本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396615406

感想・レビュー・書評

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  • 題名を見ただけでは何の本かよくわからないと思います。
    一言で言えば、題名にもある通り、本当の知性を磨く為にはどうすれば良いか、その方法について書かれた本です。
    もう少し具体的に言えば、今で言えばグローバル、昔で言えばインターナショナルな人間、国際社会でも通用する程に海外の文化や思想にも詳しく、異文化も取りいれる姿勢を持った人間になる方法と言った所でしょう。
    細かい所では語学習得の方法も書かれています。
    英語が苦手な方はそこだけでも読んでみると、カルチャーショック受けるかも。
    今からの時代は、ますますグローバルが必要となります。
    読んですぐに何かに役立つという類の本ではないかも知れませんが、グローバル時代には必要な知識が満載です。
    乗り遅れるのが嫌なら読んだ方が良いでしょう。

  • リベラルアーツを理解しようとするときに、「これとこれを学べば」と言われたまま勉強するのは、既に著者の主張に反します。

    「手触り感」「独自の見解」「強い疑問」の3つをキーワードとして挙げています。

    子供の頃からの周りの意見や社会慣習すら疑い、
    抽象的な理解に留まらず、
    確固たる自分の意見を持つ、
    そのための学習です。

  • 自己啓発

  • 借りたもの。
    日本人のための、今、必要とされるリベラルアーツについてまとめられたもの。
    良著。
    「教養とは人格形成のために必要なもの」とする従来型(大正教養主義)のイメージは払拭し(むしろ忘れるべき)、古典の「七自由学芸」とは異なる、現代にあったリベラルアーツを新たに定義する。
    図書館十進分類法にあるような個別の学問体系ではなく、下記の包括的な4つの枠組みに再定義する。

    1.人間の心のしくみ
    2.人間社会のしくみ
    3.自然界のしくみと自然の利用
    4.技の洗練・美の創造

    リベラルアーツはリーダーを鍛え、生き方を考えるものであり、それはグローバリズムの時代に多様な「文化のコアをつかむ」ことを目的とする。

    そのためのリベラルアーツを学ぶために必要な感覚を、3つに表現している。

    1.観念論的・理念的ではなく具体的・感覚的にとらえる(手触り感)
    2「独自の見解」を持つ
    3「強い疑問」を持つ

    そして健全な懐疑精神を持ち、突き詰めてゆくことで「文化のコア」、すなわち「原理・法則」を知る。

    「リベラルアーツ」という言葉を提唱したヨーロッパの歴史に始まり、日本と比較、更には中国やインドなどの東洋から、イスラームまで、網羅していく。
    戦争のイメージを例に挙げるだけでも、武士や一部の人間の生死がかかっていた日本と、一族や全財産を掛けて戦っていた(負ければ皆殺し)ヨーロッパ、中国とはスケールが違うと示唆。だから現代でも中国の為政者の発言は、日本の政治家とは異なり言葉を選んで発言していると……

    興味深かったのは、日本が東洋の中でいち早く西洋の科学技術を素早く取り入れられた理由を、「日本は職人や手仕事への従事に重きを置いていたが、中国・韓国は職人や肉体労働を軽蔑し、『文』に重きを置いていたため」とする見解に、目から鱗だった。職人に価値を置くのは日本人独自の感性だったのか……

    本書のなかで語られる“ギリシャの科学精神”、すなわち「原理・法則を追求する」姿勢を貫いている。

    巻末のギリシャ語・ラテン語学習のススメはワクワクする。
    ‘手触り感’をもって語学を解釈する。
    同じように大和言葉から‘日本人は良し悪しは別として、生来的に分析的な思考を避けて、知覚ベースの思考に傾きやすい民族ではないか(p.346)’という点を導き出していた。
    結局、「大量に文章を読むにつきる」らしいが……

  • 資格勉強などの詰め込み知識的なものじゃなくて、日常で自由・公正な考えをするための分野横断的な知識(教養)。
    リベラルアーツを修得してる人は、話してて『知識豊富で、深いなぁ』と感じるような人なんだろうなと。
    過去から学ぶという意味で、あらゆる歴史や言語が主になるけど、範囲は広いし時代とともに変わるので、修得というよりずっと学び(探求し)続ける必要があると思う。日々少しずつでも意識していければと。

  •  「日本人の9割には必要がない」リベラルアーツの再定義。

     「はじめに」で、作者の想定する読者層を「海外とのビジネスに携わる現役のビジネスパーソン」と「生き方について真剣に考える人」と示されていて、私は後者だったので読んでみた。

     リベラルアーツとはなにかを単に大学の教養科目だけにとどまらず「文化のコア」を掴むことと定義して、各文化の歴史書から特性を読み取れることを紹介している。

     例示が興味深くて読みやすかったけど、この本だけ読んでいてはダメ、というか、原文に当たって知ることができると理解に一歩近づくのかな、というように感じた。

  • 社会人に必要なリベラルアーツ。歴史(科学史・技術史まで含む)を学んでその文化のコアをつかむ。それができないといつまでたっても相手の理解ができない。

  • 教養と聞いて連想する内容は22ページ目に否定されて、今の時代に必要な教養が再定義される。丁寧に解説されるので、ここで納得できたらその後の350ページは面白く読めると思う。比較文化や比較言語が好きな人にもおすすめ。こまめな小見出しのおかげで少しずつ咀嚼しながら読み進められた。

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著者プロフィール

1955年、大阪府生まれ。リベラルアーツ研究家、博士(工学)。京都大学工学部卒業、同大学大学院工学研究科修了、徳島大学工学研究科後期博士課程修了。1977年、京都大学大学院在学中、サンケイスカラシップ奨学生としてドイツ・ミュンヘン工科大学に留学。20歳の時の学友との会話とドイツ留学中のカルチャーショックの経験からライフワークとしてリベラルアーツに邁進することを決意。1980年、住友重機械工業入社。在職中、アメリカ・カーネギーメロン大学工学研究科に留学。帰国後、ソフトウェア開発に従事したあと、社内ベンチャーを起こし、データマイニング事業を成功させる。2005年から2008年までカーネギーメロン大学日本校においてプログラミングディレクター兼教授として教育に従事。2008年から2012年まで京都大学産官学連携本部の准教授を務める。在任中に「国際人のグローバル・リテラシー」や海外からの留学生に対して「日本の情報文化と社会」「日本の工芸技術と社会」など日英の両言語でリベラルアーツの授業を展開。2012年にリベラルアーツ研究家として独立し、リベラルアーツに関する講演や企業研修を行う。

「2022年 『中国四千年の策略大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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