それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255004853

感想・レビュー・書評

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  • 予約して2ヶ月。やっと手元に。受付で「予約している方がいるので延滞はしないよう」言われた。松本図書館、この本あと10冊くらい置け!…さて何で昔の人は戦争したんでしょうね。教えてくれないから自分で読むわ

  • 2007年の年末から翌年のお正月にかけて五日間にわたって中高生に対して行われた講義をもとに書かれた日清戦争から太平洋戦争までの日本近現代史本。

    日清戦争からの日本の状況を幅広い視野で解説される内容は歴史を点でしかみない暗記モノとして教育では伝わらない面白さがあった。
    日本に限らず、軍事的な内容に限らず、政治的な内容に限らず、時には当事者の内面にまで踏み込むほど幅広い解説は点から線、線から面へと理解が深まるようでこれほど読んでて楽しいと感じた近現代史本は今までなかった。

  • 「類推され想起され対比される歴史的な事例が、若い人の頭や心にどれだけ豊かに蓄積されファイリングされているかが決定的に大事なことだと私は思います」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      また、そうなりつつあります。そんな風に思ってない人が大半でしょうけど。。。
      また、そうなりつつあります。そんな風に思ってない人が大半でしょうけど。。。
      2014/04/05
    • mayaguraさん
      完全にそうですね。「類推され想起され対比される歴史的な事例を、若い人の頭や心に豊かに蓄積しファイリングする」ことを怠ってきたツケがドカンとま...
      完全にそうですね。「類推され想起され対比される歴史的な事例を、若い人の頭や心に豊かに蓄積しファイリングする」ことを怠ってきたツケがドカンとまわってきている気がします。
      2014/04/08
  • 本書は、加藤さんが進学校の、それも歴史好きな高校生に、日本が日清戦争から太平洋戦争までつきすすんでいく過程を直接講義したものをまとめたものであるが、加藤さんも言うように、中高生だけでなく中高年が読んでも十分面白い。選挙権の拡大を含め、戦争によってなにが変わるのか。歴史のダイナミズム、面白さへの興味をかき立てる本である。本書を読んでぼくは高校時代、和歌森太郎という歴史家の『よくわかる日本史』?という参考書を思い起こした。(当時の歴史の先生は石母田正の『日本史概説』を使って授業をしていた。だから、ぼくもテキストと平行してそれを読んでいた)加藤さんは、かつての日本と中国との関係を侵略・被侵略ではなく、実は互いに競い合った関係としてみるべきだという。それは、当時の国際環境が大きく関係していて、欧米列強のみならず、ロシア、中国もこの国際環境のなかでどことくっついて、国力を高めていくかを争ったのである。それは時々刻々変わっていく。たとえば、上海事変が起こったころ、ドイツは中国を大きく支援していたし、日本とロシアも手を組んだり離れたりしている。日本の大陸進出はある意味、日本の安全保障をどこにおくかという歴史であって、最後は日ソ戦、日米戦に備えてどこを確保しておくかという歴史であった。日本は途中から東亜新秩序なるものを持ち出すが、当初は遠い展望もないままずるずる中国へ深く入り込んでいったのである。逆に蒋介石などは、日中戦争にアメリカ、ソ連が入り込んでくるのを我慢して待ち続けた。太平洋戦争が起こったとき、日本人はそれまでの閉塞感を打ち破ったと思う人が多かったが、蒋介石もまた、やったと思ったのである。本書は歴史の大きな流れを書くことが主眼であるから、細かなことや、あれ途中が抜けていると思うところもあった。上海事変では、国民党の軍隊が予想外に強かったことが描かれているが、ここでの犠牲がのちの南京戦での無差別殺戮につながっていったことははっきりとは語られていない。本書では、また、歴史の節目節目で流れをとめようとした人々を多くとりあげていて、それが本書に厚みを持たしている。さらに、日本が中国に戦争をしかけた際、宣戦布告をせず、これを事変と呼んだのは、戦争とすると中立国のアメリカから武器、燃料を買えないといった各種の条約にも目配りしているのも面白い。日本の大陸進出、ロシアとの確執を描く何枚もの地図も効果的である。

  • 日本史は詳しくないです。
    でも、自国の歴史や文化を知らずにこの狭くなった世界でビジネスをし、友人を作り、生活をしていくのはおろかです。
    歴史は書く人の意図によって「事実」と思われていることが違って見えます。
    全てを知ることはできないし、知ったことが中立的な「事実」といいきれるほしょうはどこにもないですが、知らないだけでは済まされない。ましてやいっぱしの大人なら。
    若い時にこういった課外授業で歴史の裏に潜む登場人物の思いや当時の空気を知り、考える機会があれば日本からもっと世界と渡り合える人物をたくさん輩出できると思う。

  • やはり買ってしまった。パラパラ見てるんだけど、これは予想以上に近現代を濃密に解説している。若い方々にこそ読んでいただきたいし、おかしなこと言ってるお年寄りにも読んでいただきたい。歴史に学ぶとはこういうことにゃん。

  • 久しぶりに本読んだ。今も15年前の報告書読みながら、資料作ってた身からすれば、教訓は多いです。次は法学部出身でないから知らなかったけど、長谷部先生の憲法論を読まねば!笑
    「歴史は教訓を教える。しかしそれが人類に災厄をもたらすことも…」

  • 授業を本にしただけあって、非常に読みやすい。
    何故、日本が戦争をしたのかわかりやすく説明されている。
    日清戦争から大陸を中心に日本を取り巻く情勢が開設されている。

  • いくら世界史選択だったからと言って、自分は本当に日本近代史を知らないなぁ、ということが分かった(苦笑)。

    歴史研究部所属とはいえ、中高生相手の講義とはおもえない内容の濃さ!

  • 東大の文学部教授が中高一貫校の歴史研究部の学生にしたレクチャーをまとめたもの。五つの戦争(日清、日露、第一次世界、日中、第二次)へいたる経緯をわかりやすく解説している。因果関係を追い思考していく歴史学の面白さを若者に伝える本書。若者向けのこの手の本には「戦争?悲惨でしょ。もうしません!」で思考停止してしまっているものも少なくないのでよくなってみえる。ただ本書も後半は思考が感情に引っ張られているように思えなくもない。

    世間は松岡洋右につらく当たるのが一般的だが、著者はそこがずいぶんと甘い。そういう見方もおもしろいと思った。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授

「2023年 『「戦前歴史学」のアリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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