「上から目線」の構造

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.23
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感想 : 182
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532261399

感想・レビュー・書評

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  • 新たな視点を持って読み進めたが、偏りのある視点も感じる。

  • (社会的に見て素晴らしい業績を出しているわけでもないのに)自分たちはエライと思い込み威張り散らしている人がいる。そういう困った人たちとどう対峙するのかが最近の大きな課題でした。
    この本は、社会心理学や文化人類学をベースに、人間関係を築きづらい人たちの心理的構造や、世代間価値観の違いを記しています。
    父性原理・母性原理。妙に納得しました。これから先の日本がどうなっていくのかますます気になります。

  • 「上から目線」といわれるものを、分析・解説している本です。「上から目線」になりがちな方、「上から目線」が気になる方、一読お勧めです。それから、現代の若者の心理・行動も分析されているので、「最近の若者がよくわからん」とお嘆きの諸兄にもよいかも・・・。読んだら、腹立たしさが軽減するかもしれませんよ。

  • 以前、茂木健一郎先生が子供たちがルールを自ら作ることがなくなったことがDSなどの問題点ではないかと言っていたことがある。子供のころ、性別年齢の違いなどに併せてルールや力あるものがその力量を調整しながら、バランスをとって遊ぶことも多かった(三角ベースで低学年なら三振ナシ・打つまでOKなど)。確かにそんな機会は少なくなってしまったように思う。この本を読んで、幼少期の遊び方の変化に課題があるように感じました。

  • ★★☆☆☆2
    あんまり面白くなかったよ〜
    筆者の主張で面白かったり新しいことはほとんどないと感じたよ。
    2つだけ、松下幸之助の引用の下りと『知的に成熟すると〜現実の自分を厳しい目でみるようになる』というところに同意したくらい。その他は断定や古い話が多くて、最後まで読んだけど納得出来なかったよ〜
    がっかりな本かな…

  • 書店で見かけ、タイトルと帯がどうしても気になり手に取りました。

    読み始める前は、いわゆる若者論だと思い、読み進めていました。確かに最初は「上から目線」になってしまう若者の心理、「上から目線」を恐れる心理などが解説され、コミュニケーション力の低下が問題視される背景を探っています。

    トイレで弁当を食べる学生のくだりは衝撃的でさえあります。

    徐々に、若者に焦点を当てつつも、日本人の性格や社会構造などを歴史的に振り返り、心理学や社会学の観点から、非常に多岐にわたり解説されており、単なる若者論の枠におさまらず、大変示唆に富んだ内容になっていると感じました。

    興味のある部分をメモしようとしていたら、いつの間にか大量のメモが残ってしまいました。

    日本社会における構造の変化など、解決策があるわけではありませんが、提示してくれる、有用な一冊だと思います。

    精神分析学者エーリッヒ・フロム『人間における自由』
    現代の市場経済の原理が個人の人間的価値にまで及ぶ
    市場経済の発展により、モノの価値は、どれだけ役に立つかという使用価値によって決まるのではなく、いくらで売れるのかという交換価値で決まるようになった。人間の価値もどんな能力・人格でも、周囲の人たちに受け入れられるかによって決まる。
    「見下され不安」人を見下す傾向のあつ人は、人が自分を見下すのではないかといった恐れを抱きがち。世の中を勝ち負けの図式で見る傾向のある人は、人間関係も上下の図式で見ようとする。自信がないため、人の視線を過剰に意識し、尊大な態度で自分の力を誇示しようとする
    自分からアピールせずに、相手がこちらの要求に応えてくれることを期待して待つ。それが日本流のやり方(日本の「甘え文化」)。だから、相手の出方が気になる。
    上から目線を「親心による上から目線」と「コンプレックスによ上から目線」に区別

    誇大型自己愛者
    ・人にいつも「上から目線」を向けている
    ・相手の言動に「上から目線」を感じると、はねつけるように尊大な態度を示す
    ・欧米に多い
    過敏型自己愛者
    ・いつも人の「上から目線」を想定
    ・相手の言動に「上から目線」を感じるといじけた態度を示す
    ・日本で圧倒的に多い
    ・社会への不適応との関係で臨床的に問題になりやすい

    対人関係に自信のない若者が非常に多いのが現代の特徴
    コミュニケーションが苦手で仕事に支障をきたす若手が増えている
    対人不安(対人的場面において他者から評価されることによって生じる不安)が強い若者が増加
    「やさしさ」の意味が変わった
    従来:気持ちを察し、同情し、一体感を持つこと
    現在:相手の気持ちに立ち入らないこと
    空気を読むことが大事だというのは、日本では昔から言われてきた
    文化評論家・山本七平
    日本には「空気」を読むというきわめて独特な文化規範があり、これは非常に大きな絶対権を持った妖怪で、一種の超能力のようなもので、あらゆる議論は最終的には「空気」で決められる。理屈に合わないおかしな意思決定が「空気」によって行われることも珍しくない

