サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

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制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社 (2016年9月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226712

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サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福の感想・レビュー・書評

  • 2016年を代表する本として各所で絶賛されているが、確かにこれは凄まじく知的好奇心を揺さぶってくれる。

    イスラエルの歴史学者である著者が明らかにするのは、ホモ・サピエンスという生物種がなぜ他の生物種と異なり、地球でここまでの文明を作り上げることに成功したのかという問いへの答えである。そのカギを握るのは、「認知革命」・「農業革命」・「科学革命」という3つの革命であった、というのが骨子となる。

    上巻では、歴史学者としての丁寧な史実関係叙述と不確実な事柄はそのまま不確実さを伝えるという真摯なスタンスにより、「認知革命」と「農業革命」についてが解説される。

    「認知革命」は、ホモ・サピエンスが言語を発明したことや、言語により相互のコミュニケーションが可能になったということではなく、「虚構」を生み出すことにより、様々な共同体を組成できるようになったこと、そしてその共同体とは虚構、別の言葉を用いれば幻想の存在であるということこそが革命の主たるポイントとされる。例えば、宗教や国家、引いては我々の多くが所属する企業に至るまで、あらゆる共同体は「その構成員全てが、会ったことがない他の構成員に関して自らとの同一性を感じ、何らかの協力体制を構築できる」というのが特徴になるが、共同体とは自ら触れて確かめることができないにも関わらず、その存在が疑われないという点で、一種の虚構性を帯びる。

    「農業革命」について刮目すべきは、「人間は小麦などの作物を農業に適した形で栽培化することで、狩猟採集よりも安定的な生存基盤を獲得できた」という考えが実は誤解であるということが明らかにされる点にある。事実はむしろ逆で、「人間は小麦により家畜化され、小麦という種が世界にその遺伝子を残すべく繁栄することに成功した」、つまり人間は小麦の利己的遺伝子を残すためのビークルとして利用された側であるという。これは我々が通説的に考えている狩猟採集社会から農業社会への移行のバックグラウンドの言説を覆す説であり、非常に面白い。

    本書の面白さは、例えば「認知革命」だけを例に取れば、おおむねその主張はベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」で語られていることと軌を同じくしていると思うが、そのスコープが農業、科学など多岐に渡り、なおかつ時間的・空間的な広がりを持っている点において、この一冊で広範な人類の活動の謎を全て知ってしまえるのではないかという奇妙な錯覚を与えてくれる点にある。引き続き下巻へ。

  • ホモ・サピエンス、つまりわれわれが生まれて、地球を支配する存在となるに至るまでの大きな歴史を著者の観点から分析・整理したものである。かなり壮大な試みでもあり、また面白い。

    著者によると、人類史において、三つの重要な革命があったという。その三つというのは次の通り。

    1. 七万年年前の認知革命
    2. 一万二千年前の農業革命
    3. 五百年前の科学革命

    まずは「認知革命」について。これは人類を人類足らしめ、他の生物との基本的な違いをもたらした「革命」である。そのためには生物学的に大きな脳が必要なのだが、まずはなぜ大きな脳を持つようになったのか、というところから話は始まる。大きな脳はエネルギーを大量に消費するため、必ずしも生存や繁殖に有利とも言えないという事実がある。ヒトの脳が安静時に全消費エネルギーの25%を消費しているのに対して、ヒト以外の霊長類は全体の消費エネルギーの8%しか必要としないらしい。さらに出産においても頭の大きさは弊害になり、おかげで子供が未発達な段階で出産するという代償を払うことになった。その代償を支払った上でも二百万年の間、大きな脳は石器以外のものを残さなかったように見える。何が巨大な脳の成長を進化の過程の中でその代償を支払ってでも促したのかは明らかになっていない。

    「私たちは、大きな脳、道具の使用、優れた学習能力、複雑な社会構造を、大きな強みだと思い込んでいる。これらのおかげで人類が地上最強の動物になったことは自明に思える。だが、人類はまる二百万年にわたってこれらすべての恩恵に浴しながらも、その間ずっと弱く、取るに足らない生き物でしかなかった」

