未来のイヴ (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L ウ 1-1)
- 東京創元社 (1996年5月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488070045
感想・レビュー・書評
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正漢字・歴史的仮名遣いじゃないとこの良さは出ない! 創元ライブラリ激しくGJ!
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旧字体の訳が耽美な雰囲気を高めています。
若干の読みにくさはありますが、人形好き、アンドロイド好きにはたまらない一冊のはず。
ハダリーについての過剰なまでの解説に、リラダンのこだわりを通り越した妄執のようなものを感じます。 -
プロットが使い古されている? いやいや、これが元祖なんです。
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読み辛い漢字、長ったらしい薀蓄、鼻に突く女性観・・・を差し引いても、素晴らしい一冊だと言えてしまう。そんな本、あまりない。
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しっくりくる本。
でも,よく意味が分からないです^−^;
自分アホなんでOTL -
SF小説と豊穣な日本語の出会い。傑作だと思う。
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「亡ぼす以外に能のない、あの裏切者の「理性」が、ひそひそ聲でもうあなたに囁きかけてゐる口實を楯に、わたくしを追ひ拂はないで。」<br>
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齋藤磯雄の名訳。旧仮名遣い。翻訳者には原作の文体を忠実に訳すひとと、いったん完全に解体して日本語としての美しさを偏執的なまでに練り上げていくひとがいますが、齋藤磯雄はあきらかに後者です。美しい。<br>
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人間の認識対象のひとつである「他者」はただ「人間らしいもの」として目に映るだけで、本当にその他者に心があり生きているのかどうかを知るすべは基本的にありません。<br>
ただ身体が知覚できるだけのオブジェクトとしての「他者」に対して、なぜそれが自分と同じく「自我」をもっていると感じるのか、というのは近代哲学の抱える最大のアポリアのうちのひとつです。<br>
人形、あるいはロボット、という「知覚的には人間と同じ形骸」をした「モノ」に、人間と同じ生命を感じ、そのうえに魂を感じ、さらにはその魂を、生きた人間のものよりも崇高に感じて愛する主人公エワルドの苦悩は、生き物でありながらイデアをいだく人間という生命形態の昔っからの欠陥をもっとも悩ましい形で抽出したと言うことができましょう。僕たちは知覚し、感覚し、認識し、生存し、そうして世界を愛したり扱ったりするわけですが、イデア――ハダリーを見、感知し、悟り、愛するとき、それは果たして生命として善なることなのか、考えざるを得ません。<br>
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しかし実際のところ、ほんとうに物質に「魂」がないのかどうか、それはユング的錬金術が精製する「賢者の石」がうみだす黄金のようなものなのか、考えてみるとおもしろいですね。アニミズム的に物質に精神を見るのは別に日本人や子供に限ったことではないと思いますが、それは僕たちの獲得した「心の理論」の過剰適用なのか、それとも正当な「感覚」なのか? ドラえもんを前にして問いかけてみましょう。「ロボットのきみと人間のジャイアンが生命の危機に晒されていたら、僕はどっちを助けるべきなんだろう?」 -
現代の創世記とでも言うべきテーマだが、要するに男ってバカよねって感じ。「Villiers de L' Isle-『Adam』」が『イヴ』の物語を書いたという符号が面白い。
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卒論の作家。日本では知られていないが秀逸。
もっと知られてもいいのに。 -
球体関節大好きなんです。
アリプロの歌にもありますねー