人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427303

感想・レビュー・書評

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  • 脳死、延命措置、臓器移植。
    重たいテーマばかりで読んでいて胸が苦しくなった。

    これまで自分事として考えたことがなかったけれど、不慮の事故で夫や子どもに起こる可能性だってあるのだと気付いた。

    自分の子どもが「脳死の可能性が高い」と言われたら。
    受け入れられないと思う。可能性の話なのであれば、親としては脳死ではない可能性を信じたくなる。生きているかもしれないのだとしたら、できる限りのことはしたい。延命措置だろうとなんだろうと施すだろう。あえて検査をして脳死判定させて臓器移植…なんて、とてもじゃないが考えられない。
    では、自分の子どもが臓器移植を待っている側だとしたら。
    我が子を助けたい。早くドナーが現れてほしい。けれどドナーが現れたということは、どこかで誰かの子どもが亡くなったということだ。それは手放しに喜べるものではない。それに、ドナーが現れてほしい=人の死を願っているようで、想像上とはいえ我ながら嫌な気持ちになる。

    このそれぞれの立場の人の意思統一なんて、できっこない。
    薫子の『この世には、意思統一をしなくていい、むしろしないほうがいい、ということがある』という気付きには同意する。

    ラストシーンには感動した。薔薇の香り。薫子と和昌の愛情は瑞穂に届いていたのかもしれない。真相は分からないけれど、そうであってほしい。

  • 何をもって死となすか、考えさせられた。
    薫子の瑞穂への愛、苦悩、狂気じみた執着は、わかったつもりでもわかりきれていない気がする。

    もし仮に自分が脳死したら、のこされた家族が同じように苦しむのか?と考えるといたたまれないので、臓器提供の意思表示をしておこうと思う。

  • 脳が機能していなくても心臓が動いている状況で、その本人が意識がある時に臓器移植の判断を何もしていなかった場合、家族が決断することが法律で改正された。診断を受けることで初めて脳死と言われる。

    もし、自分の子どもが、事故で、脳が機能せず、心臓が動いている状態になってしまったら?

    脳死判定を希望し臓器を役立ててもらうのか、それとも心臓が動いているうちは生きていると判断し介助するのか。

    子供に限らず、自分の家族が当事者になったら、とても難しい選択である。
    判断できるだろうか。

    子どもを自分の会社の技術で回復させようと躍起になり、周りを巻き込んでいく姿は狂気に満ちている。


    とても考えさせられる内容だった。

  • 兎にも角にも素晴らしい!
    世に問題提起する題材でありながら、本質は人間の生き方について生活とは何かについて描かれた、人を描いた物語であり、そこに少しのスパイスと最高のエンターテイメントを乗せてくる圭吾先生の手腕は秀逸!
    何が正しいとか何はほぼ正解だとかは無く、百万通りの解の可能性を見せるのが圭吾先生の素晴らしさなのはいつものことですが、直近にも臓器移植とか安楽死とか、生死の境界の話を読んだばかりだったこともあって比べてしまう。。。圭吾先生はほんと大好きです!

  • とてもじゃないけど、まとまらない話を、
    まとめず、それでいて締めた。
    そんな感じ。

  • いい話だった。私は薫子がやってることが狂ってるとも、この状態の娘が生きてるともどちらとも思えなかったからただただ傍観者として見てたけど、難しい問題だよなあ。自分が親だったら子供が死んでるなんて認めたくないだろうしな。。普段考えないことを考えられるいい機会だった。機会があれば、映画も見たい。

  • 脳や装置についての説明はかなり難しかったが、それだけ物語がきちんと作られているということで、やはりさすがだと感じた。
    本筋となる家族以外にも物語の幅を広げるようなキーとなる人物が箇所箇所で出て来たりと、その点は読んでいて飽きさせないポイントではあった。
    とは言え、最初の事件以降は特に大きな出来事もなく、少し退屈に感じた。
    結末については、あまり納得できなかった。フィクションなのだから、現実には有り得ないようなハッピーエンドにしてもよかったのではないかと個人的には思ってしまう。

  • 他国との死の重さ、認識が違う。医学的にも“死”の決め手が他国と違うことで悩むのが印象的だった。そして奥様のとった行動が、とても心を抉られた。人の正義が狂っていく。

  • 久々の東野圭吾。
    なんていうか…壮絶。生死の定義って難しいな…。
    子を持つ親として、そこまでしたくなる気持ちは分からなくもないし、回りの反応も当然だと思う。
    『生きている』ってなんだろう。
    法律と、肉体と、曖昧な部分がどーんときます。
    自分的山場は募金とところも入れたい。

    面白かった。




    @手持ち本

  • やばいくらい涙腺に来る小説。
    考えさせる内容で、特に第五章の「この胸に刃を立てれば」は圧倒されるような感慨もあり。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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