無花果の実のなるころに

著者 :
  • 東京創元社
3.51
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本棚登録 : 477
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024710

感想・レビュー・書評

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  • 気軽に読めてしまったけれど、読後感はいい感じ。

  • これまで時代物を得意としてきた西條さんが、昔の風情が残る現代の東京・神楽坂を舞台にした青春ミステリにチャレンジ。 元芸者のしゃきしゃきお祖母ちゃんと料理が得意な少年という異色の組み合わせの主人公を中心に据えて描く、まさに新たに開く新境地だ。一編一編が日常の謎を解いていく独立した話なのだが、全体を通して一人の少年のグローイング・ストーリーともなっており、その中に伏せられた更なる謎解きも楽しめるというなかなか凝った趣向だ。軽妙なユーモアを交えた語り口としっかりとした設定が破たんのないミステリを作り上げていて、読んでいて楽しい。料理の出来ないお蔦・お祖母ちゃんと同居する料理好きの中学生・滝本望という組み合わせがユニーク。お店と住まいがある神楽坂の元花街という粋な雰囲気も良く生きているし、濃密なご近所つきあいも下町的で事件解決に一役かっている。

  • 両親が北海道に転勤になり、神楽坂にある老舗の履物屋で、祖母のお蔦さんとふたり暮らしをすることになった中学生の望が、さまざまな謎に遭遇してはお蔦さんと解決していく日常ミステリー短編集だ。
    元芸者で包丁を握れない祖母と料理上手の望、その他キャラクターがいい味を出している。
    いい話ばかりではないけれど、望のまっすぐな気性と心根に、気持ちが少しだけあたたかくなる。

  • 【収録作品】「罪かぶりの夜」/「蝉の赤」/「無花果の実のなるころに」/「酸っぱい遺産」/「果てしない嘘」/「シナガワ戦争」
    粋な祖母と神楽坂で暮らす、中学生の望が出会う騒動の数々を描く。
    望が落ち着いたキャラなので安心して読める。「いい子」過ぎる気もするけれど、祖母のお蔦さんの小粋なキャラでそんな不満は帳消し。いつまでも読んでいたい気分にさせてくれた。

  • 神楽坂で粋な祖母と二人暮らしをする中学二年生の少年を主人公とした日常の謎連作短編6編。もしかすると著者初の現代噺かな?。水準以上のデキで全く悪くはないんだけど、「西條だったら…」という期待感が高すぎるのとゴメスシリーズの続きが早く読みたいので★一つ減点。

  • 祖母と同居する中学二年生の望。
    破天荒な祖母のまわりには何故かいつも人が集まり、トラブルも舞い込んで…。

    望の成長がなんとも微笑ましい連作。ばあちゃんかっこいいな、おい。
    あと、連敗中の兄弟がかわいかった。笑。

  • +++
    父の転勤に同行せず、神楽坂の祖母と暮らすことを決めた中学二年生の望。包丁も持てない祖母は面倒くさがりで、気が強くて、決して世話好きには見えない。でも「お蔦さん、お蔦さん」と誰からも頼られるような、不思議な吸引力を持っている。そんなお蔦さん目当てに人が集まってくるから望も何かと忙しくて…。お蔦さんや学校のみんなに振り回されつつも少しずつ成長していく望の、あたたかくて少しだけ波乱のある爽やかな日常。表題作を含む六編収録の短編集。
    +++
    表題作のほか、「罪かぶりの夜」 「蝉の赤」 「酸っぱい遺産」 「果てしのない嘘」 「シナガワ戦争」
    +++

    お蔦さんが探偵役のミステリでもあり、中二の望(のぞむ)の成長物語でもある。登場人物が大人も子どももみんないい。ほっと安心し、あたたかな気持ちになれるのも嬉しい。著者には珍しいタッチの現代物の一冊。

  • 面白く読みました。(*^_^*)東京・神楽坂に祖母と2人で住む中学二年の男の子・望。祖母は元芸者でその気風のよさに、皆が「お蔦さん」と頼ってくる存在。望とお蔦さん、そして、学校や町内の面々に降りかかるちょっとしたミステリーを気持ちよく解いていくお話で、また、料理が得意な望の作る食事やデザートがとても小粋に美味しそうでね。(*^_^*)結構、深刻な話も混じっているのだけど、爽やかに読めてしまいました。

  • 西條さんの現代ものを読むのは今作が初めてですが...
    いいですねー。ちょっとベタで優し過ぎるような気も
    しますが、全体を通して温かくて美味しいご飯の湯気
    のような心落ち着く作品です。最近読んだ「吉永 南央 /
    アンジャーネ」のようなトーンで、素敵でほっこり
    する連作短編。東京創元社...やるなーw。

    自分だけが思う事かもしれませんが、加納朋子さんの
    作品のようなトーンで、日常の謎を中学生の主人公
    「望」くんとその祖母「お蔦さん」が探偵として
    その謎を解決。そしてただ解決するだけでなく、その
    当事者の抱える心や関係まで入り込んで、絡んだ糸を
    ゆっくりほぐすように関わっていくのが、なんとも
    おせっかいながらも人間臭くて好感度高い。

    そして中学生ながら立派な家庭料理人の「望」くんの
    レシピも温かくてとても美味しそう!

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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