未来のイヴ (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L ウ 1-1)

  • 東京創元社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488070045

感想・レビュー・書評

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  • 正漢字・歴史的仮名遣い。「」を使わず余白も殆どなし。という事情からだけではなく、読むのにかなり時間を要した。
    まずイギリスの青年貴族エワルドの恋人ミス・アリシヤの外見が如何に完璧で、内面が如何に低俗であるかが100頁以上語られる。その後は人造人間ハダリーが如何にして人間と同じように動くかの説明が約300頁。平衡を保つのに水銀を使ったり、運動圓管のざらざらした表面に刻みつけたり、流石19世紀と思わせる古めかしさがあった。理想の女性像にも異議のあるところだが、ブルジョワに対する風刺だったのかもしれない。「私は人間を辞職する」というエワルドの台詞には笑った。
    この小説を註釈も含めて読み切った事は、指輪物語の読了と同じく今後の自信となるだろう。

    p421
    私は人間を辞職するーー

  • 旧仮名・正漢字で最初は難航したが最後のほうには慣れた。
    フランス文学のワケのわからなさや独善的で突っ走る部分がそれなりにある。
    中身も完全なる人工物の方が良いな・・・

  • 旧仮名・正漢字の羅列で難航を覚悟したが全くの邪推、大変面白くすらすら読み通せました。人造人間に理想の女性を求めるなんてフェミニズム以前ならではの設定ですがね。しかし反科学社会、反ブルジョアを通し俗物を嫌悪したリラダンのアイロニー、パラドックスからなるこの奇妙奇天烈な物語に作者の崇高な魂を感じました。偏りすぎのきらいがあるゆえのその純粋さに感服します。

  • 神々しいまでの美しさを備えながら、全くその見かけに相応しくない凡俗なる魂で周りをうんざりさせる女がいた。
    恋人の青年貴族エワルドは、穢されゆく理想と望みのない妄執に疲れて浮世への別れを決意し、かねて親交の深い発明王エディソンの元へ暇乞いに出掛ける。
    折しもエディソンは「人造人間」を完成させることで人類科学への挑戦を果たさんとしており、女の姿形癖に至るまで移し替えた人造人間ハダリーの制作をエワルドに持ち掛けるのだった。

    科学と言うには余りにも魔術的、蠱惑的な人造人間の描写にゾクゾクする。
    ハダリーの台詞が難解で理解に苦しんだ。後で読み直したとしても理解できる自信がない。

    あと、
    読んでいるだけだと、アリシヤは普通に可愛らしく見えたんだけどなあ。
    女性に対する厳しい言葉に、少し気おされてしまった。

    アンドロイドというよりもむしろもっと根本的な意味で「人形」と「人間」を巡る粗っぽい扱いだったようにも思える。
    現実を選ぶか、幻影を選ぶか。

    「ねえ、おわかりになりませんの?」
    で本気でビビらされてしまった。あれは驚きを通り越して恐怖に近かった。

    人間の愛情って、結局なんなのだろうと考えざるをえない。

  • 文句なしのレベル5です!漢字が旧漢字なのかな?最初は苦労しましたが、この読みにくさもなかなか耽美なもの 未来のイヴ リラダンの作品は噂はかねがねでずっと読みたいと思っていました. 人造人間はこうでなくちゃ!”

  • こんなにも、退屈さと腹立たしさと面白さが同居している本は記憶にないです。100年以上も前に書かれたという事を考慮して割り切らなければいけないところもたくさんありますが、その逆に100年以上も前にこんなものが書かれていたのかと驚かされる点も多々あり、これだから古典はたまらない。という心境です。SFというよりは空想科学といったテイストで、小劇場でお芝居を観ているかのような感覚でした。生身の異性に幻滅したから理想的なニセモノの幻影を追い求める。だなんて、アイドルや二次元キャラに熱狂している人には笑えませんよね。

  • 最後まで途切れず読めて、最後のシーンが印象に残っている。

  • 前置きなげぇ……(-_-;)
    正漢字・歴史的仮名遣いには抵抗ないけど、表現の回りくどさ! 途中で読むのめんどくさくなったわ。

    イギリスの青年貴族が、絶世の美女に心奪われてしまうのだけど、その女性が外見には似つかわしくない言動をする(要するに、下品でバカってこと)のに幻滅し、プライドが高いのか潔癖なのか、別の人を愛することもできず、死を選ぼうとする。
    それを知った天才科学者が、彼の愛する女性と全く同じ外見で、同じ声、同じ香りの人造人間を作り上げ、彼の欲する魂の気高さをそれに吹き込んでプレゼントする話。
    あんたら、女性をなんだと思ってんだと言いたくなる内容。
    見た目は文句なしに美しいのに、中身が愚劣で絶望だなんて、勝手なこと言ってんな~。
    それこそ、光源氏みたいに自分好みの女に育てるくらいのことしなよ。
    できないのなら、それはあんたの手に負える女じゃないってこと。
    話がずれたけど、最後まで読むのは結構苦痛だった。
    苦しんで読んだのに、あの結末……最悪。
    結局、叶わぬ夢、冒涜的行為なのかな、と。

  •  エディソンの語る女性への嫌悪と、理想の人造人間理論が難解過ぎて、数十数百のページの上を、視線が空滑りしてしまう。それでも燦然と輝く至言の深みは、私を何度も物語に引き戻してくれた。

     エワルドに選んでもらえたハダリーの喜ぶ姿に、彼女が魂ある人間であると考えるは、果たして幻夢か真実か。

  • 理想的なルックスの恋人の内面が醜いことに悩んだ青年貴族が、
    彼女そっくりな見た目に理想的な魂を内包する永遠の美女を!
    と、発明家に依頼する……。
    長いし旧字・旧かな表記だしで、
    読みづらく、非常に時間がかかったのを思い出す。
    でも、シニカルかつユーモラスで面白かった。

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