- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784335651571
作品紹介・あらすじ
うつ病患者の多くは、薬だけでは治らない。皆、忙しい現代社会のなかで、睡眠不足、不規則な生活、過渡の飲酒など、生活習慣の問題を呈しているからである。わが国の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」を主宰する著者が、療養指導と精神療法の実践を説く。
感想・レビュー・書評
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実践に裏打ちされた説得力のある論。著者は、軽度の抑うつや不安、不定愁訴の背後に総睡眠時間の不足や睡眠-覚醒リズムの乱れがあり、それを正すことで主訴が軽減されるという考えをもっている。それ自体は慧眼である。
ただし「内因性の睡眠-覚醒障害」という患者(例えば、時計遺伝子のタイプによりリズムが乱れやすいなど…)もいて、そのような人たちにも著者が同じ生活指導をしているのだとしたら、いささか性急で、時に乱暴であるかもしれない。著作の言葉は一見すると極めて正論なので、この点は注意すべきである。
同業者(精神科医・心理士)への批判や警句はもっともであり、「その通りでございます」としか言いようがない。また著作の面接の覚書はとても勉強になり、「メンタルよりフィジカルを」「症状より主題を」といった提言は示唆に富む。 -
前著「プライマリケアの精神医学」に重なる部分もありますが、それよりも少し専門家向けの著書。文体が平易でわかりやすく書かれています。非精神病性・非器質性精神疾患を診る際に心しておかなければならないコツが的確に述べられています。「病気よりも人間を、診断よりも治療を、症状よりも生活を」という方針に徹し、「症状より主題を」いかにつかむかがポイントです。明日からの臨床に悴せれるエッセンスが詰まっていました。
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井原裕/著
内容: 薬物療法偏重に抗して なぜ精神科医は薬に頼るのか 索引あり
大学精神医学の薬物療法偏重について
薬に頼らない精神科医を育てる
うつ病臨床の常識を問う うつ病臨床の常識を問う
生活習慣病としてのうつ病
治療以前に療養指導
うつ病臨床における「えせ契約」
双極性障害と疾患喧伝
うつ病の精神療法と面接 うつ病・うつ状態の精神療法
うつ病面接のコツ
精神科医のアイデンティティとしての精神療法
支持的精神療法
保険診療における精神科面接
都市型臨床の時代 都市型精神科臨床の時代
都市生活のなかの人間学
人生の目的は通院ではない