いつもが消えた日 (お蔦さんの神楽坂日記)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 367
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027278

感想・レビュー・書評

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  • 「無花果の実のなるころに」の続編は長編。お話はちょっぴり切ないけど、お蔦さんは相変わらず粋です。ただ、「ゴメス」シリーズの続編を待ち望む気持ちが強すぎて★一つ減点。

  • 家に帰ったら家族がいない。
    生活のにおいと血のにおいを残して。

    なんだか、とても怖いことだけれど、
    今の世の中にはあるのかもしれないと思わせる、事件。

    シリーズ2作目はなかなかの読み応えであった。

    人の冷たくて残酷な部分が
    事件を巻き起こしていくけれど、
    そこから抜け出していくのは
    人の優しさだったり、正義感だったりするのだ。

    子どもたちが
    どんな大人に出会いながら、
    どんな大人の生き方を見ながら成長していくのかは
    とても大切なことだと、
    10代の子が登場する話ではいつも思う。

    今回も、そうだった。

  • 西條さんの作品は優しさがあるので好きです。
    今回もとても面白かったです。
    最悪の結果にならなくて良かった。

  • +++
    もと芸者でいまでも粋なお蔦さんはご近所の人気者だ。滝本望はそんな祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。三学期がはじまって間もないある日、同じ中学に通うサッカー部の彰彦とその後輩・有斗、幼なじみの洋平が滝本家を訪れていた。望手製の夕飯をお腹いっぱい食べ、サッカー談義に花を咲かせた、にぎやかな夜。しかし望と彰彦が有斗を自宅に送り届けた直後、有斗が血相を変えて飛び出してきた「部屋が血だらけで!家ん中に、誰もいないんだ!」消えた有斗の家族の行方、そして家族が抱える秘密とは―。
    お蔦さんの活躍がますます光る、人情味あふれる〈お蔦さんの神楽坂日記〉シリーズ第2弾。
    +++

    お蔦さん、粋でご近所に信望も厚く、肝が据わっていて、カッコイイ女性である。孫の望の料理の腕は相変わらず一級品だし、学校の仲間やご近所さんの連帯感も並じゃない。ある日家族が突然自分ひとりを残して消えてしまった有斗にとっても、それがとても大きな救いになったことと思う。事件が解決に向かうにつれて、胸が痛む事実が次々に明らかにされるが、そのショックを上回るほどの、周りのあたたかい見守りの目が、心を穏やかにしてくれる。いつまでも続いてほしいシリーズである。

  • 読み出して、別の作家さんのコーヒー屋をいとなむ女性を描いた作品でないことに気がつき、もしかしてこのシリーズの作品読んだことないじゃないか?とあわてた。
    読んでました。
    特に似てないんですけどね・・・。うーむ。

  • かなり重たい物語だが、中心人物が中学生なので軽減されている。何より事件解決に奔走するのが、祖母で元の芸者さんとご近所の商店街の人達なので人情味豊かな物語になっている。
    西條さんはなかなかタフな作家ですね。時代小説には、刃傷沙汰や庶民の辛い物語作りが多いのも下地になっているからかも。世の中の不備や情け知らず風情に目を背けずに、事件を解決していく有り様は共感出来ますね。
    ある意味、人生の応援歌のような心暖まる物語です。

  • カバー絵や登場人物設定からは想像できない程、内容はなかなか読み応えのあるどっしりとしたヘビーな事件だった

    しかし中学生だというのに、望くんのガンバリには頭が下がります
    是非わが家にきて夕飯作って欲しいものです

  • 神楽坂で履物店を営んでいるちゃきちゃきの老女、お蔦さんと、その孫で絶品の料理技術を持った望の物語、二作目。
    望の家で夕食を食べた後、自宅に帰った後輩の有斗が、「家族がいなくなっている」と告げる。リビングには大量の血だまりが残されていた。家族はどこへ行ったのか?いったい何があったのか?
    お蔦さんと望は残された有斗を気遣いながらも事件の真相を探る。
    西條奈加というと時代小説のイメージがあるけれど、現代ものも雰囲気がまた違っていいな。

  • 現実にありそうな厳しい事件だけど、渦中の中学生の素直さと、彼を支える語り手の中学生たちやお蔦さんたち周囲の大人の強い温かさが胸に染みる。

  • "お蔦さんシリーズ"2作目。
    あたりまえに続いていくだろう明日というもののありがたみや大切さは、失ってみて初めて気付くこともある。
    今作は長編ということで、ある1つの事件を軸に物語が展開していきますが、家族や人と人との繋がりというものの齎してくれる光や温もりを感じました。
    「子は鎹」の役目を必死に演じてきた有斗が、お蔦さんや望、周りの人々に支えられ、少しずつ心情を吐露出来るように心の強張りを解いていく姿にじんとします。
    お蔦さんの「人は助けたり、助けられたり、そうやって生きていく」という言葉がとても心に残ります。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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