    生物は遺伝子の変異の自然選択によって進化するが、その進化の過程において、大きな脳の獲得にはある種の跳躍が必要であったということだ。著者は、それを可能にした理由を「言語」、つまり抽象的な事象「虚構」について語ることができるコミュニケーションの能力に見る。これが著者の言う人類に生じた「認知革命」である。

    「激しい議論はなお尽きないが、最も有力な答えは、その議論を可能にしているものにほかならない。すなわち、ホモ・サピエンスが世界を征服できたのは、何よりも、その比類なき言語のおかげではないだろうか」

    少し想像してみればわかる通り、実際に生物の集団において「虚構」を流通させることは思いの他難しく、人類以外の生物で言語に近いものを使うことができるものがいたとしても、「虚構」を語ることができる種がいるとは思えない。

    「効力を持つような物語を語るのは楽ではない。難しいのは、物語を語ること自体ではなく、あらゆる人を納得させ、誰からも信じてもらうことだ。歴史の大半は、どうやって膨大な数の人を納得させ、神、あるいは国民、あるいは有限責任会社にまつわる特定の物語を彼らに信じてもらうかという問題を軸に展開してきた」

    多くの集団を結びつける「神話」を成立させる能力が私たちを万物の支配者に仕立てたのだ。当然、この「神話」には、宗教だけでなく、貨幣や国家、共産主義、資本主義なども含まれる。それがなければ、膨大な数をひとつに統合して力とすることは適わない。

    次に語られる革命が「農業革命」だ。この革命により人類は自らを維持するための食料エネルギーの観点で大幅にその数を増やすことが可能になった。

    元々人類は、狩猟採集を行う種であり、そのように進化圧に対応してきた。それは人類が寒冷地であるシベリアにまで拡がっていったことからもわかる。マンモスやトナカイなどの大型の動物が北方には生息していたから、それらの動物を追ってサピエンスが北へその生息域を広げていったことは合理的だといえる。

    「私たちの祖先が狩猟採集した何千もの種のうち、農耕や牧畜の候補として適し... 続きを読む

  • 興味の中心は最後の新人類の話だろうけど、それ以外の部分がダメダメだった。自説に都合のいい話を挙げるばかりで、最新の研究を紹介するわけでもなく、新鮮味がない。

  • 「銃・病原菌・鉄」以降、流行っている"マクロ歴史学"的本の一種。その種の本の中ではもっとも読みやすく、未来への言及が多いのが特徴だと思う。人類(この本の中ではネアンデルタールなど他の類人猿と区別するためにサピエンスと呼んでいる)は、7万年をかけて3つの革命を経て現在に至り、最終革命を経てサピエンスではない新種の生物に変化するのではないかと上下巻をかけて分かりやすく解説している。

    最初の革命は、7万年前の認知革命。これによりサピエンスは"虚構"という新しい意思疎通の方法を会得し、これにより血族以上の集団を統合する術を身に着けた。その虚構とは神話であり、宗教であり、直近では民主主義や資本主義である。そして、虚構によるサピエンスの統合の最大の発明品が"貨幣"であると作者は指摘する。(確かにそうだ!)

    次の革命は1万年前に起きた農業革命。これにより、食糧事情は安定し、単位あたりの人口密度は増大した。が、代わりに所有と貧富の差が生じ、また労働の長時間化と苦痛化が起きた。

    人類が過去に経験した最後の大革命は500年前の科学革命である。科学革命の核心は"無知の知"である。「我々は何も知らない」から始まる知的探求は、革命前のサピエンスの知識に対する認識(神と神に近い指導者は全てを知っており、昔はよかったという懐古主義となる)からはまさにコペルニクス的転換であり、「何も知らないから調べて知る。知るから未来はより発展する」というフィードバックループをサピエンスの中に作り出した。そして、科学の発展には金(投資)がいる。この無知の知→投資→科学的発展(富の増大)というループの強化に繋がったのが帝国主義であり、特にユーラシア大陸をアラブと中華の帝国主義国に牛耳られていて劣勢にたっていた欧州諸王国がこのループに積極的に関与して新大陸やアフリカ大陸を植民地化していったという歴史的事実は「今日の弱者は未来の強者」という観点からみてとても興味深い。

