上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部

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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929107

感想・レビュー・書評

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  • (No.13-57) お仕事小説です。

    『鮫島静緒(さめじま しずお)は、冨久丸百貨店芦屋川店勤務の外商員。男っぽい名前だけれど女性。
    ちょっと前まで結婚していたが、ただいま独身。子供はいなかった。というよりそのことでいろいろあり・・・離婚。友人は「ダンナを断舎離」と。
    百貨店は女性が多い職場だが、外商員はほぼ全員男性。静緒は冨久丸百貨店で初めての女性外商員として抜擢された。しかも大卒でなく専門学校卒の中途採用だったのに。当然風当たりは強い。

    実は冨久丸のカリスマ外商員・葉鳥が自己都合で辞表を提出。人事部は後任を育てるという名目で1年間雇用を引き延ばし、葉鳥氏の跡継ぎ候補として全国の支店・系列店から優秀な店員が10人ほど集められた。その紅一点が静緒。

    跡継ぎ候補は葉鳥氏からお客様を数名ずつ譲られ、今までと同じ又はそれ以上のお買い物をしていただく。さらに自分でも新しい顧客を開拓。
    1年後も外商として残れるかは、成績しだいという厳しさ。

    今まで上流階級とは無縁だった静緒は必死で勉強し、お客様に気持ちよくお金を使っていただくべく努力を重ねるのだった。』

    デパート(百貨店)には外商というものがある、ということを知ったのはいつ頃だったかなあ。
    母を通じてだったかもしれないな。今とは違ってデパートにもっと重みがあった時代。母の友人宅で外商が出入りしているお宅もあったでしょう。家はそういうことはなかったけど。
    私は子供のころも今も、それほどお買い物に興味がない。デパートにわくわくして出かけた、という記憶はないなあ。昔は、買う必要があるもののために行くくらいの感じ。今はデパートより、イオンだわ~。

    ここに描かれる百貨店は、静緒の視点しかも外商としての視点なのですが、それでも先の見えない業界の苦悶する姿を見ることが出来ます。
    景気はそれほど良いとは言えない。でもお金があるところは実はあるのだ。そのお金をどうやって使ってもらうか、静緒のやっていることは戦いと一緒。
    戦いながら、「わたし何やってるんだろう」と時々後ろめたくなったりする静緒です。

    あまり縁のない百貨店外商の内幕を知ることが出来、カリスマ・葉鳥氏、天敵・桝家、課長・邑智(おおち)、上流階級のお客様たち、など面白い人がたくさん出てきて、楽しく読めました。

    続編出来そうじゃない?書いて欲しいな。

  • 製菓学校を卒業してケーキ屋でアルバイトをしていた主人公が、百貨店からスカウトされて百貨店の外商員(百貨店の年間売上の3〜4割を占め、お得意様カードを持っていて年間70万円以上の買い物をしてくれる上流階級の人に訪問販売などをする職業)になって奮闘する物語だった。

    外商員という職業自体、はじめて聞いた。
    上流階級の人に少しでも買ってもらうよう、家庭の事情を考慮し、作戦をたてながら営業すると知り、大変な職業だなと思った。

  • 図書館で小説コーナーをふらふら歩いていて手に取ってみた本。結果、読んでみてすごく良かった。

    百貨店の外商という、庶民からしたら交わることのない世界の中で進む話。未知の世界なのに、主人公の女性の働き方には取り入れたい考え方や動き方があるからか、どんどん引き込まれるし共感できることも多かった。

    比喩としてマイフェアレディが出てくるけど、こういうクラシックや映画は見ておきたいな。

    印象に残ったところ:
    -セリフ「教養とは頭の中に詰め込んだテキストではない。教養とはふるまい。手間暇をかけた身なりと、正しい日本語と、落ち着き。」

    -紳士服におけるストライプ柄のネクタイはもともとイギリスではストライプの種類によって所属するグループを表す、シルクのピンドットが無難とかいう情報も面白かった。ブランドや上流・一流としての身なりにはあまり興味がない私だが、こういう背景や身なりの整え方とかは奥が深いし学んで楽しいことかもしれないと思う。

    -お持たせにするワインやスイーツを考えること、アンテナを張ることの大切さ。

  • 知らない世界を知れる。
    読書の楽しみの一つです。

  • 全然そんなことないんですが
    なんだか私の雰囲気が上流階級と職場でよくいじられ。ファストファッションもセール品も大好きですよ?でもついにブクログのおすすめ本にまでこの本が出てきたのでこれはもう読むしかないなって思って図書館行ったらありました。笑

    最初の方はもうとにかくぜんっぜんはまらず、私こんなセレブじゃないしこの主人公と同じようになんかこんなお金持ちっているんだなぁってため息つきたくなるようなそんな気持ちで読んでました

    でも、どんなにはまらなくても最後まで読むのが私のモットー

    ちゃんと、はまっていきました。笑

    誰かの喜ぶ顔が見たい
    幸福になってもらいたい

    それはどんなに高いものでも、どんなに安いものでもきっと同じ。

    仕事も恋愛も、頑張れるようになれたらなぁ

  • 開店時の整列お辞儀はどちらかというと苦手。

  •  関西に馴染みがあるため親近感の湧く作品だった。外商という馴染みの少ない職業だったため、こういう世界もあるのかと楽しんで読むことができた。

  • 主人公が百貨店の外商に配属され、男社会のなかで自分自身のそれまでのキャリアや長所をいかし”外商らしくない”工夫を凝らしていくところは刺激を受けました。”外商”まわりの世界は自分と縁遠いためあまり感情移入できませんでした。
    パート2も刊行されているようだけどそっちを読んでみようという気にさせられるほどのおもしろさは自分には感じられませんでした。

  • 静緒さんかっこいい。憧れる。
    外商って頭も度胸もバイタリティも要るんだな。
    私には務まらなさそう。
    外交にストライプのタイがダメって初耳。
    そういう知識もっとほしい。

  •  世の中には自分の知らない世界というのが確かにある、そうセレブと呼ばれる人達の世界、その一端がここに…!
     じゃなかった(笑)セレブを顧客として接している百貨店外商の話です。いや、コレはコレで知らない世界で興味深い、宝飾品やペルシャ絨毯というのは想像がつきますが、まさか葬式まで扱ってるとはね~
     そしてセレブなお客様と接する外商員の努力ときたら、よくぞそこまで、と感心しきりです。お客様のために外国語を勉強したり、品薄の仮面ライダーベルトを求めて日々電話を掛けまくったり(涙)一人の売上ノルマ月1500万(月だよ、月)は伊達じゃない。
     

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著者プロフィール

1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。主な著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、『マル合の下僕』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』、『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(文藝春秋)など。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

「2023年 『忘らるる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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