空色勾玉 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931667

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃に読んでいたシリーズ。
    私が水色や日本的なものが好きなのは、たぶんこの作品に大きく影響を受けてるのだと思う。

    またしばらくして読んでみたら、また新鮮だった。
    当時印象に残っていたフレーズが見つかったり、でも意外と話の筋は覚えていなかったりして面白かった。

    世界観はとてつもなく好きだけど、もうちょっと心理描写が複雑で淡くてもいいかなと思った。そこは登場人物が10代だし、たぶん対象年齢も低いからしょうがないのだと思うのだけど、そこに物足りなさを感じたり。

  • 【レビュー】日本古典への興味を呼び醒ますであろう傑作。
    読み手は瞬く間に作者の創り出す日本神話の世界へと引き込まれ、等身大の少女として、その圧倒的なスケールの世界の真の姿へ迫っていく。
    あの無味乾燥とも感じてしまいがちな「古事記」をベースに、なんと魅力の溢れた世界を創造してしまったことか。そして、日本の自然美への描写、引用がなんと素晴らしいことか。

  • 荻原さんの書くファンタジーは、やはり私にとっては特別な存在だ、
    という実感をあらたにした読書体験だった。

    初読は、中学生の頃、学校の図書館で。
    司書の先生に「あなた絶対好きだと思うわ」といわれて手に取り、
    あっという間に中の世界に引き込まれ、夢中になった本。

    それから時間が経つことはや何年、なんと文庫化されとるやないか!!
    約10年ぶりの勾玉体験は、期待を裏切らず楽しいものだった。

    読み終わって思ったのは、
    「好きなものの根っこって時間が経っても変わらないんだなぁ・・・」
    ということ。
    初めて手に取った14歳の時と同じように、
    否応なしに物語の中にぐいぐい引きずり込まれていた。
    自分の意思とは関係なく翻弄される狭也の行く末に気をもんだり、
    常識が通じない稚羽矢の行動にハラハラさせられたりしていた。

    荻原作品のヒロインは、例外なく皆とてつもなく強い。
    その強さは本人が何か強大な力を持っているとか、
    選ばれた特別な存在であるとか、
    そういう表面的なところに拠っているのではなく、
    彼女たちの心の中、「芯」の強さから来ている。
    自分の意思をねじ曲げようとするものに負けたくないという気持ち、
    誰かを守りたいという思い、
    そういったものは全て彼女たちの内面から生まれ出る。

    単に力があるからじゃなく、
    そのことに付随する責任や障害も飲み込んで、
    自分と自分の周りの幸せのためにいっしょうけんめい生きているから、
    彼女たちは強く、そして魅力的なんだと思う。

  • 登場する人物が魅力的で、自由に動き回っていて、最後まで楽しく読める。理由はいろいろあげられそうだが、ひとつ選ぶなら、神々の世界である神話と地続きに私たちの世界が語られているところ、実在と非実在との間を行き来する自由さが面白い。

    つまりファンタジーだが、一方では神話という世界に方足を突っ込んでいて、にもかかわらず、その神話の世界は私たちの知る日常の世界と質的に同じであり、確実に私たちに繋がっている。
    たとえば神が降臨することが人と同じように肉体をもってやってくることとして描かれていて、神という異常なものが唐突に人間世界に入り込んでまま馴染んでいる。横を見ると神、みたいな状況がふつうなのだ。

    死の国も、天の国も、いまの私には実在しない。けれど、この物語の中ではどちらも一部の人間にとっては日常世界と同じように実在する。彼らは私たちに理解可能な仕方でその間を行き来し、やりとりをする。そういう世界が存在することではなく、むしろ、そういう世界によって何かが語られているのだということが、面白いのだと思う。ありえないと思えるものが、ありえる仕方でつながれていて、語られるということ。そしてそれが、とても身近なものとして理解できるということ。

    でも、それよりもこの本を読むと、いつも、創作ということと、物語ということの、基本に思いが至ってはっとする。たとえ存在しない世界が描かれていたとしても、そこにあるのは可能だったはずの私たちの姿であり、だからこそ、彼らの心の動きや行動に、私は心を動かされるのだということに。

    人が丁寧に描かれるということ。そして彼らが困難を乗り越えるということ。嘆き、笑うということ。それがまるで存在するかのように感じられること。彼らがとなりにいるみたいにみえるから、私はその笑顔に心がほぐされる。作者が人のあり様をとてもいつくしんでいるのだということが読みとれるから、私はこの本が好きなのだ。

  •  何度読んでもすばらしい作品(まだ2度目だけど)。
     私は科戸王が好きだ。高校生のときに読んだときは、科戸王の扱いがヒドいなぁと思っていたけど、大人になった今ではとても程よい感じで描かれていたのだなぁと思った。大人になったら鳥彦も好きだと思った。あいつやりよる。
     荻原さんの、柔らかくしなやかなのに崩れていない文章がすごく好きだ。大人になっても読めるのは、言葉にいいわけやごまかしがないからだと思った。世界の描き方に過不足がない。説明くささもない。そういうところが、本当にすばらしい。

  • RDGと西の善き魔女を辿り原点にやって来ました

    神話世界のお話です。主人公の女の子の牽引力と行動力がすさまじいです。ここまで壮大なことをしておきながら、最後は一人の女の子の話に戻って来る手際がすごいなと思いながら読み終えました。

    けど、現代の神社の存在はなんなんだ…?と思ったわたしは、日本の神話の知識が足りてないんでしょう。こちらも知りたくなりました。

  • 主人公の純粋さ、周りを引っ張っていく強さが良かったです!

  • ドキドキが止まらない。主人公大好き。

  • あとがきが良かった
    神という存在(不死)としての心理描写が面白いと思ったが、もう少しこの部分を書き込んでも面白いかなと思った…でも足りないかなと思わせるくらいがちょうどいいのかも

  • 自分が読みたいものを自分で書く
    という、後書きの言葉(csルイスの言葉に影響を受けての発言)に、なるほどと思った。
    私は、日本神話に着想を得た話が好きで、小説や漫画をいくつか読んでいますが、中でも空色勾玉はおもしろかっ

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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