日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492444146

感想・レビュー・書評

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  • r>g r=資本収益率、g=国民所得の成長率
    格差は世代ではなくほとんどは同世代で起こっている。
    資本主義には不平等化の傾向がある。
    日本は資本市場が機能していない。キャッシュフローを株主に還元せずに浪費すると株価は下がり回収のターゲットになるが、日本では持ち合いなどにより回収不可能になっている
    原発停止によりLNG輸入が3兆円/年増えた。
    グローバル資本主義にとって重要なのは配当可能利益がいからになるかなので生産コストと税金の安い国で生産するのが当然。交易条件の悪化する日本に生産拠点を戻す理由がない。
    ハーバード大の親の平均年収は45万ドル
    累進課税率の低下で格差は広がる

  • すっごく簡単にまとめてあり、中立的に整理してあって、読みやすい。

    池田信夫はエコノミストじゃなくて、単なるヘボ評論家に過ぎない。

    オレは、twitterで、何度か彼とやり取りしたことあるし、ニコニコ動画のライヴ映像とかでも見たことある。
    そういうときはフツーだった。

    朝生に出てるの見ても、どこにいるのか分かんないくらい大人しかった。

    ふだんは、フツーなんだけど、基本的には、性格が異常に悪い。
    この人は、発達障害に違いない。

    山形浩生との論争とか見ると、この人の性格の悪さが、よく出てる。
    山形からやり込められて悔し紛れに発した一言が
    「横文字を縦文字に書き換えるしか脳のないくせに」だった。
    そりゃまあそうだけど、と笑ったけど。

    あの程度のヘボ評論家が、山形浩生と論争して勝てるワケない。

  • トマ・ピケティの『21世紀の資本』が出版されたものの、なかなか電子化されないので、ひとまずは池田信夫の解説本で理解した気になるために手に取る。
    『21世紀の資本』は、アメリカではものすごく売れていて、かつ著名な経済学者の評価もすこぶる高い。格差社会を説明する新しい経済理論だ、というような受け入れられ方をしているようだ。格差社会は、アメリカでは高等教育における親の経済力による機会の不平等や、一握りのスーパーマネージャによる富の集中が問題になっており、またヨーロッパでも若年層の失業率の高止まりという形で大きな問題になっている。日本でもますますそうなりつつあるので、相当分厚い経済書だけれども日本人のミーハー気質も相まってそれなりに売れることだろう。

    いろいろなところで言われているように『21世紀の資本』のポイントは、この本の表紙にも使われている”r > g”という不等式である。

    ここで、rは資本収益率(the rate of return to wealth)、gは国民所得の成長率(the economic growth rate)になる。この式に従うと、資本を持つものはそれ以外が富んでいくよりも速く富んでいくということになる。つまり、資本主義社会において格差は本来的に広がっていくということを明らかにしたのが『21世紀の資本』ということになる。特に成長率が下がって低位安定するとそれが顕著になるということらしい。
    ただし、池田氏も指摘しているように、この不等式は解析から論理的に導き出された帰結ではなく、過去200年以上にわたって地方の税収データ整理などから経験則として導き出されたものだという(この膨大な時間と労力をかけた調査データが大きく評価されている)。また、長期的に成立しているだけであり、常に成立するものでもない。現に資本が二度の大戦にて破壊された後の20世紀中盤はこの不等式は成立せず、爆発的な経済成長と人口増により、成長と平等化が同時に進行した例外的期間であるとのこと。

    ピケティは、資本主義社会を維持しつつ、この格差拡大を防止するためにグローバルな(累進的)資本課税(global tax on wealth)を提案する。ピケティはタックス・ヘイブンの存在にも定量的な分析を行っており、一国での資本課税では問題解決にならず、国際協調が必要だという。また、相続についても格差を固定化する元凶としている。単に格差拡大の指摘だけでなく、その実現可能性はおいても具体的な処方箋を示したこともピケティの著作の評価を高めている点でもあり、良い意味でも論争を起こしている点でもあろう。

