大衆の反逆 (ちくま学芸文庫 オ 10-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480082091

感想・レビュー・書評

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  • 【印象に残った話】
    ・大衆とそうでないものの違いは以下の通り
     ・大衆:自分自身に特殊な価値を認めず、自分は「すべての人」と同じだと信じ、それに喜びを見出すすべての人間
     ・大衆ではないもの:自らの能力に不満を覚えていたとしても、常に多くを自らに求める者
    ・大衆の国家に対する態度は以下の通り
     ・自分のものと信じこんでいる
     ・何か問題が起きたとき、国家がそれに対して責任を取り、直接手を下して解決すると思っている
    【考えたこと】
    ・新型コロナウイルスに対する政府の対応を非難し、その非難に応じて政府が対応方針を変更したとしてもさらにそれを非難する、今の日本の姿と重なる

  • あらゆる語彙を尽くして大衆の悪口を書いているのでおもしろい、音楽の違法アプリを使用する人びとなんかを見ると、ここに描かれる大衆の姿というのは今も変わってないなと感じる。

  • エリートの政治から大衆の政治への転換による弊害について述べられたもので、1930年に書かれている。あくまでヨーロッパに焦点が当てられていることと過激な表現が多いことが気になるが、本質を鋭く突いており、とても二次大戦前に書かれたとは思えない。現代社会も状況は大きく変わっておらず、本書の意見を踏まえ物事を考察していくことは大事であろう。
    「大衆人はただ欲求のみを持っており、自分には権利だけがあると考え、義務を持っているなどとは考えもしない」p23
    「今日の虎は六千年前の虎とまったく同じである。というのは、虎は一頭一頭、あたかも以前に虎など存在していなかったのごとく、新たに虎としての存在をはじめなければならないからである。ところが人間は、記憶力のおかげで自分自身の過去を蓄積し、それを利用する。つまり新しく生まれてきた人間は、最初から過去の堆積というある程度の高みに立っているのである。その唯一の宝の最も小さな長所は、それがわれわれに、つねに同じ誤りを繰り返すのを避けるために、失敗を記憶することがいかに重要であるかを教えてくれることである」p50
    「民族は、過去のあらゆる時代を完全にわがものとし、それを積極的な働きをする財産として保持している」p53
    「大衆が(エリートの)少数者に対して不服従となり、少数者に服従することも、少数者の模範にしたがうことも、また少数者を尊敬することもなく、その反対に少数者を脇に押しのけ、彼らにとって代わろうとしている」p73
    「(大衆の行う)政治形態は未来のことを計算して出てきたのではなく、現在の緊急事を解決するために出てきた政治形態である。そのため、社会的権力の活動はその時々の葛藤をかわすことだけに限られている。その活動は葛藤を解決するためではなく、さし当たってそれから逃れるためである」p110
    「甘やかされた大衆は知性がかなり低く、空気と同じように自分の自由になる物質的、社会的組織も、やはり空気と同じ起源のものだと信じている」p123
    「飢饉が引き起こす暴動では、一般大衆はパンを求めるのが普通だが、その際に彼らが用いる手段といえば、こともあろうにパン屋を破壊することである」p124

  • 1930年刊行。某経済誌で今読むべき古典と紹介されていた。
    たしかに、名言・格言だらけ。例えば、

    「人間を最も根本的に分類すれば、次の二つのタイプに分けることができる。第一は、自らに多くを求め、進んで困難と義務を負わんとする人々であり、第二は、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々、生きるということが自分の既存の姿の瞬間的連続以外のなにものでもなく、したがって自己完成への努力をしない人々、つまり風のままに漂う浮標のような人々である(p18)」

    「今日の特徴は、凡俗な人間が、おのれが凡俗であることを知りながら、凡俗であることの権利を敢然と主張し、いたるところでそれを貫徹しようとするところにある(p22)」

    「大衆の反逆とは、人類の根本的な道徳的退廃に他ならない(p179)」

    刊行から約100年。デジタル革命を経て「大衆の反逆」は、より深刻さを増してるようだ。平凡に居直る「浮標」にならぬよう生きていこうか。

  • 読んだのは角川文庫。
    国家の記述には不賛成。(均質な国家になる必要はないが)旧植民地がそれぞれ独立して自決することには意義があり、無計画で失敗があっても、宗主国の後継者など必要ないのではないか。

  • [2022年1月1冊目]思考停止に陥っていないか、常に自らに問いかけ続けること。

  • 2019I248  080 C/オ-10-1
    配架場所:D

  • 個人の生の充実。運命を受け入れること。国家の概念。大衆が「慢心しきったお坊ちゃん」となることへの警鐘。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737544

  • 大衆 という言葉は、大衆デモクラシーという言葉もあるように前向きなイメージで捉えていた。しかし、大衆=平均化であり、これからは大衆離れも起こると強く感じた

    #flier

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