- Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751067
感想・レビュー・書評
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40年ぶりの再挑戦。面白く読めているのは自分の成長と思いたい。父親フョードルの異常な道化ぶりが魅力的。教会対国会の優位論争は難解。登場人物付きのしおりは挫折ポイントを乗り越える強力な武器。次巻も楽しみ
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東大教授たちが新入生に進める作品ベスト1に選ばれるこの作品。宗教をテーマにしたり、家族をテーマにしたり、推理小説的であったり、大きなテーマがいくつもある。序盤では人物の説明、舞台の説明が細かく説明されているため、ストーリーが一気に動くのは中盤である。
1巻最後のリーズからアレクセイに書かれたラブレターが甘ずっぱすぎてキュンキュンしてしまった。カラマーゾフの血を引いていることがアレクセイにどう影響を与えていくのか。兄ドミートリーが彼に悪影響を及ぼさないかが気になるばかりである。 -
2021/5/29
俗世と教会の対比をこの上なく狂気じみたコントラストをもって描写している。醜悪はとことん醜悪であり、美麗はとことん美麗である。
とにかく筋書きが面白く、のめりこむように読んでしまう。ロシア文学はハマると抜け出せないと聞いたことがあるが、分からなくもない・・・笑
いくつか疑問点をメモ。
・無神論と社会主義の関係性
・国家が教会に属する社会とは
・人間らしい悪と、聖なる善の価値判断はどう下されるのか
・シラーの詩の果たす役割→文脈でどういう意味
・アリョーシャがカテリーナをみて直感した恐怖
・p287 -
昨年、古典小説を読もうと思い立ち、トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読み感銘を受けたことから、第2弾として同じくロシアの古典であるドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読み始めた。最初しばらくは、全く面白くなく読み進めるのがつらかった。序文の意味が分からないし、第1部の書き出しも人物紹介形式になっており、つまらない。だが、中盤から物語が流れ出すと多くの登場人物が複雑に絡み合った人間関係と、宗教や哲学、ビジネスに関連した様々な出来事が起こり、どんどん面白くなっていく。これは、最初のつまらない部分がやはり大事で、複雑な舞台設定を説明した上で物語を重層的に展開している著者の巧みな技なんだと思う。長編であるが、案外早く読み進められそうな気がする。
「社会主義的なキリスト教徒っていうのは、社会主義的な無神論者よりおそろしいんです」p175
「(修道院長に向かって)ほんとうにそんな褒美がいただけるんでしたら、わたしだって精進に励みますよ。だめです神父さん。他人さまのパンをあてにして修道院にひきこもり、天国でのご褒美を期待するのはやめて、俗世で善行に励み、社会のためになることをしてください」p235
「ロシア女の美しさに通じている男なら、グルーシェニカをひと目見ただけでまちがいなく、こう予言することができただろう。その新鮮なまだ若々しい美しさも、30歳が近づくころには調和を失い、線も崩れて顔の皮膚はゆるみ、目じりや顔には恐ろしいほどすみやかに小じわがきざまれ、顔色はくすんで赤茶けた色に変ってしまうかもしれないと。端的にいってこれは、とくにロシア女にしばしば見かける、つかのまのはかない美しさというものなのだと」p400 -
第2編の修道院での会合が理解しにくく、なかなかページが進まず挫折しそうになりました。
ちょっと私には難しかったです。
しかし第3編からはカラマーゾフ4人のそれぞれの個性が出て面白い展開になったので読むペースが上がりました。
久々に手こずって読むのに時間がかかったので2巻目はスラスラ読めるといいなっ! -
ロシアの文豪ドストエフスキーの最高傑作といわれる長編小説。モームの世界の十大小説にも数えられる超名作。
キャラ立ちが濃すぎるカラマーゾフ一家の面々に、金と女と信仰がからんでドロドロな世界観が出来上がっている。難しいイメージの本作だが、興味深い人間関係やリアルさのある各人物の心情に入り込みやすいため、意外にも第一部はすらすら読めた。グダグダな昼ドラ的展開が面白くもあり複雑でもあるなか、主人公アレクセイの清涼感には癒やされる。 -
長い長い物語の序章。ドタバタコメディ的な魅力があるため、世間で言われてるほど読みづらくはない。
「東大生〇〇が選んだ〜」だの「世界最高峰の〜」といったレッテルが手に取るまでの敷居を上げてしまうが、感触は「銀魂」みたいなもんだ。気軽に挑め。
序盤だけあって人物紹介やドストおじさんの語が多くてダルいセクションもあるが、物語を最後まで読んだ上で戻ってくると、この巻の濃さ、面白さに驚く。 -
とても簡単とは言えない小説だが、やはり世界的古典の名著なだけあって読む価値がある。
様々な登場人物の間で行われる会話の内容はとても教養深く、長いのに飽きが来ない。
私は小説を半分まで読み進めた後マンガを読み、また最初から読み始め、読了できた。
マンガを読むと人物のイメージがしやすくなり、本全体(特に会話のシーン)がより面白く感じる気がするので、本書を読む前にマンガを手に取ることをお勧めする。 -
学生の頃に手をつけた時は、よく分からなくて一巻も読み切らなかった。改めて読んでみたら、場面をイメージできるという意味で読みやすく、先が気になって全巻読むことになった。とくに4巻が面白かった。5巻のエピローグは、これでもう終わってしまったのかと、第二の小説が執筆されなかったことが残念に思った。イワンとミーチャが人間らしくて好きだ。この二人が今後どんな人生を送るのか知りたかったなぁ。5巻は、ドストエフスキーの生涯と作品の解題があり、それらが主なのだが、これも読んでよかった。
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ドストエフスキー再ブーム?を起こした亀山郁夫先生の満を持した新訳。正直訳の解釈をめぐって学者の間では批判もあるようだが(木下豊房先生に代表される)、一読者としての感想は、読みやすいカラマーゾフの兄弟、そして解説が非常に興味深いことである。
ただし残念ながら読みやすいということは、必ずしも心に残るという意味ではない。例えば新潮文庫の原卓也訳は愛称一つ一つをおそらく原文に忠実に書いているので、読み手が愛称の変化で登場人物の気分の移り変わりを勝手に想像することができるのだが、その点では亀山新訳は統一感というか、読みやすさを重視しているように思われる。
私のような素人の読みでは、物語のプロット、抽象的なテーマ、ロシアのキリスト教、ロシア史、ドストエフスキー個人史などを示すところから大きな差異は感じなかった。