    原題は”le capital au xxie siècle” (英題”capital in the twenty-first century”)。マルクスの『資本論』の英題が”Capital”であり、ピケティもこのことを十分に意識し、紹介においても21世紀の『資本論』、21世紀の『マルクス』だとも言われている。訳者や出版社(みすず書房)はなぜに『21世紀の資本論』ではなく誤りではないが『21世紀の資本』としたのだろうか。本のあとがきを見れば書いてあるのだろうか。池田氏も『資本論』とはほとんど関係ないと言っているけれども。

    ピケティの”Capital”のまとめは世界でもやはりやられていて、たとえばEconomistの次のサイト”Thomas Piketty’s “Capital”, summarised in four paragraphs”などが典型的で、まとまっていると思う。
    http://www.economist.com/blogs/economist-explains/2014/05/economist-explains

    なんだか、読む前に分かった気になってしまったので、電子版が出たとしても読まないかもしれない。その辺も『資本論』と一緒かも。

  • 「21世紀の資本」未読のため予習として読了。あっという間に読み終わる。中ほどに出てくる日本独自の話はピケティではなく著者の主張なので注意。また2014年の本なので当時の見方として受け止める必要がある。もうすでに社会は大きく変わったことが感じられ感慨深い。

  • 1.資本主義の根本的矛盾「r>g」
     資本蓄積→格差拡大→社会正義否定→民主主義の危機
    2.ロバート・ソロー新古典派成長理論
     成長率=労働生産性✕労働人口
     国民所得=労働所得+資本所得
    ⇒海外生産の場合 利益は資本所得にしかならない
    3.日本の格差問題 正社員と非正規社員の格差問題
     非正規社員38% 特に女性は58% 時給は6割
    4.格差の二つの原因
    ① テクノロジーの変化
    ② Globalな要因
    5.資本主義の根本法則 ピケティ
    ①第一法則 資本分配率=資本収益率✕[K/Y]
    ②第二法則 K/Y=貯蓄率÷成長率 なぜ?
          ex 12%÷2%=600%
            12%÷1%=1200% バブル'80年代
    6.タックス・ヘイブン対策税制
    10%程度の所得 先進国の対外純資産はマイナス

  • r > g。資本収益率は国民所得の成長率を上回る。つまり、資本主義では所得分配の格差が拡大する傾向がある。これを防ぐにはタックス・ヘイブンへの資産逃避を防ぐ必要があり、その為に高度な国際協調が必要。資本主義が最高とは言わないが、他よりはマシ。個人ではコツコツと投資して「金利が金利を生む」状態を目指すしかないかなぁ。

  • r>g 資本主義の根本的矛盾。資本収益率が国民所得の成長率を上回るので、資本家はどんどん蓄えを増やし、労働階級は働けど働けど豊かになれない。
    それを是正するのは、極めて高度な国際協調。タックスヘイブンをなくす、、、
    個人でできることがあるとすれば、教育によってきちんと稼げるようにすることくらいか、、

  • ピケティが提案するのは、グローバルな累進資本課税と、世界の政府による金融情報の共有。

    マルクスや社会主義者は、金利や搾取をなくすために、私的所有権そのものをなくそうとした。市場経済と所有権は、たんに資本家が労働者を支配する道具ではなく、無数の人々を命令なしに協調させる優れたシステムであり、それなしに経済は動かない。
    資本課税は、それに比べるとずっと控えめな改革。それは、資本主義と所有権を守りながら、r >gの生み出す試験の結果を防ごうとする。それは21世紀のグローバル資本主義をコントロールするための新しい制度です。その目的は、所有権を尊重して個人の権利を守ることであって、所得の再分配ではない。

  • 資本主義は貧富の格差を助長する
    資本(≒不動産)がもたらす収益は、所得の成長より大きいことが理由

    →個人単位でみても、同じことが言えるかどうかは微妙(世界全体ではそうかもしれないが、所得の成長は人口の増加に起因する部分もあるし)

  • ピケティのコンセプトの概略がつかめたのは収穫。よいかわるいか、今後も続くかはわからないけど、資本主義のルールに生きる以上は、r>gを理解して、資本家の振る舞いを意識して生きることをしたいと思う。労働者マインドだけではしんどい。

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。NHK退職後、博士(学術)取得。経済産業研究所上席研究員などをへて現在、アゴラ研究所代表取締役所長。著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤氏との共著、PHP研究所)、『戦後リベラルの終焉』(PHP研究所)他。

「2022年 『長い江戸時代のおわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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