- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344014152
感想・レビュー・書評
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主人公のとある事情で歪んでしまった(どこか上から目線な具合)感情と、どんどん過疎化する団地の閉塞感と、読んでいてざわざわする物語だった。
希望のある着地点だったと思うけれど、主人公に対して一抹不安を抱いてしまう読者は私だけではないはず…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんだか、胸に重たいものの残るお話でした。
主人公の彼が痛々しくて、辛くて、ずっと目をそらしたかった。
彼から去っていった人たち、くたびれていく団地の様子、からまわりする執着心。
終着点はどこにあるの、と心許ない気持ちになります。
それにしても他の卒業生の事件の受け入れ方が未だに不思議。
特別な出来事だったのは彼だけなんでしょうか。 -
初読のときは何を読んでいたんだろう。今回再読して、この物語の重さ、強さに圧倒されてしまった。
小学校の卒業式での出来事が原因で団地から出られなくなってしまった悟。でもそのことに正面から向き合うことを避け、「団地から出ない」という人生を歩もうと決めた悟の17年間が順番に語られている。わかりやすい救いもないし、出来過ぎた展開もない。うまく行きそうになってでもだめになっての繰り返しが、どうしようもない閉塞感を的確に表している。
悟の歪さがざらっとした読後感を残す。彼が団地から出られるようになるまでには17年という時間が必要だったのだ。
少しずつ人が減っていく団地の有様がとても悲しい。たとえそれが必然的な流れだったとしても。 -
ありえないようでいて、妙にリアル。私が子どもの頃住んでいた団地も中に小さな商店街、郵便局、保育園、小学校2つに中学校1つがあったので、イメージしやすかったです。蛇足ですが同名のカナダ映画とはなんの関係もありませんでした。
※文庫あり
(図書館で借りた本) -
これでいいんだ
って幸せを感じられる一冊でした。 -
もうひと息。素材と前向きなラストはよかったが、ちょっとリアリティが足りないのかな。
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小学校を卒業してから、おれは団地を出ないことにした。
団地の図書室で本を読み、団地のジムでトレーニングに励む。
そして夜はみんなに異変がないかパトロール。
中学を卒業した年からは団地のケーキ屋に就職した。
師匠の腕前はたいしたものでケーキ作りはおれに向いていた。
少し女々しいがなんでも話せる友達もでき、
小学校の頃好きだった早紀とつきあうこともできた。
しかし幼なじみは次々と団地の外へと去っていく。
イラストレーション:赤津美和子 ブックデザイン:松昭教
面白い着想の話だった。
最初はどうして団地から出ないのか不思議だったけれど
途中でその理由が明らかに。彼も被害者だったのだ。
狭いコミュニティの中での噂の伝わり方や
高齢化・スラム化など団地の抱える問題も浮き彫りに。 -
団地住まいだった自分にとって、懐かしさと親しみを感じるないようだった。
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一気に読みました
団地恐怖症の私としては、団地から出られない方がむしろ怖いのですが・・近所の団地を想像して読んだら超ハマりました -
団地の敷地から一歩も出られない男の子が主人公です。息苦しくなってくるのですが、この少年が団地で成長してゆく様子をまるで母親のように見守りながら読み進めていきました。不思議と元気をもらえます。