奇談蒐集家 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 138
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488490096

感想・レビュー・書評

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  • 一つ一つ面白い話で最後に回収されるのもよかった。

  • 面白かった!
    短編はあまり得意ではないのだが、この作品は読んでいて楽しかった。
    最後の結末に驚かされる。

  • 「奇談蒐集家の元に持ち込まれた奇談を助手の麗人が現実的に解く」というスタンスの話。ざっくり説明するとエピローグがない安楽椅子・化石少女なので、真相ははっきりしないのだけれど、それが今作のテーマ上あるべき姿であり、幻想と現実の境界が判らなくなってしまった人々を書くために必要なのではないかな、とも思った。
     奇談蒐集家というタイトルに恥じず、集められた奇談は魅力的なものばかりでとてもよい。「自分の影に刺された男」「古道具屋の姫君」等タイトルだけでもう素敵。そんでエピローグが今作の連作短編集としての価値を極限まで挙げていて素晴らしい。これぞ百物語の最終話よね。
     ミステリ好きより怪奇・幻想小説好きに読んで欲しい本ですね(解説も井上雅彦だし)。というのも謎自体は大したものじゃないのでそれ目当てに読むと絶対に落胆しますもん。間違いない。乱歩で見た、とか某作で見た、とかうーん、在り来りなんだろうか。
     小品の中で一番好きなのは泉鏡花っぽい「古道具屋の姫君」。ただ蒐集家の紳士が矢鱈スコッチを推してくるから呑みたくなるのがマイナス点ですね…舞台もバー(カッコイイ)だし、ずるい

  • 太田忠司『奇談蒐集家』を読了。

    7つの連作短篇集。「奇談求む!」と書かれた新聞の広告を目にした客たちが、奇談蒐集家・恵美酒のもとを訪れる。

    客たちが体験した、一見奇談としか思えない不可思議な話の謎を、恵美酒の助手・氷坂が解き明かしていく。

    短篇らしく、少し考えれば解るようなシンプルな謎が多い(もちろんそうでない謎もある)。
    しかし最後の一篇は別格。そこまでに読者の中で創られた作品世界を覆してしまう面白さがある。まったく見事だったと思う。

    太田忠司の作品はこれが初めてだったが、なかなか読みやすく、また、他作品も面白そうである。機会があれば読んでみたい。

  • 個人的には「古道具屋の姫君」と「金眼銀眼邪眼」の二作が頭一つ抜き出て好きでした。
    最後の「全ては奇談のために」はほんとに考えてもいなかった結末で驚かされました。
    全ての話が押し並べて良い完成度であり、それに驚きの秀逸なラスト。短編で読み易さもあり大満足です。

  • 「奇談蒐集家」太田忠司◆「求む奇談!」の広告を見た客は奇談蒐集家・恵美酒に自慢の話を披露するが、恵美酒の助手・氷坂は…。奇談っぽい話も氷坂によって謎解きがされてしまうので奇談集というよりミステリ。文庫解説を読んで、一見興醒めに思えるその形式こそがミソだということは分かったけれど。

  • 2015/01/10

  • ミステリーかと思いきやラストでどんでん返し!
    必ず順番で読みましょう

  • いくつもの謎が持ち込まれて、探偵役はその場を動かず謎を解き明かしていく形式の連作集。謎が解明されたけどそれを望まない人が必ずいるというのが面白い。
    探偵役側がミステリアスを通り越して謎の人物たちというのも、気になって読む手が休まらない。

  • 求む、奇談。
    その新聞広告を目にした人が、''奇談蒐集家''恵美酒(えびす)を訪ね自分の体験した奇談を語る連作集。

    奇談を聴き終えて恵美酒が喜んでいると、従者の氷坂が本当に不思議な話なんてそう簡単に出会えるものじゃないと事件を合理的に推理し始める。例えば、幽霊なんているはずがないんだからそれは人間だといった具合に。
    どの話もこのパターンで、実は奇談だと思ったものは事件で、氷坂にトリックを教えてもらった依頼者は今まで騙されていたことに気づいて帰っていく。
    不思議な話をテーマにしたミステリだと思って読んでいたら、終章の「すべては奇談のために」でひっくり返された。
    氷坂の語った真相は本当に真相だったのか。悪魔で推測であって一つくらい本当の奇談があったのではないか。
    依頼者が氷坂の言葉で幻想は現実だったと気づかされたのと同じように、現実だと思っていたものが実は幻想であったとしてもおかしくはない。
    幻想と現実が曖昧になる不思議な感覚。
    連作集だから途中の盛り上がりに欠けるけど、是非最後まで読んでほしい。

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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