- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255004853
感想・レビュー・書評
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NHK教育のさかのぼり日本史に触発されて読んでみた。
いままで自分が触れたことがなかった視点。大変興味深かった。この先生の授業を取りたいものだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり中国寄りな内容
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中高生への特別講義を本にしたもの。また、この中高生たちがなんとも賢い。
まず戦争というものが持つ重み、政治的インパクトを確認している。大量の犠牲をともなう総力戦においては、国民を戦争へ向けて統合する国家目標や、犠牲者の弔いが必要になる(日比谷焼打事件が教科書で出てくる例か。本書でも満洲への執着の要因として日露戦争の犠牲があげられる)。さらに、戦争は国家間において、相手の国家の憲法(またはそれに類する大事な主権とか社会契約)への攻撃という形をとるとするルソーの説を紹介する。
第一次大戦参戦時に、英米から太平洋にまでは出ないように釘を刺されていた。これが野党に知られることによって、主権侵害であるとして国会での政争ネタになってしまう。のちの二十一か条要求などの対中政策において、この記憶が縛りになって譲歩がしにくくなる。民主主義ゆえに好戦的、強気な言論が好まれて、冷静な外交ができなくなってしまう。一方、アメリカでも終戦後にウィルソンの対日妥協が国会でたたかれて、それを知った日本側は衝撃を受ける。そもそも外交とは妥協であろうに。オープンな議論も時と内容によると言うことか。いまにも通じるだろう。
満洲事変時のリットン調査団については、中国よりだったとばかり思っていたが日本の経済的利益には帝国主義のお仲間諸国はけっこう配慮していたようだ。しかし日本の思惑との間にずれがあったために連盟脱退までつながっていってしまう。この段階ではどうにかできる余地が充分あったように読める。
陸軍、とくに皇道派が貧しい民衆の声を拾い上げていたとも。一定額以上の納税者にしか選挙権がないので政党は貧困層むけの政策には力が全然はいらない。兵隊にとられるよな貧しい農家層は軍に期待する。
海軍軍人である水野廣徳の日本には戦争をする資格がないとの議論。資源がないので、いくら局所戦で勝っても総力戦はできない。通商関係の維持に専念すべきと。当然この議論はまったく受け入れられなかったそうだが、先見性がある。 -
・「govenrment of the people, by the people, for the people」この表現は日本国憲法前文の一節にもある
・ルソー「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の、憲法に対する攻撃、というかたちをとる」
・胡適「日本切腹、中国介錯」
・1941年9月6日御前会議「開戦の決意をせずに戦争しないまま、いたずらに豊臣氏のように徳川氏に滅ばされて崩壊するのか、あるいは、七割から八割は勝利の可能性のある、緒戦の大勝に賭けるのかの二者択一であれば、これは開戦に賭けるほうがよい」 -
【要約】
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【ノート】
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図書館
挫折 -
自分自身、近現代史について、知らないことが多すぎるな。高校生への授業をベースにしているので、比較的平易な文章で書かれているが、内容は濃い。ただ、この本で書かれている史実も一側面であるということを認識して読む必要がある。
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やっと読み終わった
感想はまた近々 -
明治以降に日本が戦った対外戦争について偏りなく丁寧に解説されている一冊。中高生向けの対話式の講義をまとめたため柔らかい文体だが内容は非常に濃くてハイレベル。戦争そのものはもちろん開戦に至る経緯が政治、経済、軍部、外交などあらゆる角度から解析している。
著者が自らの知識や考察を押し付けることなく、生徒たちが考えるヒントを提供しているので自分を受講者の気分で問題に向き合いながら読み進めてみた。
日本近代史を学ぶには最適、そして歴史教育において考えること、向き合うことの大切さも気付かせてくれる良書。 -
単純に戦争になった訳ではなく、複雑な要素が絡み合って戦争になったことがわかる。それにしても今も昔も日本という国家は、国民を大切にしない国家なのだろうか。