奇談蒐集家 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488490096

感想・レビュー・書評

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  • これは推理物?いや、まさに奇談物。
    というのは最後の1章で分かる事。
    それまではもたらされた奇談に現実的な解釈を披露して謎を解くという
    風に展開している。
    その解釈は読んでいる間中、氷坂が提示する推理にはなんの根拠もなく単なる難癖にしか感じられなかった。
    最後の章で彼らの目的が明かされるのだが、それによって一層その推理が難癖でしかなくなるという。
    彼らの目的を達成するための難癖だったのか?
    なんだか腑に落ちない感じを残した。
    まぁ、それこそが奇談の所以なのだろうか。

  • 幻想体験を依頼者が語る→恵美酒が感心する→氷坂がぶった切る。解決パターンも綺麗でよかった。ただ、探偵役を氷坂一人が担っている感じですっきりしすぎるきらいがあったかも。謎解きパートで恵美酒との掛け合いがもっとあってもよかったんじゃないかと。

  • ラストが秀逸!!

    『求む奇談!』そんな新聞広告によせられる奇談に「本当に不思議な話なんて、そう簡単に出会えるものじゃない」と、ばっさりと幻想を打ち砕く推理。そんな短編を重ねた後に…本物の奇談が!?

    ラストの短編で今まで披露された奇談もどき(?)のその後が語られる部分に背中がゾワゾワしました。

    作中にも出てきますが、全体にそこはかと漂う江戸川乱歩臭がたまらないです!!

  • タイトルに導かれて。

    奇談を求める男、恵美酒と助手の氷坂。
    短編自体はそこまで奇談でもなく、謎解きも普通なのだが、最後の短編によってずいぶん素敵な奇談に仕上がったと思う。

    すべては奇談のために。

  • 短編をつないで1つの長編になっています。1話1話がちょっと変わった推理小説のようで、それはそれで楽しめました。が、どうもパターンが同じで、早い段階で種明かしが読めてしまうのが否めない。帯に書いてあった「衝撃の結末」まで種明かしが読めてしまい、そんなに衝撃でもない…期待しただけに、ちょっと残念。

  • うぅん。期待値が高かっただけに。

  • 読者側の推理という意味では割合簡単なトリックばかりで犯人もすぐ当たる、ただこれは”奇談へ繋がる”過程を楽しむ為の本だなと思えました。
    メインキャラである恵美酒と氷坂の関係性が愉快。
    解りやすく主人と従者であるが従者が実に賢い。
    最後まで女だか男だか解らないのが気になりますが…。
    短編の後、最後のまとめの話があるのですが、それが上手く具材を皮で丸めてしまうようなスッキリ感というか”奇談”だなという気分を味わえます。
    私自体はお酒苦手なのですが(笑)良質のお酒片手に読むのもいいかもしれませんね

  • どうにも中途半端。
    驚くラストというほどでもなく、
    先が読めてしまうものだったり…。
    ラストは凝っているなとは思うけれど、全体的に印象が薄いかな。

  • オムニバス短編集。
    奇談求む!という広告に惹かれて奇談蒐集家恵美酒のもとにやってくる人々が語る奇妙な体験談。影に殺されかける男、冬薔薇の館、金眼銀眼の猫。それを従者?の氷坂があっさり解き明かしていくという短編集。
    どれもあと味苦めだけど、語ってる間はほんとに不思議だし、解き明かされるとすっきり。語り手がまずくてオチの予想がつく話もあるけど、それも狙ってるのかな?
    語り手(=体験者)のキャラに合わせて文章をちゃんと調整しているので浸って読めるのでいい。

  • 求む、奇談!

    自身を「奇談蒐集家」と名乗る恵美酒という男が
    新聞にそのような広告を打った

    世にも不思議な体験話をしてくれた者には
    高額報酬を支払う、と

    広告を目にした者が次々と彼の元にその体験を話しにくるのだが
    共に話を聞いていた恵美酒の助手に、ことごとく謎を解き明かされ……

    さて、次なる話は奇談か、はたまた——?



    上のような流れで、全7話の奇談が語られていく

    全編を通して、箱を開けるような感覚が味わえた
    最後に助手が謎解きをしてしまう、という前提から、
    各話を開くときも底に現実的な答えがあるのを探してしまうし、
    最終話をもって本全体がおさまった箱を開けて、底に落とされた答えを手に出来た

    謎が明かされようが明かされまいが、
    奇談は奇談でストーリーとして楽しめたし
    謎が明かされればそれはまたミステリとしてなるほどと納得できる

    二度おいしい作品だと思う

    シガリロが甘い香りがするというので
    ちょっと嗅いでみたい

    奇談の謎を解かれた人たちの後日談がまたちょっと謎と不安をかきたてて良い

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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