リブラの野望: 破壊者か変革者か

  • 日経BPM(日本経済新聞出版本部)
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532264161

作品紹介・あらすじ

◆リブラ登場、デジタル人民元構想。金融を舞台に、大いなる野望が動き出す。

◆米フェイスブックが発行を目指すデジタル通貨リブラ(Libra)。構想が発表されるやいなや、期待と共に、政府・中央銀行の警戒感が噴出。関係者はこぞって、事業計画が書かれたホワイトペーパーを読み込み、次の展開を探っている。また、中国など各国がデジタル通貨実装化に向け動き出す。仮想通貨バブルとは違うマネー経済のダイナミックな変化が起きている。

◆デジタル通貨とは何なのか?ビットコインやその他の決済サービスと何が同じで何が違うのか?金融当局や競争法の関係者は、リブラを極度に警戒つつ、実装化の研究を進めるのか?本書では、世界の動向を盛り込みながら、デジタル通貨の本質をあぶり出し、インパクト、当事者たちの最新動向を伝える。

◆金融、国際経済に精通した日経の専門記者がタッグを組んで執筆。最新動向まで盛り込んで刊行する。ノーベル経済学賞学者のスティグリッツ教授や、貨幣論の第一人者岩井克人教授らのインタビューも掲載。

感想・レビュー・書評

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  • Facebookが打ち出した電子通貨リブラ構想。2020年にも開始予定との話でしたが、世界中から警戒され、また、Facebookの個人情報管理に対する懸念もあって、今後どうなるか予断を許さない状況です。
    本書はリブラ構想の解説、電子通貨の歴史を振り返りつつ、今後の展開を予想します。これだけ警戒されると簡単には開始できないだろうけど、リブラ的なものは必ず出てくるのではないでしょうか。すでにスェーデンの銀行が打ち出したeクローネや、中国が企画するデジタル人民元など。GAFAのようなプラットフォーマーが先行するのか、国家が押さえるのか。ここ数年が将来に向けて非常に重要な時期になると思います。

  • ●フランスで2019年に開いたG7でリブラが既存の企業秩序に及ぼす影響に「深刻な懸念」を表明し「最高水準の規制」を課すべきだと訴えた。
    ●リブラが目指すのは、安定通貨だ。価値ををドル、ユーロ、円などの預金や国債で裏打ちし、これら通貨のバスケットと相場の動きを安定させる。資産の裏づけがなく需給で価格が乱高下するビットコインとはこの点が違う。
    ●リブラが金融システムの安定やグローバルな不正防止対策にどこまで積極的に介入するかは見えにくい。こうした分野に膨大なコストをかけている銀行や金融当局が関係者からすれば、ただ乗りだ。
    ●通貨のバスケットでリブラの価値を裏付ける仕組みと言うが、その預金や国債の心を維持しているのは、各国の銀行や財務・金融当局に他ならない。
    ● 出稼ぎ労働者等が200ドルを本国に送金するのにかかる手数料が平均で7%。この比率を2030年までに3%に下げるのは国連の目標だ。
    ●リブラは認められたメンバーだけが参加する「パーミッション(許可)型」のブロックチェーンとしてスタートする。
    ●世界にはクレジットカードどころか、いかなる公的な身分証明書も持ってない人が10億人もいる。デジタルIDと言う身分証明書を開発する皮算用がホワイトペーパーには記されています。
    ●問題はマネロンや中央銀行の欠如。
    ●そもそも透明性の高い暗号通貨とは矛盾しているのでは?

  • リブラからデジタル通貨まで、発生の機序、可能性、問題点を網羅なく指摘している。
    残念ながらリブラは一旦破綻してしまったが、改善された形で復活しつつある。
    まずはデジタル人民元が稼働し、次に追ってくるのが民間事業者なのであろうか。

  • 注目を浴びたビットコインは、投機の対象になってしまい、通貨として普及するのは難しそうだ(値上がりが期待されるなら、使うよりも持っておいた方が特だ)。そこで現れたのがフェイスブックが主導するリブラ(Libra)だ。リブラは、ドルやユーロ、円などの主要通貨と兌換することで、価値を安定させることにして、ビットコインの欠点を埋めている。
    リブラを使えば、安価で簡単に送金が実現できるようになるが、フェイスブックの個人情報流出問題やマネロン対策等から各国は規制を強化。今のところ実現に向けた動きは止まっている。

    個人的には、各国が通貨発行権を手放したくない(シニョレッジも欲しい)だけではないか、という感覚もあるが、国よりフェイスブックの方が信用できるかというと、そうとは言えないし、本書の岩井先生のインタビューで触れられている長に、中央銀行の「最後の貸し手」機能がないことも金融の安定性という観点からは怖い。

  • フェイスブックが構想したデジタル通貨「リブラ」。デジタル通貨によって国の通貨は価値を下げ今までのシステムが崩壊するかもしれない。この本では過去を踏まえ進化している点とまだ多い問題点が書かれています。ますます変化していく通貨について勉強になる一冊です。

    https://opac.shodai.ac.jp/opac/volume/540616?current=3&q=%E3%83%AA%E3%83%96%E3%83%A9&total=47&trans_url=%2Fopac%2Fsearch%3Fcount%3D20%26defaultpage%3D1%26defaulttarget%3Dlocal%26order%3Drecommended_d%26q%3D%25E3%2583%25AA%25E3%2583%2596%25E3%2583%25A9

  • お勉強。リブラ概要、問題点、ビットコインの歴史がまとまっていてわかりやすかった。

  • 世界的に話題になっているリブラについて知りたくて読みました。

    わかった、と言い切れるほどは理解出来ていないが全体像はわかりました。

    もしリブラが予定通りスタートしたら世の中はがらっと変わる可能性がありますね。
    そしてそれは吉とでるか凶と出るか。

  • 既存の金融システムや金融機関のあり方をガラッと変えるかもしれないリブラ。デジタル人民元のほうが早く実現しそうなので、どのように金融が変わっていくのか今後の中国に注目したい。

    ブロックチェーンやデジタル通貨への知識が不十分でよくわからないところがあったため、もっと理解を深めたい。

  • 東2法経図・6F開架:B1/9/416/K

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著者プロフィール

日本経済新聞社論説委員長
1985年 早稲田大学政治経済学部卒、同年日本経済新聞社入社。経済企画庁、日銀、大蔵省などを担当し、マクロ経済・金融・財政を取材。87-91年 ニューヨーク米州総局、98-01年 ワシントン支局駐在。経済部デスク、経済部編集委員兼論説委員、欧州総局編集委員、ワシントン支局長、Nikkei Asian Review編集長、上級論説委員などを経て、現職。

「2021年 『シン・日本経済入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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