人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427303

感想・レビュー・書評

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  • 『この世には狂ってでも守らなきゃならないものがある。
    そして子供のために狂えるのは母親だけなの』

    我が子のために何が出来るのか?
    そしてそれは正しい事なのか?
    自問自答しながら答えを導き出す薫子は、本当に頭の良い女性

    警察の前で、我が子にナイフを振り上げる薫子の行動は、表面上は錯乱しているように見えるが、実は冷静で、色々な事を考えている,

    自分の子のために暴走する母親と、それに巻き込まれる周囲の話かと思ってたら、
    えっ 何?全然違う!なんと奥の深い。
    私だったら、そのままの話になりそう

  • 個人的には東野さんの作品の中でも上位に入ってくるほどかなりの読み応え!
    「脳死」をテーマに様々な展開が繰り広げられる。
    何が正しくて何が間違っているかなんてない。
    各々の立場や関係性、その考え方によって正しいと思える事も間違っていると思える事も違ってくる。
    だから登場人物達それぞれの思いや考え方、感情の揺れに共感してしまう。
    ただの母親の狂気だとは思えない‥けれど母親の自己満足だという側面にも抗えない。
    何かを受け入れると何かを切り捨てなければならない。
    どれだけ読んでも正解の答えはない。
    あるのは各々の心をどうすれば納得させられるのか?だけかな。
    果たして皆が納得出来る「脳死」なんてあるのだろうか?
    その答えは永遠に出てこない気がする。

    東野さん、すごい小説を書いたなぁ

  • この世には狂ってでも守らなきゃいけないものがある。いたいほど母親の気持ちはよくわかる。自分(私)もどうなるかわからない。
    可愛い盛りの我が子に脳死、臓器移植が降りかかったら。
    電気信号にしたって、それで奇跡をと僅かでも望みがあるならば。実際その立場になってみないと、理解なんてできないと思う。受け入れるには時間が必要。

  • 命について考えさせられる物語
    特に脳死と臓器提供の問題について考えさせられます。
    子供を持つ親として辛い物語!

    ストーリは
    娘がプールでおぼれて植物状態に..
    脳は機能していないという状態で、娘は生きているのか、死んでいるのか?何が生きているということなのか?
    この状態を受け入れられない母親の薫子は、娘の延命処置を自宅で行うことを決意。
    技術会社社長の夫和彦の技術とお金を活用して、横隔膜ペースメーカーを導入したり、電気信号で筋肉を動かしたり。
    これは介護なのか?
    すでに死んでいる人間を自己満足で人形のようにしているだけなのか?
    狂気ともいえる薫子の姿が周囲との軋轢を生んでいきます。
    彼女は死んでいるのか?
    何をもって彼女の死とするのか?

    ついに薫子の狂気は、警察の前で娘の胸に包丁を突き刺そうとするところまで!
    娘が死んでいるとするなら、包丁を突き刺しても殺人と言えない

    ディープです。
    しかしこのような問題提起は好きです
    「天空の蜂」での原発への問題提起を思い出します

    そして、いよいよクライマックスへ。
    母親の狂気のような愛に熱いものがこみ上げます。

    「この世には狂ってでも守らなきゃいけないものがある。そして、子供のために狂えるのは母親だけなの」

    とってもお勧め
    映画見たい!

  • この手の重い小説は賛否両論ありそう。東野圭吾だから、読みやすくさらっといけたけど同じ題材を村上春樹が扱ったら読むのに3年かかりそうw
    内容自体はかなり面白い。綺麗事だけじゃない人生ってこうだよなぁって思う。

  • 臓器移植、脳死、死に対する法律。
    奥深さを感じた。

    狂った母親とみるか愛情深い母親とみるかそれは人それぞれなのだろう。

    ラストはホッコリでもあり、もどかしさもあり、この三年間で何が残ったのだろうかと寂しさも残りました。

    展開が早かったので飽きもなく読み進められました。

    読み終わった今日、劇場版観てきます( •8• )笑

  • 高校時代に読んだ『変身』を思い出した。
    読んでいる間は気持ちがずっと落ち込んでしまった。自分が同じ境遇になったことがないため、登場人物の誰にも共感はできなかったが、家族と臓器提供について話し、免許証、保険証の裏面を一緒に確認してみた。読んだ後、子供の臓器提供がされたというニュースを見た。提供したお子さんとご家族がこの本の中にいるような気がした。

  • 2015年初版。著者の作家活動30周年を記念して発刊された作品とのことです。著者の作品は、よく読んでいます。いつも面白く楽しませていただいています。30年にわたり流行作家として第一線を走り続けていることに驚きを感じます。さて、作品ですが、脳死・臓器提供という大きな問題について、取り上げている作品です。複雑に揺れ動く母親の心情や周りの人々の戸惑いが臨場感を持って伝わってきます。どういう結末になるのか楽しみに読了しました。面白い作品でした。

  • ❇︎
    ずっと積読だった『人魚の眠る家』

    どんな結末を迎えるのか、どう話は終わるのか
    ラストを楽しみに一気に読み終えました。

    脳死の問題点と子の回復を願う母親の思いが
    鮮明に描かれていて、小説を読んでいるはず
    なのにどの場面も絵が目に浮かびます。

    脳死、臓器移植、生を補う最先端の技術、
    理屈が通れば正ではないし、かと言って
    感情のみに偏っては狂気的や自己満足に
    なりかねない。

    善悪や愛憎が表裏のように、狂気と正気も
    とても危いバランスの上に成り立っている
    そんなふうに感じました。






  • 冒頭から涙。
    一般の家庭でも同じ境遇になる可能性はある。
    AIの台頭が人間社会に与える影響を1シーンとして取り上げてこのような作品になるのだから、東野圭吾はやっぱり凄い。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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