    現在、科学革命の担い手は資本主義となり、科学革命と資本主義、あるいはそれに付随する自由主義とによって世界は唯一に統合されつつある。その先にあるのが、生命工学的革命であり、それは不老不死や他の生物との遺伝子的融合、工学化(サイボーグ化)である。この段階に及んでサピエンスは有機的な進化から科学的あるいは無機的進化を伴う生物となり(いわゆるシンギュラリティ)、もはやそれはサピエンスではなく別種の生物となり、10万年に渡り繁栄し、地球を支配したサピエンスはここに終焉するし、その時点ではサピエンスの価値観はいまのものとは全く異なるものとなっているので、いまからそれを悲観したり、警戒したりしてもほとんど意味のない議論だろう、と作者は論じている(と思う)

    この本は、まず全体において、人類の歴史を3つの革命と今後起こる最後の革命とに整理して、莫大な事象と理論的解説を経て分かりやすく説明しているのが非常によい。その上で、これらの発展と個々人の幸福との関係性について作者はかなりの字数を割いて論じている(批判している)。要するにこれらの種としての大発展と個々人との幸福は別物であり、ここに我々はこの大発展について立ち止まって考える必要がある、としている点がまたよいと思う。本当にそうだからだ。

    といことで、次は"個々人の幸せ"についてマクロ歴史学的視点で書く本がぜひ読んで見たい気がする。まあ、それは非常に主観的問題なので過去のデータは残りずらく、書くのは難しいかもしれないが。。

    一連のマクロ歴史学的本の中では、分かりやすく読めるという点で、もっともオススメの本だと思います。

  • (2017.02.20読了)(2017.02.10入手)(2017.02.13・25刷)
    副題「文明の構造と人類の幸福」
    著者は、どんな人なのかと表紙カバーの袖にある紹介文を見ると中世史、軍事史を専攻した歴史学者でした。エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。
    考古学や古生物学の専門家ではないのですが、人類の誕生から説き起こして人類史を概観しています。何年も前に世界史を習った人たちには、最近の知見が盛り込まれているので、新鮮で驚きの内容が多々あると思います。
    逆に、考古学・古生物学が好きな方たちには、内容が薄いので物足りないとか、議論が大ざっばの感はぬぐえないと思います。
    農業革命については、多くの人たちにとってはいいことのないものだったと述べています。一生懸命働いても大部分を支配者にもっていかれてしまうし、天候不順で飢饉になったりすれば多くの人が亡くなってしまう。
    狩猟採集の生活のまま継続すればよかったということなのでしょう。
    文字については、事実と数を記録するためにつくられたとしています。シュメールは多分そうだったのでしょう、インカ帝国のキープについても同様の役割だったのでしょう。でも、文字の発明がすべても文明でそうだったのかについて検証する必要があるのではないでしょうか。たとえば、中国の甲骨文字についてとか。
    一方、貨幣の発明を非常に評価しています。貨幣の利便性は確かにすばらしい発明だと思いますが、現代のマネーゲームの弊害についてはどのように考えているのでしょうか。ちょっと見えないところです。
    下巻では、科学革命について述べられるようですが、中世の錬金術や軍事史の面からの見解を聞きたいものです。

    【目次】
    歴史年表
    第1部 認知革命
    第1章 唯一生き延びた人類種
    不面目な秘密/思考力の代償/調理をする動物/兄弟たちはどうなったか?
    第2章 虚構が協力を可能にした
    プジョー伝説/ゲノムを迂回する/歴史と生物学
    第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
    原初の豊かな社会/口を利く死者の霊/平和か戦争か?/沈黙の帳
    第4章 史上最も危険な種
    告発のとおり有罪/オオナマケモノの最期/ノアの方舟
    第2部 農業革命
    第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
    贅沢の罠/聖なる介入/革命の犠牲者たち
    第6章 神話による社会の拡大
    未来に関する懸念/想像上の秩序/真の信奉者たち/脱出不能の監獄
    第7章 書記体系の発明
    「クシム」という署名/官僚制の驚異/数の言語
    第8章 想像上のヒエラルキーと差別
    悪循環/アメリカ大陸における清浄/男女間の格差/生物学的な性別と社会的・文化的性別/
    男性のどこがそれほど優れているのか?/筋力/攻撃性/家父長制の遺伝子
    第3部 人類の統一
    第9章 統一へ向かう世界
    歴史は統一に向かって進み続ける/グローバルなビジョン
    第10章 最強の征服者、貨幣
    物々交換の限界/貝殻とタバコ/貨幣はどのように機能するのか?/金の福音/貨幣の代償
    第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
    帝国とは何か?/悪の帝国?/これはお前たちのためなのだ/「彼ら」が「私たち」になるとき/
    歴史の中の善人と悪人/新しいグローバル帝国
    原 註
    図版出典

