いえ

著者 :
  • 祥伝社
3.76
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本棚登録 : 1718
感想 : 183
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636180

感想・レビュー・書評

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  • ひと、まち、いえの3部作サクサク読みました。悪人が出て来なかった。中でも「いえ」が一番好き。答えの出ない いろんな葛藤、悪い循環は得てして重なり易く、何度自分の心の中を覗いても、人は自分を守るために逡巡しがちでなかなか踏み出せず思い悩む。
    ほんのはずみで踏み出した一歩が次へと繋がって、もつれた糸がスルスルとほどけていく。案外「生きてる」ってそんな連続なのかもと感じさせて貰えた。

  • 良かった。
    わたしの中の小野寺史宜トップ更新にまでは至らなかったけれど。

    読み始めは、むしろ、主人公の「おれ」こと三上傑(スグル)が
    どうもイヤで、いらいらさせられるというか・・・
    祥伝社の2文字タイトルとくれば、あの名作を超えるかと期待していただけに
    がっかりも、よいところだと中っ腹。

    事故で足を引きずるようになった妹を思うお兄ちゃんは
    ちょっと変わったとカノジョに言われるほどだ。
    事故を起こした車を運転していた、妹のカレシであり、
    自分の友人である、大河にも、
    勤務先のパート従業員にも。
    中学の同級生にも。
    イヤな態度をとる。

    読んでいる私も、ずっと想い続ける。
    「おまえ、ホント、イヤなヤツだな!」と。

    でも、それって自分の裏返しなんだよね。
    似ているんだ、わたしに。
    いや、世の中の人は、大なり小なり、こうなのではないかい?

    ・・・と思わせられたら、小野寺ワールドに、とりこまれたというところ。
    人間、ダメでも何でも、真面目に誠意をもって、生きていこうよ、
    それでいいんだよ、と、信じさせてくれる。


    そう思えなくなるたびに、小野寺本を読むと、
    力が湧いてくる気がする。
    新刊、よろしく。
    中村氏のご健康を心からお祈りする。

    言わずもがなだけれど、タイトル通り「いえ」。
    家族の物語なんだよね。
    これだけ、妹に、ひっかかる兄は、
    三上家の長男でもある。
    そこも秀逸。

    さて、中村本は、図書館で借りて読んでいる。
    でも、今回ほど、既刊本を読み返したくなったことはない。
    今までの本に出てきた人々が、次々に登場するのだ。
    あの人だよね、この人が出る話ってどうだっけ?
    確認したくても、元がないのだ。
    ああ、どうする!?

    ウチの書棚のキャパを考えると、
    文庫ですら難しいぞ。
    しかも氏は、おそらく多作ではないか!
    (先ほど新刊を願ったばかりじゃん)

    難しい問題だ。

  • 小野寺さんの文章のリズムが心地よい。
    1つ1つは短い文章で、組み合わさったリズムも合わせて、情景が浮かぶ。
    その土地に行きたくなる。
    メロンソーダが飲みたくなる。
    焼き鳥が食べたくなる。
    食べたら私も登場人物みたく優しくなれるのかな。なんて思ってるのかも。

    嫌な人、嫌なことに出会ったときに、嫌だと思うのが止められなくても、その後の行動自分で変えられる、素敵な考え方だなぁ。

    『ひと』と『まち』を読んでから読んだので、同じ人物で出て嬉しくなりました。
    図書館で借りたけど、この本も手元に置いておきたくなりました。

  • 妹のケガが元で揺れ動く家族の心。表向きの言葉と心の中の本音の表現の仕方が素晴らしい。

  • ほっこりする。
    小野寺さんの本は、出てくる人がみんな性格がいいのがいい。
    そして、情景が浮かぶ。
    幸せな気持ちになりました。

  • 『ひと』の続きだと思って借りてきたのですが間にもう一冊『まち』があるのでした。やれやれ。仕方ないから読んでしまいましたが別に続いてるという感じではなかったので、良かった。

    交通事故によって足をひきずるようになってしまった妹。そのことを巡って家族はバラバラになっていく。誰も悪くないのに…。

    それでも、家族問題、友人関係は解決する。
    主人公のその過程が気持ちいい。 

  • うん、文句なしに良い話だった。
    傑も、若緒もなんていい子なの!
    うんうん、わかるよそうだよねっていう共感と、良い意味で淡々としてるなぁと感じる部分もあって面白かった。
    傑がうまく言葉にできない感情を少しずつ、自覚し自分の一部を前向きに持っていく様は、読み手が浄化された気分だった。
    世の中こんなふうにタイミングよく、上手くはいかないけど、悪くないかなと思える心が軽くなるような本だった。

  • 本人がそう言えるなら、それでいい。
    家族の距離感の絶妙さ。
    本人が許すか許さないか、別れるか別れないかも、それは本人も父親も母親も自由。
    だけど若緒から明言されたことで父親と母親は救われた気もするし、兄である傑に何も言わないのも何となく救いである気がした。

  • ひと、まちに続く「いえ」。でも、単体で読んでも大丈夫です。そもそも著者の他の本も絡んでるみたいです。私はこのシリーズ以外読んでないからわからないけど。ただ、この3冊で一冊読むなら「ひと」がオススメです。今回は主人公の心の踏ん切りがなかなかつかなくて、頑張って7割位読まないとスッキリしてきません。前の清貧・清々しさはあまりなくて。ただ、消防士志望の大きい江藤君のその後がわかるので、「まち」を読んだ人は満足度上がるかも。そして、読後感は良いです。ホッ。

  • ひと、まちに続く第三弾。傑の妹は傑の友人と付き合い、ドライブデート中の交通事故で左足に後遺症が残ってしまう。友人を許す父と納得がいかない母、吹っ切ったように就活で忙しくする妹、どう接すればいいかわからない傑。家族のギクシャク、職場でのいざこざ、それぞれの想い、自分を見つめ直し、いろいろ思い悩みながら前に進む。読んでるこっちも思い悩んだ。
    ホケツ!は実在する小説なのね。
    157冊目読了。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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