人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427303

感想・レビュー・書評

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  • 命についてとても考えさせられる小説。
    一見本編にはさほど関係のない、重要でないような事柄も、最後の最後に全部すっきりと回収される。
    手放しでハッピーエンドと言えるかは分からないけれど、いい終わり方だった。絶対に一度は読んだ方がいい。
    私は映画を先に見たので、映画のイメージがどうしても離れなかったが、生身の人間が演じた方が、よりこの作品のテーマをよく表していると思った。私は原作を先に読むことを普段は推奨しているが、この作品は映画を先に見ることを絶対におすすめする。

  • 先日、脳死した男児のご家族が臓器移植に承諾したという記事を目にしました。
    ご家族は、「どなたかの体と共に生きていてくれることを願っています。願わくば親より生きてください」と仰ったそうです。

    この短い言葉にとても大きな悲しみと愛が詰まっていて胸が苦しくなりました。
    同じ親として自分ならどうするのだろう...

    意図してではないけれど、今回この作品を手に取り、脳死について少し理解し、もう一度考える機会を持ちました。

    結果から言うと、わかりませんでした。
    その立場にならないと、容易く言ってはいけないような気がして...

    母親の行動には狂気さえ感じたけれど、きっと母親も頭の片隅ではわかっていたはず。
    それでも受け入れられないことってあると思う。

    3年間狂うほどの愛を注ぎ、やっと向き合うことができたのだろうと思った。

  • 子供の脳死・臓器移植の問題を扱った、社会派小説。

    プールで溺れ、一時心肺停止てしまった6歳の少女(瑞穂)は、病院搬送後に甦生したものの、脳の損傷が激しく、意識が戻らず、自呼吸もできず、脳波はフラットの、実質脳死状態になってしまった。事実を受け止められない播磨和昌・薫子夫妻だが、医者から、脳死判定を行って臓器提供するかどうかの決断を迫られてしまう。夫妻がとった行動は…。

    一縷の望みをかけて必死に介護を続ける瑞穂の姿に、母性の強さと狂気を感じた。冷静・合理的な父親と、感情的・献身的な母親。この違い、本能のなせる技なのだろうか。

    脳死状態でも体が健全に成長する生命の不思議。読んでいて、奇跡が起こるのではないかとちょっと期待した。

  • おそらく脳死していると言われた娘の介護をする母親と、その家族の話。

    同じ母親として感情移入してしまい、辛くなった。脳死は、ごくわずかな脳の機能が残存していたり心臓死とイコールでなかったりするところが残酷。いつか意識が戻るのではないかと、わずかな望みにすがりたくなる気持ちはすごく共感できた。
    ラストはみんなの納得する形で訪れて良かったと思う。

    脳死のほかに臓器移植等についても描かれていて、自分の倫理観と向き合う読書時間になった。
    とても面白かった。

  • 難しいな。
    人それぞれ考え方が違うから、正解なんてなくて。
    死ぬってどういう事だろうって、すごく考えさせられた。
    脳死・臓器提供とすごく重いテーマだけど、読んだ後は気持ちが前向きになる感じ。
    良かったなぁって思った。




  • 興味深いも含めた面白かった。
    物語としても楽しめるし、命について考えさせられる。

    私が印象に残った言葉

    「この世には意思を統一しなくてもいい、むしろしないほうがいい、ということがあると思う」

    ありきたりだけど、葛藤し抜いた末に出た結論には、説得力があった。

    明るい話ではないけど、暗すぎるわけでもない。

    オススメ〜〜〜

  • 一気読みでした。
    何を基準に脳死が人の死になるのか?ということが常に問われていたように思います。
    病院での脳死判定で脳死が出たら死になるのはもちろんなのですが、この本の中では、そんなことは関係ないです。
    余談ですが、薫子さんある意味強い。

  • 「娘の小学校受験が終わったら離婚する」。そう約束していた播磨和昌と薫子に突然の悲報が届く。娘がプールで溺れた…。病院で彼等を待っていたのは、“おそらく脳死”という残酷な現実。一旦は受け入れた二人だったが、娘との別れの直前に翻意。医師も驚く方法で娘との生活を続けることを決意する。狂気とも言える薫子の愛に周囲は翻弄されていく。

  • 脳死、臓器提供、という難しい問題がテーマでした。

    何をもって「死」とするのか、に対しての考え方は一つではない。
    ましては一番身近な家族がその対象になってしまった場合、簡単に答えを出せるものではないと思います。

    本作では、意識のない娘がそれでも確かに生きていることを周りに納得させるために、母の行動がどんどんエスカレートしていく様子が印象的でした。
    それは母の大きな愛なのかもしれないけれど、狂気とも感じられる。
    正しいのか間違っているのかは、誰にも決めることはできない…ってことなんですよね。。。


    最後のエピローグはじ〜んときました。

    そして確信するのだ。この大切な命をくれた子供は、深い愛情と薔薇の香りに包まれ、きっと幸せだったに違いない、と。

  • 脳死と判断して臓器を提供するか、植物状態として生かすか。。。家族の選択が生死を左右する。
    母親の異常さが怖かった。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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