    ●三つの革命(14頁)
    七万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、文化を形成し始めた。
    歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約七万年前に歴史を始動させた認知革命、約一万二千年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そしてわずか五百年前に始まった科学革命だ。
    本書ではこれら三つの革命が、人類をはじめ、この地上の生きとし生けるものにどのような影響を与えてきたのかという物語を綴っていく。
    ●ホモ・サピエンス(2... 続きを読む

  • 世界的話題の書ということで繰り上げ読了。アフリカで細々と生きていた人類の祖先(食物連鎖でいうと中程度)が、なぜこの星の支配者になったのか、その答えの鍵は「フィクション」であるという。国家、文明、貨幣、宗教、企業、法律、平等や将来は今より豊かになるというフィクション。これらのおかげで見知らぬ人と協力するようになり、進化の法則を飛び越えて力を得た。一方、狩猟社会から農耕社会になったおかげで安定的かつ豊かな社会を手に入れたと教えられたが、労働時間は増え、人口は増えたが飢餓も増えた。むしろ穀物を活かすために働いているようなもので、主人は穀物だという視点は新鮮。生物学的に数を増やすことが成功ならば、歴史上最も成功した動物は家畜となった牛であるが、狭い檻の中で過ごし、初めて歩くのは解体される時という生物が果たして幸せなのか。そしてこれは人間にも当てはまるのではないか。

  • ○この本を一言で表すと?
     ホモ・サピエンスの発生から未来までを広い視点と一貫した観点で述べた本


    ○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
    ・国家、国民、貨幣、宗教等を全て「虚構」とみなして論じていて、虚構だからこそ多くの見知らぬ人が協力することができた、ということが一つの大きなテーマとして最初から最後まで貫かれていたように思いました。

    ・最後まで読んで、著者がユダヤ人でヘブライ大学の教授だということを知りましたが、イスラエルで宗教や国家を虚構と論じるというのはすごいことだなと思いました。

    ・私も国家というものの実体、貨幣というものの実体について考えたことがあり、共同幻想が堅固な実体にまで昇華したようなものかなと思い至ったことがありましたが、この本の著者のように人類の歴史を通して「虚構」として捉えたことはなく、曖昧なものがすっきりしたような気持ちになりました。

    ・「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3つの大きな変革を経て今に至っており、今も科学革命の途中にいるという前提で、時系列で話が進められていました。読み終えてみると、それぞれの変革がその前後で大きく世界のあり方を変えていることが伝わってきました。

    ・考古学、民俗学、歴史学、宗教学、経済学、経営学、科学など様々な分野に亘って論じられていて、著者の博識さと各分野を関連づける能力がすごいなと思いました。

    ・結論を出す本というより、過去の変化、未来の変化において人間はどうなってきたか、どうなっていくのかの様々な問いを立てる本だという印象を受けました。


    <第1部 認知革命>
    ・生物学的な分類の話とホモ・サピエンスとそれ以外の人類が先祖と子孫の関係ではなく、別系統の進化であった可能性が高いと考えられていること、人類発生からごく近年に至るまで食物連鎖で中位程度の地位にいた人類が現在圧倒的な最上位にいること、ネアンデルタール人が3万年前に絶滅して、なぜホモ・サピエンスだけが現在に残っているのか、などの問題提起がされていました。(第1章 唯一生き延びた人類種)

