日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492444146

感想・レビュー・書評

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  • ・r>g(=資本収益率>国民所得の成長率)についての本。つまり、富は一部の大富豪に集中し、貧富の格差が実は埋まっていないという、フランス経済学者ピケティの説。これは、資本主義が果たすべき機能な一部崩れていることを指している。

    ・r>gが成り立ってしまっている背景には、大きく二つの理由がある。

    ひとつが、タックス・ヘイブン(租税回避地)の存在。これは、税が安い地域に拠点を移し、資産を蓄えることに成功している国があるということ。日本の場合、自動車や衣料の生産拠点をアジアの近隣諸国へ移し、低賃金労働者を雇って賄っていることにあたる。
    この流れが続くと、知的労働者は資産を蓄えるが、労働力を提供してきた労働者は仕事が奪われる可能性が高まる(現にその傾向が出ている)。

    ふたつめが、テクノロジーの進化。
    テクノロジーが発展することで、人の仕事が軽減される傾向にある。事務労働がその代表。

    教育とテクノロジーの進化は、働き方や労働を大きく動かすことになる。

    ・相続の問題も大きい。金持ちであるほど相続資産が多く、資産額が大きいほど運用もプロがおこなうため、返って利益が出やすくなる。
    つまり、金持ちの子は引き続き金持ちになる可能性が高く、そうでない大部分の人間は巨額の富を得られにくい。

    ・ピケティのr>gから学ぶことは二つ。
    ひとつは、働き方を見直すこと。教育とテクノロジーの進化は今後も伸び続ける現象であふことを受け入れ、そのテクノロジーをどうビジネスで活用するか、つまりは、これまで以上に知的労働のスキルを身につけなければ生きていけない。

    考え、創造する側の人間になること。

    ふたつめは、この世界の流れが進み続けることで、結果的に大きな歪みが生まれかねないという事実。世界規模で見直す取り組みであることをしっかり認識しておくこと。

  • 最近はやりのピケティ。本屋で雑誌コーナーを見たら経済雑誌は軒並みピケティ特集だった(笑)

    本書はあの分厚い本を要約したものらしい。少し前ピケティが来日した時にニュース番組などによく出ていてなんとなく知っていたので、復習といった感じ。経済の専門用語が出てきた箇所もなんとなく読んでしまってるので結局理解はあまり深まっていない…

    いくつかの国の歴史的な事柄が紹介されていてへぇと思った。オリジナルを読んでないけど、たぶんこの本でけっこう充分なんじゃないだろうか。

    資本主義そのものを否定するわけでなく、所得の再分配を改めるべきと言う主張には大いに賛成。

    ドラッカーの時は『もしドラ』を読んだ後『マネジメント』(エッセンシャル版だけど)を読んだけど、ピケティさんの本はまあいいかなと思っている。読むとしたら他の解説本か雑誌くらいかな。

  • ちょくちょく入ってくるアベノミクス批判w

  • テレビで解説されていたので、それを見ていたから
    何となく理解することができた。
    財産の成長率は賃金の成長率を上回る。
    技術革新によって、格差が広がっていく。
    相続で格差が広がる。

  • Need to buy

  • かの『21世紀の資本』の要点がこれでつかめたなどとはおよそ思わぬも、あれに挑もうという気力というか能力を持ち合わせていないので、これを選書した。先日読んだ水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』なり、現在読んでいる駒村康平著『日本の年金』なり、共通して資本主義社会における格差拡大のメカニズムが説かれている。こと日本に焦点を絞ると、いずれも非正規労働者の増加が所得格差の象徴として問題視されている。端的にまとめるには至らぬが、読み進めるほどにその事はさしたる問題ではないように思えてきた。先進国における貧困の概念をはき違えないようにしなくてはいけない。

  • ピケティの「21世紀の資本」を、
    とても分かりやすく解説した本。
    私は、経済学の知識はほとんど無い素人だが、
    60分ですんなり読むことが出来た。

    ピケティは、
    1870年以降の各国の税務資料等を調査した結果、
    「資本主義の発展と共に富が公平に分配される」
    という経済学の定説は誤りであり、貧富の格差は拡大
    すると結論付けた。
    また、貧富の格差を解決する為にグローバルな資本課税に関する政策を提案している。

    これらの内容に関する著者の見解や、日本との関係等についても補足されており、理解をより深めることが出来たと思う。

  • r>gを短めに、という本。

    原著は700ページなのに、76ページに収まるというお手頃ぶり。ホンモノを読んでいないので、本当のところはわからないが、中身はよくわかった気になる。著者の感じた不明瞭な点、定義の誤認(?)といったことが冒頭のQ&Aにはっきり書かれているので非常にわかりやすい。
    正月のおじいちゃん対策で購入。実際にはそんな話にはならなかった。

    西武渋谷の紀伊国屋で購入。新規テナントということで即チェック。LIBROを抑えるとは流石。渋谷っぽさを少しだけ出しているところが○。

  • 話題の著書「21世紀の資本」を紐解くサブテキスト。その内容の要点をQ&A形式でまとめている。最低限の情報として抑えるには最適だろう。

  • マルクスがあってピケティがあるのではない。彼は、マルクスを読んだことが無いと言っている。しかし、マルクスの教えが死んだ世界だからこそピケティが現れたことは間違いない。資本主義の成長の成果が比較的平等に分配されていた時代は、戦争を挟む数十年に限られる。レーガノミクスとサッチャリズムは資本主義の勝利を決定づけると共に、富裕層減税と市場主義によりr>gを恒常的な不等式とした。資本の利潤は経済成長率を上回る、この証明されてない不等式は、マルクスが死んでからの三十年を雄弁に語っているように見えるから、不思議だ。
    この本はr>gがピケティのエッセンスであることを教える入門書。その短いエッセンスの中にアベノミクス批判が混入していたりするのは舌足らずの感が否めない。持論を展開するのであれば、このようにピケティの紹介本という形ではなく、ピケティ派の考え方を日本経済に適用するなどとして、堂々と述べるのが良いだろう。

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。NHK退職後、博士(学術)取得。経済産業研究所上席研究員などをへて現在、アゴラ研究所代表取締役所長。著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤氏との共著、PHP研究所)、『戦後リベラルの終焉』(PHP研究所)他。

「2022年 『長い江戸時代のおわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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