- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344422308
感想・レビュー・書評
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昔の映画館の話がとにかく面白い。そして豊かな語彙力と表現力にただただ圧倒された。大人が対象の読書感想文コンクールがあったら課題図書にしたい。
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もぎり・映画館・もぎり・映画館・もぎり・もぎり…
片桐はいりさんのもぎり時代の思い出から俳優になるまで、なった後、執筆現在に至るまでの映画館にまつわるもぎり話を存分に詰め込んだ一冊です。
お茶目でクールでユニークでレトロな文体の面白さと言ったら。
「わたしのマトカ」ももうすでに読んでしまっているので、あとは「グアテマラの弟」しか残っていないのが寂しいです。
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片桐はいりさんの文章もすごく好き!
私は音光映像長時間集中がだめな人なので、映画はなかなか普段見ないのですが。。。
そんな私でも映画館にいって映画をあじわいたいと思える1冊でした。
映画館そのものの魅力、映画のある街の魅力、映画がつくられていく魅力、映画にまつわるとにかく全ての好きと愛が詰まった本でした。
もう好きとかじゃなくはいりさんの人生そのものなんだなあ映画はきっと、、
好きをずっと続けていくことも人生になっていくんだなー。
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原田マハ『キネマの神様』文庫本の巻末解説を書いているのが、この本の著者・片桐はいり。ご存じの個性派女優だが、この方が映画館育ち(元もぎり嬢、ちなみに原田マハもそうだったらしい)とは、知らなかった。それにこんなに文章が上手くて語りが面白くって、などということもぼくは全然知らなかった。
そんな元もぎり嬢であるばかりか今もボランティアでもぎりチャンスがあれば映画館に繰り出してしまうという皆様ご存じの本業は女優である片桐はいりによる、映画愛溢れる名エッセイ集。シネコンの現在ではシネチッタ銀座として知られる元・銀座文化というシアター(当時はシネコンではなく名画座という種類の愛すべき映画館であった)でもぎり嬢をやっていたという著者だが、『キネマ旬報』編集者から文章を依頼されてきただけあって、エッセイ能力は映画愛ともども半端ではない。若い頃の青春の思い出と、映画と、映画館のことを、愛情いっぱいに語ってくれるばかりか、その頃の映画館の暗闇が蘇り、映画への愛がこみ上げ、言葉のひとつひとつが心に響いてくる。まさに古い名画座時代の映画ファンにとって、かけがえのない一冊なのである。
銀座での映画と言えば、ぼくは個人的に父と行った数少ない劇場体験となるテアトル東京の巨大シネラマ・スクリーンが記憶に残る。普通の映画館ですら今のシネコンに比べれば相当スクリーンが大きかったのに、その三倍もあるような横長巨大スクリーンの上を、チャールズ・ブロンソンとアラン・ドロンと三船敏郎が、銃で、剣で、暴れまわってくれるのだった。そう、その作品は、英仏日三大俳優共演で話題となった『レッド・サン』である。三船がどうだったとか、時代設定がどうなのかな、とか父子で楽しく語り合いながら帰る夜道が楽しかった。くっきりと記憶に残る今は亡き父のあのときの笑顔。1971年。中学三年のある日。
ぼく自身は若い頃は強烈な映画ファンであった。小学生の頃から大宮オリンピアに通い、浪人時代以降は、池袋文芸坐を軸に、『ぴあ』を毎週買い求めては名画座をまわった。週末の夜などは、オールナイトの5本立てなども観ました。就職をしても会社が本郷三丁目だったので池袋までは地下鉄で15分とシチュエーションにも恵まれていた。
入場券を買い込んではもぎり嬢(時代から言って文芸坐であればそれが若き原田マハさんであったことも考えられる)にもぎってもらい、名画座の暗闇にはいってゆくときの浮き浮きした気分は忘れられない。煙草の煙が立ち上るあの頃の闇。映画が目的ではない怪しげな人の姿。それら、当時の映画館という非日常空間のことを本書は沢山思い出させてくれる。映画というものを酸素のように求めていたあの頃の自分、アゲイン! と思わせてくれる。
本エッセイは前半部分にそういった映画愛や映画館の裏話、逸話などに要点が詰まっており、後半は現在に近い片桐はいりという女優の役者仕事に絡めながらの旅芸人のような映画紀行、または古い映画館や映画館の跡を訪ねる作者のこだわりとそのときの思いが、綴られる。タイムスリップによる夢の再現から、現在から振り返るあの時代への哀愁とを両面から向かい鏡のように見せてくれる。映画のように。万華鏡のように。
映画に人生の一部をつぎ込んだという意識のある方には、是非とも本書を手に取って頂きたい。映像がデジタル化する前の時代に生きた年代の方であれば、本書は幼い時代の幻燈のように、屋外の広場に張られたスクリーンの風に波打つ映像のように、切なく心を打ってくれるものとぼくは想うのである。 -
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2022/04/28
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2022/04/29
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片桐はいりさんが女優となる前から愛してやまなかった、映画と映画館。
昔は劇場としてそこで「もぎり」として働いていたのだそう。
時代の変化と共に変わっていく劇場ともぎり。
けれど、そこには変わらないものもある。
はいりさんと映画、そして劇場とそこへの愛が詰まった一冊だった。
「有難う」「有難う」と言い続けたら、有難いことがかならず起きる。 -
もぎり時代のエピソードから俳優になってからの映画館巡りのお話など。
表紙もカワイイ。タイトルが映画のもじりになってて元ネタを考えるのも楽しい!今とは違ったデイープな賑わいのある映画館とその世界を味わい尽くさんとするはいりさんと仲間たち、時々界隈の人のエピソードがフフッとなって楽しいそして羨ましい。地方に繰り出すエピソードが多くてちょっとした旅行記みたいにも読めるのも面白い。地図で見たら案外映画館が遠い地域って多いんだなぁ。館数も鑑賞環境もたくさんあるとこは羨ましい〜。映画館で映画観たい〜! -
片桐はいりさんがもぎりのバイトをしていたことは知ってたので、気になって読んでみました。
片桐さんは謎多き人ですが、これを読んでとても魅力的な方だと感じました。
映画を心の中心に据えながら、旅を、食を、日々を楽しんでいます。すてき。
各話のタイトルが映画をもじっているのが面白い!
映画旅、読書旅、したいなぁ…。 -
はいり作品3作目。
ただ、ただ、
映画愛ともぎり愛に溢れたユーモアたっぷりの作品。
映画館は、今もちょっとした非日常を味わえる空間だけど、
レンタルとかネットで気軽に映画を見ることができなかった時代は、
もっともっと特別な空間だったんだろうな。
私にも、お気に入りの映画館は
いくつかあるが
もっといろんな映画館を巡りたくなった
そんな作品 -
映画よりも、映画館や劇場に愛着を感じられるエッセイでした。旅行先はもちろん、近所の人達ともフラットに付き合えるはいりさんの人柄が素敵です。どこかの映画館で、もぎりを楽しんでいるはいりさんに会えたらいいな。