愛するということ 新訳版

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005586

感想・レビュー・書評

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  • 「愛する」ということについて、人の歴史や宗教観等を混じえて解釈している。
    はっとする表現が多々あり、特に相手を深く知るための方法として「お互いが経験したことを深く聞き話すことで深まる」という話が刺さった。
    何度も繰り返したい名著だと思います。

    ■要約
    「愛する」ためには、人間的に高め愛を与える準備をしなければならない。
    簡単ではないその道を成し遂げた上に準備ができる。
    ・継続的に自己を高める
    ・自分の行いに誠実に
    ・自分を客観的に把握し
    ・自律し、
    ・目の前のことに集中し
    ・信じるものを明確にする


    その上で「愛する」ということは以下の4つから構成されている
    ・配慮(相手を気にかける)
    ・責任(相手の要求に答える準備をする)
    ・尊重(相手のありのままを受け入れる)
    ・知(相手の立場を理解しその人を見る)

  • 愛や恋愛に関して、180度、私の概念を変えてくれたフロムの著書に感謝。
    主体的に生きること、自分の生命を与えることがどれだけ素晴らしいことか。

  • 1956年に書かれたとは思えないくらい、現代にも通用する愛を巡る状況。人は市場原理に支配されたことで、愛することが難しくなってしまった。

    愛することは技術である。
    愛とは「恋に落ちる」ような一時の燃え上がるような感情ではない。愛とは与えるものであり、人として合一になることである。
    人を愛せない人は、自身のことを愛していない。

    愛するために必要なことは、客観性と信じること。客観性とはつまりナルシシズムからの脱却であり、ありのままを見つめること。
    信じるとは可能性を信じることであり、自分自身を信じなければ他者も信じることはできない。

    愛する技術を習得するためには、規律と忍耐と集中が必要。自分1人でもいられるように、自分を律し、今を生きることに集中すること。

    内容的に、キリスト教色が強かったり、ジェンダー観が受け入れがたいところもありますが、そういうところは書いてあることを表面的には捉えるのではなく、一番言いたい核心は何なのかという視点で読むことが必要。

    *以下、メモ
    最近この手の本を読むと思い出すのが、嫌われる勇気で言及されていた、アドラー博士の言う「共同体感覚」である。別のところでは「共通の人間性」と表現されていたこともあった。
    表面的には様々な違いはあれど、人の求めるところは根本では共通であり、それを体感することで他者と一体になる感覚が得られる。私自身、それを体感した覚えがある。
    本著と繋がることとしては、人は誰しも愛し愛されたいと思っているということ。これが共通の人間性であり、これを体感すると人というものが皆同じものを志向する共同体であると感じられるようになる…のではないだろうか。

    うーん、書いててよくわからなくなってきた。また読み返したい。

  • 「愛」って何だろう?「無限」ってどういう事?
    2013年はそんな本からスタート。
    「愛される方法」や惚れさせるテクニックより、
    「どうしたら人を愛し続けられるか」の方が難しい。愛するって、信じるによく似ていて、好きって、悔しいに近いってぼんやり思う。

  • 愛は技術。ついつい自分は自分が優しいと勘違いして他者を思いやる努力を怠ってしまう。
    感謝や尊敬の気持ちは意識して相手に伝えようと思う

  • 心理、というよりは哲学?
    何となくあまやかなものを想像して読むならそれは裏切られますね。
    結構厳しいことが書かれていると思います。

    以前から読みたい、と思っていたところへ新装版。そしてNHKで解説番組を放映してくれましたね。
    これを観ておいてとても良かった。でなければもっと理解は難しかったと思います。
    しかしそれでも難しかった…。確かに読む年代や人生経験、心理状況によって受け止め方や理解の深度など変わるのでしょうね。

    やはりエンタメ寄りな思考の私は「愛は技術である」ことをフロムさんはどのように実践したのか、実生活に活かしたのか活かせなかったのか、の方に興味がでてしまいます(笑)

