いえ

著者 :
  • 祥伝社
3.76
  • (71)
  • (227)
  • (146)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 1719
感想 : 183
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636180

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ひと」「まち」に続く第三弾。

    特に連編という訳ではないが、少し繋がっている。

    題名の通り、家族の物語。

    大きな事故をキッカケに家族が各々違う方向に向いてしまったあと、どのように修復されるのかをドキドキしながら読み進めた。

    飲み過ぎて駅のホームで嘔吐し、駅員に詫びた後に駅員が言った「そういうこともある仕事だと初めからわかってますから」という言葉に感動してしまった。

    何気ない日常を切り取りながらも主人公や家族が嫌な物事を乗り越えていく物語はよかった。

    自分も嫌なことがあっても気の持ちようでがんばろうと思う。

  • まちに出てきた江藤くんの登場、その後が知れて良かった。
    妹の事故から父、母の関係や兄の気持ちがギクシャクしはじめる。いちばんつらいはずの妹がいちばん冷静で就活も頑張り、誰を恨むわけではなくただ、前だけを見て歩いているところがかっこよかった。ものごとはすべて気持ちの問題、下流を進むのを前向きととらえるか、上流を進むのを前向きととらえるかということも。これからの三上家が幸せであってほしい。

  • 我が社の面接マニュアルでは「好きな本」を聞いてはいけない事になっている

    「自分を漢字一文字で表すと?」はOK

    組織の「柱」になりたいです

    情熱の「炎」を燃やし続けます

    柔軟に形を変えられる「水」です

    鬼滅旋風が吹き荒れた年も過去にはありました

    にしても作中のゾンビの考察は秀逸

    ゾンビは漢字一文字だと「屍」でしょうか

  • 大きな事件が起きたり怒涛の展開があったりするわけではありませんが、主人公の複雑な心情が全編を通してとても丁寧に描かれていて、最後まで飽きることなく読むことができました。

    「ひと」「まち」同様に江戸川区平井の風景が印象的に語られており、頭の中に荒川沿いの景色を思い浮かべながら読みました。

    『まち』の江藤くんや郡くんが登場したり、横尾成吾の『三年兄妹』やご自身の著作『ホケツ!』を主人公が読んでいたりと、小野寺さんの他作品との関連が感じられる部分もたくさんあって楽しかったです。

    終盤の展開はちょっとだけ出来過ぎなような気もしましたが、心温まるハッピーエンドでした。

  • 良かった
    毎回、なんでこんなに、ホッコリするんだろ?

    イヤミスやグロい話が好きな私
    普通なら、こういうストーリーって
    つまんないって思ってしまうはず

    でも毎回、小野寺さんの本は
    夢中になって読んでるし
    ホッコリしてる

    傑が考える事って、すごいあるあるな事ばかり
    だからすごい共感できる
    思わず言ってしまうとか
    顔に出るとか、あるよ
    で、そんな自分が嫌で
    反省したりイライラしたりして
    やけ酒して吐いて…わかるぅ〜

    でもそれで放置せず
    最後、全てに決着つけてくの
    良かったわ〜

    下手したら偽善くさくなる話を
    わかる〜って方向にもってく小野寺さん
    すごい正直な人なんやろなぁ
    いい人じゃなく、正直な人!

    ストーリー説明するような感想じゃなくて
    すみません

    あ、今まで読んだ本の登場人物が
    でてきたのも良かったです。

  • 今まで小野寺さんの本に出てきた人がたくさんいた。そうか。みんな同じ町に住んでいるんだな。川が近くて広い河川敷のあるあの町で。

    傑の性格だったり、スーパーでの仕事だったり、自分に近いところも多くて、想像しやすい分共感した。

    江藤くんや井川さんの話もまた読みたくなった。

  • 今までの二作品と似ている丁寧な心情の移り変わりの描写がありつつも違った面白さとなる展開で楽しく読めた。

  • 妹と付き合っていた親友が事故を起こした。そして、妹は足に障害を負ってしまう。
    そのことが、少しずつ、いえのなかの様子を変えていく。

    「案外面倒な兄なんだな、おれは」と気づいた主人公。いや、本当に面倒。「ひと」「まち」の主人公はめちゃくちゃ清廉だったけど、今回の彼は、面倒臭くて、ちょっとひねくれてる。でも、そうそう、わかるよ、と思えて、そういう意味では親近感を持ててしまう。まあ実際主人公のような言動はしないだろうし、そこは上手くやるのだけど、根っこで思うことは少し共感できる。

    人は変われない。ものの感じ方を変えることは難しい。でも、感じたあとの行動を変えることはできる。こうは動くまい、と努めることでのみ律することができる、このくだりは本当にそうだな、と思いました。

  • 「ひと」「まち」そして「いえ」
    良いです。やっぱりこのシリーズ好きです!
    いつもの河川敷、筧ハイツ、江藤くんに郡くん、惣菜屋の田野倉…皆大好き(^^)
    江藤くんのじいちゃんが大好きだったのでその話題が出てくるとうるっと心が震えてしまう。
    様々な想いを抱えながら一つ一つ消化したり越えていこうとする様子に無理がなく淡々としていて読んでいても変な気負いもなく疲れず、話の流れと共に自分も前に進める感じが好きだな。
    人の良さが印象的だった「ひと」の柏木くんや「まち」の江藤くんに比べると三上くんのモヤモヤした人間臭さがリアルに描かれているのかな?
    でも自分をちゃんと嫌な奴と素直に認め、受け入れ、その上で正そうとしていく…なかなか出来る事じゃない。
    素晴らしい!そして妹想いな温かいお兄ちゃん。
    最後にはやっぱり一筋の光、救いがちゃんとあって…読んでいても救われる。

    続いてくれるかなぁ〜このシリーズ…
    楽しみに待っていよう。

  • 表紙とタイトルに引かれ、手に取った本。
    淡々と進むような話だったが、面白かった。

    傑の職場のパートさんたちとのあれこれ。わかるわかる、こういう人たちいるよね…、会社も辞めたくなるよねと共感。でも、辞めてもどこにでも嫌な人癖のある人はいる。相手の立場に歩みよって、傑とパートさんの関係が変わったようで良かった。

    二文字シリーズの本が他にもあるようなので、読んでみたい。

全183件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野寺史宜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×