    ・前章で提起された「なぜホモ・サピエンスだけが生き延びたのか」という問いに対しての解答を認知革命がホモ・サピエンスに起きたから、としていました。NHKスペシャル取材班の「HUMAN」でも協力できることがホモ・サピエンスとネアンデルタール人の勝敗を分けたと述べられていましたが、この本ではもう少し深く考察されていました。動物でも言葉によるコミュニケーションを取れますが、言語として細かい内容を伝えられること、事実以外のこと、抽象的なことについても伝えられるようになったことが「認知革命」なのだそうです。(第2章 虚構が協力を可能にした)

    ・3万年前に造られたライオンの頭を有した人の像が発見されたそうですが、想像の産物を集団に属する者が崇め奉ることができ、集団が協力して目的に当たることができるようになったこと、生物学的に反するあり方のボスを置けるようになったことをカトリックの教皇や宦官を例に出して述べていました。(第2章 虚構が協力を可能にした)

    ・古代狩猟採集民の生活について、限られた証拠しかないことと、学者の偏見から単一の生活形態を前提と考えて想定されることが多いが、そのようなわけがないこと、様々な生活様式や集団のあり方があったはずだという著者の考えは、確かにそうだなと思えました。ある地域では争い事がほとんど起こらず、ある地域では人口の何割かが死亡するような争い方をしている、という状態が同時に存在していたというのも、考えてみれば当たり前にあり得る話だなと思いました。(第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし)

    ・狩猟採集民はかなり生きていくのが厳しく、常... 続きを読む

  • ジャレド・ダイヤモンド、ダニエル・E・リーバーマンなど知の巨人達が、展開する理論を総合的に俯瞰。特に認知革命については、両者が今まで主張していなかった目新しい理論。そしてその理論は、文明を支えるための最上位の概念ともいうべきもので、実に目から鱗の理論です。個人的には、これまで読んできた書籍の中でもベスト3といっても過言ではない名著です。

  • 「七万年前から三万年前にかけて見られた、新しい思考と意思疎通の方法の登場のことを、「認知革命」という。」この認知革命に関する様々な考察は面白かった。「農業革命」には、私にとって目新しい考察は無かった。総じて平凡な印象しか持てませんでした、残念。

  • 内容が強烈だった。虚構を信じることができるから地球の覇者になれたという文脈は新鮮だった。たしかに、全ては虚構、神話に繋がるなと。

  • 必要なものは残り、不要なものは消えてなくなる。この法則が繰り返された結果が今の私たちの生活で、これからもずっと法則は繰り返される。

    宗教、人種、文化、思想に偏りがなく書かれているため、視野が広がり、面白い。

  • いやおもしろい!

  • 銃病原菌鉄を読んだときよりはいろいろと知識があるので、それと比べるのはちょっとフェアではないのでやめておく。仏教は宗教というよりはイデオロギーじゃねえのか?とか、なかなか言いづらいことを明快なロジックで語るところが読みやすくてよい。その割に例えば優生学の話題とかインテレクチュアルデザインのところとかはえらく慎重に発言していたりするところとか、途中の脱線のユーモアのひねりかげんが好き。私はホモデウスから入ってしまったのですがそれが良い読み方だったのかどうか?は疑問。第二次世界大戦後の日本に生まれて育った身としては感じ方がすごく同じ種類な気がして読みやすい。大学生とかは絶対読んでおいたほうがよいだろうなあと思う。

  • 農業革命は詐欺
    格差は作られたイデオロギーによって固定化された。

    神話によってつながりを得た
    共同主観的幻想
    1人が従わなくても何の意味もない
    帝国は文化や科学の発展の元
    通貨によって人々は圧倒的に結びついた。

    基本的につながりの歴史、徒党を組む歴史

  • 250万年前の人類バージョン1.0であるホモ・ネアンデルタールやホモ・エレクトスの誕生、進化から3万年前の悲しい絶滅。そして、7万年前に人類バージョン2.0である我々ホモ・サピエンスが進化し言語を取得することにより神話を共有した。そして、アフリカ大陸を旅立ちヨーロッパやアジアそしてアメリカやオーストラリア住み着き、1万2千年前に農業革命(定住)を成就させ、貨幣や書記体系を生み出し王国、そして帝国を4500年前に形成するに至る。キリストが生まれてからまだ2000年と考えると、バージョン1からだと250万年、バージョン2からでも7万年とは!気が遠くなるように遅々とした人類の進化には改めて驚きです。