  • 心の奥底から愛を求めているくせにすべての物が愛よりも重要だと考えている。

     「愛は随分昔にどこかに置いてきた」そんなことをボンヤリと頭に浮かべながら、静まり返ったカフェの中でこの1冊を僕は手に取って読み始めた。ハッとさせられるような文章、深く共感するような文章に引きこまれて僕は魅了された。最初は読むのが恥ずかしいと思ったタイトルだったが、すぐにこの本に夢中になった。夢中になりすぎて、気がつけば渋谷に向かう通勤電車の中でさえ読み始めた。周りにいたサラリーマンやOLがこっちをみて、“愛するということ”というタイトルを見てクスクスと笑った。でもそんな周囲の目線はもはやどうでもよかった。僕は内容に全神経を尖らせ、集中した。
     「愛は何よりも与えることであり、もらうことではない」、この言葉が本書で一番自分の胸に突き刺さった。上手く表現できているかわからないが、“僕”という人生の過去を振り返ってみると、恋人との恋愛において、今までずっとGive(与えること)ではなくTake(貰うこと)ばかり考えて接してきた(ように思う)。そしてそのような僕の横柄で傲慢な態度は、いつも上手く行かずに失敗ばかりしてきた。例えば、遠距離恋愛をした彼女。大学2年生の半ばから3年生の始めまで付き合った同志社大学に通う彼女は特にそうだった。遠距離恋愛だったので2人で会って過ごす時間は少ない。夜行バスにのって僕が大阪の梅田に行き、彼女が神奈川まで来る、みたいな恋愛の仕方だった。詳細は省くがこの恋愛は破綻した。僕が与えられなかった、いや、正確に言うと与え続けられなかったからだと思っている。もうひとつは、「愛とは、愛する者の生命の成長を積極的に気にかけることである」という本書に書いてあることが、2人の距離が離れていたために実現できなかったからだ。直接顔を合わせられるのは多くても月に1回程度。普段の近況報告はメールかスカイプ。
     また、彼女は同志社大学で有名な学生団体の代表をやっていたり、僕の方も何かと忙しかったりして、お互いに連絡する機会が徐々に少なくなっていた。普段の別のことが忙しくて顔も合わせなければ、当然お互いに対関心が薄れていく。お互いが強い関心を持ち続けられないと“愛”という目に見えない“何か”は続かないという当然の事を、僕はこの本を読んだ時に思い出した。
     「愛という技術を習得することが自分にとって最大の関心ごとにならなければならない」ということに対してもとても納得した。「成功、名誉、富、権力、これらの目標を達成する術を学ぶために殆どのエネルギーが費やされ、愛の技術を学ぶエネルギーが残っていない」と本書にあったが、全くその通りだと思う。僕は、自分のスキルアップのためならとてもエネルギーを注ぐ(例えば、英語に関しては毎日25分のフィリピン人とのオンライン英会話に月に5,000円払う)。しかし、「他のどんなことよりも恋愛にNo.1プライオリティを置いているか?」と問われれば、間違いなく「No!」と答えるだろう。僕も含めて、恋人がいない人は、“恋人欲しいな”と心の底では思っている。だが一方で、実際に心のどこかで、「まあ、恋人がいなくても別に困らないからな」と思っている人が多い気がする。
     自分自身に対する関心を超越して、相手の立場になって初めてその人をみることができたときに愛は成立しうるんだと思う。“愛”とは、“愛する者の生命の成長を積極的に気にかけることである”、こんな考え方をもって次に愛する人と一緒に時間を共有したい、そんなサラサラと砂が落ちるような感情を抱いた一冊だった。次に愛する人、いや恋する人に出会うのがちょっぴりと楽しみになる素晴らしい一冊に出会うことができて、課題図書で指定してくださった井下先生に感謝。

  • 愛するということは、自然に備わっている能力ではなく技術だ、という概要を読み、これは読まねばと思った購入本。
    「はじめに」で釘を刺されつつも、覚悟して読み進める。む、難しい。でも、安易なテクニックが知りたい訳ではない、物事の本質や自分の思考について考えさせられる本を求めていたのだから大丈夫大丈夫と言い聞かせる。
    神や宗教の話になると少し意識が遠くなってしまうが、そう思って読んでいると急に理解できる部分もあったりして。(目の前に謎の玉があって、それがすごく近くなったり、遠くにいったりするイメージ。私はただそれを見ていることしかできない。)
    母性愛や46p-56p、愛の習練の章は書き留めたフレーズもあり何度も噛み締めたい部分。
    今の自分はこの範囲しか分からないが、谷川俊太郎さんが帯に書かれていたように、経験を重ねて深まるところもありそうだ。

  • 20年ほど前、大学の一般教養"国際関係論"の先生が、初回講義の冒頭でなぜかこの本について言及していました。
    その記憶がずーーーーっと残っていて、気になっていたけれど一度も実際には手に取ったことがなかった本。まさか最愛の人を通じてこの作品と出会うことになるとは。

    この世界をよくするヒントや示唆や知恵が散りばめられている素晴らしい本。

    愛という、人類の非常に本質的な性質?について、深く味わいながら学びながら読むことができる良書です。

    全人類におすすめしたい。
    特にマネジメントに関わる方にはぜひ読んでもらいたいなと感じました。

  • 大学生時代に親友とBOOKOFFでお揃いで買った。
    お互いに読み進めて感想を言い合った。
    思い出の一冊。

    その友達とはもう絶縁状態。

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著者プロフィール

ドイツの社会心理学者、精神分析家。1900年、フランクフルト生まれ。ユダヤ教正教派の両親のもとに育ち、ハイデルベルク大学で社会学、心理学、哲学を学ぶ。ナチスが政権を掌握した後、スイス・ジュネーブに移り、1934年にはアメリカへ移住。1941年に発表した代表作『自由からの逃走』は、いまや社会学の古典として長く読まれ続けている。その後も『愛するということ』(1956年)、『悪について』(1964年)などを次々と刊行する。1980年、80歳の誕生日を目前にスイス・ムラルトの自宅で死去。

「2022年 『今を生きる思想 エーリッヒ・フロム 孤独を恐れず自由に生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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