- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309004709
感想・レビュー・書評
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久しぶりに短歌を読んで癒されました。
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(2014.10.01読了)(2003.11.14購入)
1987年(昭和62年)のミリオンセラーです。手元にある本は、1997年11月10日388刷です。増刷回数が、3桁になる本は、そんなにはないでしょう。
発売されて、27年目にしてやっと目を通したというのんびりした読書家です。
(詩歌を読むのが、あんまり得意ではないので、俵さんのエッセイは、いくつか読んでいます。)
出版当時24歳だった著者ももはや52歳?になっています。今はどんな短歌を詠んでいるのでしょうか。子どもがいるので、子どもを題材にした短歌も詠んでいるのでしょう。
石川啄木の短歌を読んだときは、見るもの聞くものなんでも歌にするという印象でしたが、俵さんも同様です。啄木の時代には、俳句や短歌は、お金にならないために、ノートに日記代わりに書いていた感じです。お金になるのは、小説だったので、一生懸命小説を書こうとしたけど、そちらの才能はあまりなかったようで、うまく行きませんでした。
俵さんと同じ時代に生まれたら、啄木ももっとたくさんの短歌を残せたのではないでしょうか。
平安時代には、短歌は男女交際のための必修科目だったそうですが、俵さんの短歌も、男女関係を扱ったものが多いようです。想像の産物なのか、実践の産物なのかは、生憎知らないのですが。
【目次】
8月の朝
野球ゲーム
朝のネクタイ
風になる
夏の船
モーニングコール
橋本高校
待ち人ごっこ
サラダ記念日
たそがれ横丁
左右対称の我
元気でね
ジャズコンサート・IMA
路地裏の猫
いつもアメリカン
跋*佐佐木幸綱
サラダ記念日あとがき
●気になった短歌
大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋 (13頁)
にわか雨を避けて屋台のコップ酒人生きていることの楽しさ (17頁)
男というボトルをキープすることの期限が切れて今日は快晴 (23頁)
江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず (29頁)
「また恋の歌を作っているのか」とおもしろそうに心配そうに (45頁)
ダイレクトメールといえど我宛のハガキ喜ぶ秋の夕暮れ (60頁)
思いきりボリュームあげて聴くサザンどれもこれもが泣いているような (64頁)
いまだ見ぬ海の色してときめけり手帳に九十九里と書きこむ (82頁)
ようやっと名前覚えし子どもらの答案それぞれの表情を持つ (93頁)
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 (125頁)
五分間テレビ出演する我のために買われしビデオ一式 (137頁)
今日中になんとかせねば 母からの松茸少し面倒である (141頁)
☆俵万智さんの本(既読)
「ふるさとの風の中には」俵万智著・内山英明写真、河出書房新社、1992.11.30
「恋する伊勢物語」俵万智著、ちくま文庫、1995.09.21
「三十一文字のパレット」俵万智著、中公文庫、1998.04.18
「ある日、カルカッタ」俵万智著、新潮文庫、2004.03.01
「トリアングル」俵万智著、中央公論新社、2004.05.25
「みだれ髪 チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.07.06
「みだれ髪Ⅱ チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.10.09
(2014年10月3日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
万葉集もなんのその、与謝野晶子以来の大型新人類歌人誕生。 -
女子はこの手の切ない恋の歌はいくつになっても好きだと思う。いつも傍らに置いておきたい一冊。
空の青 海の青さのそのあわい
サーフボードの君を見つめる
初々しい感情 忘れたくない -
学校の教科書にも載っていた本
偶然にも図書館で見つけたので迷わず借りた
ぼってりと
だ円の太陽
自らの
重みに耐ええぬ
ように落ちゆく
57577の文章だけれども情景を鮮やかに思い浮かべることができる。すごいと思った。後書きの恩師の話も興味深かった。 -
落ちてきた雨を見上げてそのままの形でふいに、唇が欲し
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
愛持たぬ一つの言葉 愛を告げる幾十の言葉より気にかかる
線を引くページ破れるほど強く「信じることなく愛する」という
江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず
気づくのは何故か女の役目にて 愛だけで人生きてゆけない
最後かもしれず横浜中華街笑った形の揚げ菓子を買う
あなたにはあなたの土曜があるものね 見て見ぬふりの我の土曜日
今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海
吾を捨ててゆく人が吾の写真など真面目に撮っている夕まぐれ
「ほら」と君は指輪を渡す「うん」と吾は受けとっているキャンディのように
一年ののちの私の横顔は何を見ている誰を見ている
さくらさくらさくら咲き初め咲き終りなにもなかったような公園
「元気でね」マクドナルドの片隅に最後の手紙を書きあげており
今我を待たせてしまっている君の胸の痛みを思って待とう
白猫と目が合っている路地の裏 時の割れ目と思う下町
宝くじを買って二人の逃避行もしもの世界地図を広げる
愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人 -
いつもより一分早く駅に着く一分君のこと考える
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才能!
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<閲覧スタッフより>
「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」で有名な俵万智の第1歌集にしてベストセラー。日常の出来事を五七五でサラリと詠った俵さんの短歌は、とっつき難かった和歌・短歌の世界をぐーんと身近にしてくれました。
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所在番号:911.168||タマ
資料番号:10127881
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