  • ホモ・サピエンス史を、醒めた目で、進化論的な切り口から論じている。科学の名にふさわしい論じ方で、ステレオタイプを次々に覆していく。よくある単なる通史ではない。

    ・中位から頂点への華々しい跳躍は、重大な結果をもたらした。ライオンやサメと比べると、人類はあっという間に頂点に上り詰めたので、生態系は順応する暇がなかった。その上、人類自身も順応し損なった。サピエンスは政情不安定な弱小国の独裁者のようなものだ。私たちはつい最近までサバンナの負け組の一員だったため、自分の位置についての恐れと不安で一杯で、そのためなおさら残忍で危険な存在となっている。
    ・社会学の研究からは、噂話によってまとまっている集団の「自然な」大きさの上限がおよそ150人であることが分かっている。
    ・私たちとチンパンジーとの真の違いは、多数の個体や家族、集団を結びつける神話という接着剤だ。
    ・古代の狩猟採集民は感染症の被害も少なかった。
    ・オーストラリアでの原初の大量消失に類する大規模な絶滅が、その後の歳月に何度となく繰り返されている。人類が「外界」の新たな部分に住み着くたびに、大絶滅が起こっている。
    ・歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものがある。
    ・客観的、主観的、共同主観的
    ・生物学的作用は可能にし、文化は禁じる。
    ・人体の器官のうちで、その原型が何億年も前に初めて現れたときに果たしていた役割を今も果たしているものは、一つしてない。
    ・成功が何より協力にかかっている唯一の種において、どうしてあまり協力的でない個体(男性)が、より協力的なはずの個体(女性)を支配するようになったのか?今のところ、妥当な答えは見つかっていない。
    ・中世の文化が騎士道とキリスト教との折り合いをつけられなかったように、現代は自由と平等との折り合いをつけられずにいる。だがこれは欠陥ではない。それどころか文化の原動力であり、私たちの種の創造性と活力の根源でもある。
    ・「エスニック」料理の例示!
    ・「私たちvs.彼ら」という進化上の二分法を最初に超越し、人類統一の可能性を予見しえたのは、貿易商人(貨幣)や征服者(帝国)、預言者(宗教)だった。
    ・イギリスにルーツを持つ文化を廃する投票をするという行為自体が、かつての支配者たちに負うものがある証になる。

  • 「中位から頂点へのそのような華々しい跳躍は、重大な結果をもたらした。」「人類はあっという間に頂点に上り詰めたので、生態系は人のする暇がなかった。」「多数の死傷者を出す戦争から生態系の大惨事に至るまで、歴史上の多くの災難は、このあまりに性急の飛躍の産物なのだ。」

    15万年前から7万年前までのホモ・サピエンスは、「見かけは私たちと同じだが、認知的能力(学習、記憶、意思疎通の能力)は格段に劣っていた。」だがその後、7万年前からホモ・サピエンスは急速に世界中へ広がり、舟やランプ、弓矢、針を発明し、芸術作品を生み出した。ほとんどの研究者はこれらはサピエンスの認知的能力に起こった革命の産物だとする。その原因は定かではないが、「最も広く信じられている説によれば、たまたま遺伝子の突然変異が起こり、サピエンスの脳内の配線が変わり、それまでにない形で考えたり、まったく新しい種類の言語を使って意思疎通をしたりすることが可能になったのだという」。

    認知革命の結果、ホモ・サピエンスは噂話の助けを得て、より大きくて安定した集団を形成した。だが、噂話によってまとまっている集団の自然な大きさの上限はおよそ150人。今日でも、人間の組織の規模は150という数字がおおよその限度として当てはまる。

    ホモ・サピエンスが、この重大な限界を乗り越え、何万もの人口からなる都市や、何億もの民を支配する帝国を築くことができた秘密はおそらく、「虚構」の登場にある。「膨大な数の見知らぬ人どうしも、共通の神話を信じることによって、首尾よく協力できるのだ。」「近代国家にせよ、中世の教会組織にせよ、古代の都市にせよ、太古の部族にせよ、人間の大規模な協力体制は何であれ、人々の集合的想像の中にのみ存在する共通の神話に根ざしている。」司法制度は共通の法律神話に根差している!

