がよく似合う。
    引き合いに出しては、失礼かもしれないが、桜庭一樹さんの「私の男」も、こんな読後感。
    官能的だけど、イヤらしくない。人物に感情が存在するから。

    行き場のない感情と、うまく同居していくのが生きるということだと、この本に教えてもらったような感覚。

    決して、晴れ晴れはしてないけれど、落ちる印象もなく、上手い書き手。

  • 閉鎖的な北の大地にいたらこんな恋、こんな生き方が当たり前になるのだろうか。
    胸が苦しくなる。
    ーーー
    真っ白に海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再会した男と女の凄烈な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。

  • 2022.07.27 図書館

  • 桜木紫乃の初期の作品。らしい作品。

  • オホーツク海側に住む人々の短編集。
    道東の寒々しさに加えて過疎地ならではの感じがいかにもで。

  • 北海道在住者としては、周りの環境に同感する。
    同世代の著者の頑張りを讃えたい。

  • 短編集だけど、話の構成は全部同じだから
    それぞれの主人公がどう考え
    物語がどう展開していくのかが
    3つめの話あたりから分かってきてしまう

    苦しみ、憎しみ、欲望、絶望


    後味 綺麗に読めるのは 霧繭

  • 2017年5月25日

  • ホテルローヤルのほうが色艶があって心に染みたけども、華やかさのないシックな作風はすごく好き。文章に初々しさを感じた。夏の稜線がお気に入り。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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