たかが殺人じゃないか (昭和24年の推理小説)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028107

感想・レビュー・書評

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  • ラストに思わず唸りました。気になるタイトルも、そういうことかと納得。

  • 那珂一兵シリーズ2作目。
    前作から12年経過し、戦後の復興初期の描写も含め、なかなか読みごたえがあった。
    残念ながら犯人はこの人しかありえないというシチュエーションではあったが、動機やトリックは最後までなかなかわからず、面白かった。
    最後の終わり方も味がある。
    年齢でくくってはいけないが、88歳の作品とは恐れ入る。
    3部作予定とのことであり、次作に期待。

  • この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか?

    辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題がいっぱいのこの作品を喜んで読んだだろう。推理小説としてのトリックなど、なんとなく突っ込みどころ満載のような気もするけど、88歳の方が昭和24年という時代を描いた風俗小説としては、光が当たってもいい作品かも。

    最後まで読み終えると、「たかが殺人」の意味を知ると共に、もう1度最初の1ページを読みたくなりますね。

  • 戦後間もない昭和24年に起こった2つの殺人事件の話。読者への質問状もあって、色々考えたけど犯人もトリックもさっぱり分からんかった。タイトルもなるほどってなったし、何よりラスト、鮮やかで思わず読み返した。

  • このミス1位。
    戦後間も無い昭和24年、男女共学になったばかりの歪な時代を背景にした青春ミステリ。作者は大ベテランだが、アニメ脚本を多く手掛けていたこともあり、ライトポップな語り口が魅力で、90歳近いお年を考えるとこういった小説(ある意味美少女てんこ盛りりラノベか?)が書けること自体が、高評価の原因なのかなと感じた。当時の映画や小説などが大量に出てくるのもあり、時代小説としても凝っている。
    ミステリとしては、「たかが殺人じゃないか」ホワイダニット(動機)におけるタイトルの伏線回収、作中作らしい仕掛けなどは楽しい。ただ、一方で密室と解体という2つの事件のトリックは、あんまり目新しさは感じず犯人当ても容易。
    また、作中作の設定だからか、地の文に「当時はこうであった」みたいな注釈が入るのは読みにくい。また登場人物の渾名と人名が混在しており、更に読み難いくて、話が頭に入って来にくい。
    予備知識なく書棚から取れば評価変わるけど、主要ミステリランキングの1位となると、、若干微妙かな。

  • 御歳88歳の著者が書く、「ほんとうに見てきた」1949年。
    これはズルい。もうこれだけで、2021年に生きているほとんどの人間には、面白くないわけがない。
    …と思いきや、まさにその点を貶しているレビューが少なくないことに驚いた。
    「文章が古くさくて読む気がしない」「若者にはなんの関係も興味もない話が長々続いて苦痛」「そういうのが知りたきゃそれ系の本読むんで。ミステリには不要な描写」
    そっかー、今の若い人たちってそうなんだ…とか思ってしまった自分自身に、何よりもトシを感じた。

    閑話休題。
    ソレ系に興味のない向きにも、72年前の昔を「実際見てきて」書ける人の稀少性はおわかりいただけるだろう。
    そんな紛れもない「唯一無二」の上に乗っかるミステリ部分は、いたって普通。とはいえさすがに熟練の書き手で、あちこちに小技は効いている。

    星1〜1.5は、「昭和24年」部分へ。
    だから、ズルいというんである。

    2021/3/31〜4/3読了

  • 戦後間もない時期の名古屋の様子や、共学になった時の学生達の様子がリアルに書かれており大変面白く読めました。具体的な地名などもあり、大曽根の辺りでヒロインと出会うところはあの辺かななどと思ったり。
    でも設定としては良く言えば昔ながらの定番。悪く言えばラノベっぽいかなと。男2人女3人の部活でさらに女先生巻き込んで旅行や夜の学校で映画撮影。んー、当時の女性は今より積極的なのかなと。
    事件やトリックもそこまでするかという、ちょっと大掛かり過ぎるかなと。

    ただ動機となるタイトルのセンスの良さ、そして何よりオチに関しては見事に決まりましたね。もはや最後のオチが良すぎてタイトル総ナメって気もします。
    そしてらこの事件は勝利が書いた小説、という想像でいきたいと願うばかりです。

  • 本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。
    しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりました。笑

  • 犯人は割とすぐに分かったけど、タイトルの意味と、書き出しの意味が分かった時、思わず「おお!」となった笑

    時代設定ならではの動機、そしてこんな時代にも、いきいきと学生生活を送る5人の様子、新鮮だった。

  • 見事な伏線回収だった。さすが大御所作家。80代後半とか。それにしては文章に古臭さのようなものが感じられなくて、高校生たちの会話もコミカルで青々としてた。

    戦後まもない時代設定で、住むところがなくなったりこれからなくなったり嗜好品なんてなかったりと決して楽ではない生活なのに、主人公たちからは悲報感は全くなくて、でも現実もこんな感じで当然のこととしていろいろ受け入れてたのかなあと思った。

    タイトル回収や、最後のページは思わず唸った。
    正直犯人はもう解体のあたりで察しがついてたし、生首のとこでトリックもわかってたので星は3くらいかなー、と思ってたのに、最後の章でもってかれた。

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著者プロフィール

1932年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒業後、NHKに入社。テレビ初期のディレクター、プロデューサーをつとめたのち、脚本家に転身。『鉄腕アトム』、『エイトマン』、『ジャングル大帝』、『サザエさん』、『巨人の星』、『デビルマン』など、1500本超のアニメ脚本を執筆した。また、推理小説作家としても活躍しており、『仮題・中学殺人事件』、『迷犬ルパンの名推理』、『あじあ号、吼えろ!』、『完全恋愛』(牧薩次名義)など多数の著作がある。現在、デジタルハリウッド大学教授。国際アニメ研究所所長。本格ミステリ作家クラブ会長。

「2009年 『『鉄腕アトム』から『電脳コイル』へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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