    「認知革命以降、ホモ・サピエンスは必要性の変化に応じて迅速に振る舞いを改めることが可能になった。これにより、文化の進化に追い越し車線ができ、遺伝進化の交通渋滞を迂回する道が開けた。」他の社会的な動物の行動は、遺伝子によっておおむね決まっている。一般に、遺伝子の突然変異なしには、社会的行動の重大な変化は起こりえない。だが、神話に基づいて行われる人間の大規模な協力の仕方は、神話を変えることによって、あっという間に変更可能なのだ。1789年にフランスの人々は、ほぼ1回にして、王権神授説の神話を信じるのをやめ、国民主権の神話を信じ始めたのだ。「太古の人類の行動パターンが何万年間も不変だったのに対して、サピエンスは社会構造、対人関係の性質、経済活動、その他多くの行動を10年あるいは20年のうちに一変させることができた。」

    「認知革命は歴史が生物学から独立を宣言した時点だ。人近く目までは、すべての人類種の行為は、生物学の領域に属していた。認知革命以降は、ホモ・サピエンスの発展を説明する主要な手段として、歴史的な物語が生物学の理論に取って代わる。」「私たちとチンパンジーとの真の違いは、多数の個体や家族、集団を結びつける神話と言う接着剤だ。」

    サピエンスがどう振る舞うかを理解するためには、彼らの行動の歴史的進化を記述しなくてはならない。私たちの性質や歴史、心理を理解するためには、狩猟採集民だった祖先の頭の中に入り込む必要がある。進化心理学の分野では、私たちの現在の社会的特徴や心理的特徴の多くは、農耕以前の長い狩猟採集生活時代に形成されたと言われている。

    人類が3万5000年前に初めて日本に到達したというのは間違いでは?

    「私たちの祖先は自然と調和して暮らしていたと主張する環境保護運動家を信じてはならない。産業革命のはるか以前に、ホモ・サピエンスはあらゆる生物のうちで、最も多くの動植物種を絶滅に追い込んだ記録を保持していた。」「陸上の大型... 続きを読む

  • 面白いし興味深いが、少し壮大すぎるかもしれない。

  • 著者は歴史の教授ということだけど、語りが魅力的で、まるで人を愉しませるために作られた壮大な神話を聞かされているような気がする。

  • 難しくて、著者の伝えたいことや、自分に残るものがなかった。

  • ホモ・サピエンスが生き残り生物の頂点に立った理由は虚構であった。認知革命を経て人類のカテゴリーは生物学から歴史へと変わった。
    これらが発端となり、人間は歴史を作ってきた。なるほど、と思えることばかり。とても面白かった

  • ホモサピエンスがこれまでどうやって生き残ってきたのかに関して
    虚構の話をしながらわかりやすく話している。

    その他お金の話や宗教、経済などの話も絡めているので、
    読んでいて面白い。

  • 人間ってロクでもないなと感じてしまう重くて長い本。
    そして、せいぜい2000年間ぐらいの「いま」しか把握できていない僕らにサピエンスの歴史と変化を語ってくれることで、サピエンスはこれからも変化し続けることを認識づけてくれる一冊。

  • 「この帝国」ってなんだ!?

  • 憶測や仮説の部分も多いけど説得力はあるし、そのジャンルを深く掘る入り口としては十分。
    特に虚構を生み出せた人間という話は読書家にとってより深く探求したいテーマだと思う。
    フィクションが何故存在するのかという論考はあらゆる角度からされるべきだし、もっとたくさんの物語に触れたいと思わせる一冊。
    農業革命あたりは眉唾な部分もかなり多いので、その度に関連本を読んでいくという贅沢な読書体験だった。

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