    人の視線に過敏な日本文化の特徴
    島国として身内で気楽に過ごしてきたときは期にならなかった他者の視線が、近代化・都市化に伴い、気になるようになった。
    精神医学用語のほとんどは輸入だが、対人恐怖というのは日本で生まれた概念。
    対人恐怖症ほど日本的人間性の構造を反映した症状はない(精神医学者木村敏)
    対人恐怖症の根本的な特徴は、患者にとって自分の価値が自分自身の内面から評価されるのではなく、他者による外部からの評価の対象になってしまっているという点
    もともと「人間」は、「よのなか」「世間」を意味していたが、「俗に誤って人の意となった」。日本には「人=人間関係」といった受け止め方がある。
    私たちにとって「人間」は社会であるとともに個人なのだ。
    日本においては自己がまずあって人と出会うのではなく、「人と人との間」が裂きであり、そこから自己が自覚され、他者が登場する。
    「ウチの者」と「ソトの者」を区別する意識が強いのが日本の特徴
    伝統が重んじられる社会では、古いことを知り、慣習になれている老人が社会の尊敬を受ける。新しいもの、見慣れないものは排斥され、軽蔑される、今日に至る日本の社会はそんな社会だった。
    メディア環境の発達が大人の権威を失墜させた
    日本特有のマゾヒズム的な自己愛の満たし方とアメリカから流入してきた自己主張的な自己愛の満たし方が、錯綜しているという現代日本の文化状況が深く絡んでいる
    世間の目に映る自分の姿を気にすることで自己規制を働かせるというのが、日本文化における重要な行動規範。「世間体」の原理
    心理学の世界でも相互に独立した事故があるという欧米的な見方に対して、日本では相互依存的な自己があるとみなされる

    ・父性原理 「よい子だけわが子」 切断する機能に特徴
    ・母性原理 「わが子はすべてよい子」 包含する機能に特徴
    日本文化の底流に深く根づいている母性原理に父性原理をどのように調合していくかが、非常に深刻な課題

    <この本から得られた気づきとアクション>
    ・若者論としてよりも日本人論として読みたいところ
    ・最近のコミュニケーション力が低下しているといわれる若手い対する処方箋となるべきところを探る。
    ・最近の若者の性格がどうとか、もともとの日本人の成果がどうとかは別にして、仕事をしている以上は対人関係は避けて通れない。長所・短所を理解し、コミュニケーション向上の手法を探っていきたい。

    <目次>
    プロローグ 「上から目線」とは何か
    第1章 なぜ「上から目線」が気になるのか
    第2章 「上から」に陥りがちな心理構造
    第3章 空気読み社会のジレンマ
    第4章 目線に敏感な日本人
    第5章 「上から目線」の正体

  • ■人間関係
    1.目上の人間から注意を受けたり、アドバイスを受けたりしたときに、「上からですね」と非難がましい反応をする若者は、自身のなさゆえに、攻撃的な反応になるのであろう。
    2.甘えが強い人は被害者意識を持ちやすい。
    3.自尊心が高い人物は、相手からどのように評価されているかをほぼ正確に推測することができた。一方、自尊心の低い人物は、相手による評価を実際以上に低めに見積もる傾向がある。
    4.淋しい境遇の人が、お金で客という「上から目線」が許される立場を買っている。
    5.落ち込みやすい人は成長しにくい
    6.「上から」になれば現実逃避できる。
    7.「そのままの自分を受け容れる」ということと、「そのままでいい」ということは、同じではない。

  • 意外や なかなか良かった。私は「上から目線」たるものは殆ど気にしないが なる程 と理解できた。
    コミュニケーション、自己愛、農耕民族等幅広く人及び自身との間を述べている。色々考えさせられる。

  • 母性社会,地域との関わり等様々な原因によって,根拠のない自信を持つ若者,人間関係をうまく築けない若者,自己愛が強い若者が増えた。また,その上司となる人間にもそのような人が増えてきた。
    1980年代以降に生まれたやつはダメだという,安藤忠雄さんの言葉を思い出しました。全くそのとおり。

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著者プロフィール

榎本 博明(えのもと・ひろあき):1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。川村短期大学講師、 カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。産業能率大学兼任講師。著書に『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「対人不安」って何だろう?』『「さみしさ」の力』(ちくまプリマ―新書)など。

「2023年 『勉強ができる子は何が違うのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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