夢幻花(むげんばな)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569811543

感想・レビュー・書評

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  • 主人公を取り巻く人間関係がちょっとあり得ないけど(みんな50年前の事件に何かしら関係ある)、存在しない黄色いアサガオの話は興味深かった。

  • 時代が異なるいろんなエピソードがあって、これがどう繋がるのかと思いながら一気に読んでしまった。
    最後にキレイに、いやキレイすぎるほど見事に繋がりハッピーエンド。
    家族の愛や絆、自分探し、負の遺産など…かなり盛りだくさんの一冊でした。

  • 「探偵ガリレオ」を読んで、あれ、東野圭吾ってこんなにつまらなかったっけ…と思ったが、どうも物理や化学の話が肌に合わなかっただけらしい。
    これはふつうに面白かった。東野作品の中では特別面白いってほうなわけでもないのかもしれないけど。
    さすがミステリー上手というか、伏線回収して一つの筋に話をまとめるのがすごい!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「物理や化学の話が肌に合わなかった」
      それは仕方無いですよ←どー言う意味って突っ込まないで(私は、それほど判ってないけど好き)
      文庫化待ちで...
      「物理や化学の話が肌に合わなかった」
      それは仕方無いですよ←どー言う意味って突っ込まないで(私は、それほど判ってないけど好き)
      文庫化待ちで読んでいないのですが、雑誌連載時に苦労されて、単行本化で随分手を入れられたそうです(と聞いたのですが、正しい情報かどうかは調べてません)。
      そんな曰く有りなところが気になっています。
      2013/07/09
  • 2005年に出版されたエッセイ集『さいえんす?』の中で
    既に黄色いアサガオの話は綴られていた。
    下敷きになる歴史街道の連載が2002年から、ということなので
    まさに構想10年以上の大作、ということなんだろう。
    構想の長さもさることながら、黄色いアサガオについて
    それぞれの立場から100年以上関わりを持ち
    それを世襲しながら繋いでいく描写にも壮大さを感じた。

    最初のプロローグ(という書き方は変なんだけどこの場合は正しい)で描かれる惨状は
    秋葉原の事件を彷彿とさせて薄ら寒い。
    そして2番目のプロローグでの不可解な初恋の終焉。
    更に本編に入ったらまた別の人物が出てきて…という具合。
    正直あちこちに話が飛び過ぎて読む手がちょっと止まりかけたんだけど
    無関係に見えた登場人物たちが絡んできた辺りから
    先が気になって読むのを止められなくなった。

    殺人事件の捜査と、黄色いアサガオの謎。
    このふたつは微妙に絡んでいるように見えて
    実は全く別次元で謎解きが進んでいたように思う。
    読んでいる最中は殺人とアサガオが密接に関わっているように見えたので
    殺人事件の全容が明らかになったときは
    正直なところ拍子抜けというか、空気投げを喰らった感じだった。
    しかし、犯人が捕まる前に明らかになるプロローグ1との関わり合いや
    事件解決のあとの遣り取りを見ていると
    この話の本筋は殺人事件よりもアサガオにあるんじゃないかと思えて納得した。
    ちょっと芽生えかけた恋愛の芽も何となくあやふやになっていたのだが
    むしろこれはこの方がすっきりとする感じがしたのが不思議だった。

    捜査の進み方、というか、
    真犯人に辿り着く前に疑わしい人物が現れては潔白が証明されていく、という流れは
    『新参者』や『マスカレード・ホテル』と似た印象を受ける。
    科学ミステリという側面と人の機微を描くことが両立しているという意味では
    読み応えもあるし、面白いと思う。
    とはいっても読了直後の肩透かし感もハンパなかったので(笑)☆1個マイナス(爆)。
    一気読みしたあとでゆっくり再読すると更に面白いかもしれない。

  • ふたつのプロローグが印象的。ちょっと毛色の違う作品になるのかなと予想する序盤。黄色いアサガオの登場で、ストーリーは劇的に動き出す。異なる場所で事件に関わることになった人物たちが、アサガオに吸い寄せられるかのごとく自然と結びつき、それが合図となって、事件の背景が波紋のように拡がっていく。なぜに黄色いアサガオなのか? という疑問は残るものの、展開が速いので、いくつかの違和感に構う隙を与えてもらえない。この辺りの確信犯的なテクニックをある意味楽しみに読んでいたりする。

    慣れた読者ならば、オチを予想することは可能だろう。ラストで加速的に伏線が回収される様は、何度経験しても心地よい。謎解きは平均レベルだが、「こんなに時間をかけ考えた作品は他にない」との作者の言葉通り、ムダが一切なく、非常によく練られた作品であることを実感できる。多少のご都合主義はあるものの、構成の妙がそれを上回ってしまうのだ。キャッチコピーに作者のことばを持ってきた出版社の勝利かな。

    なぜ黄色いアサガオにこだわるのかという最後の謎が、エピローグで解けた。こういう帰結を持ってくるとは脱帽。本当に繋げるのが巧い。そしてそこに込められたメッセージの意味も、今だから効いてくる。一見薄味に思えるけれど、よく噛み砕けば、作者の作品に懸ける思いの強さがわかるはず。いいお話、いいミステリ。

  • そんなに期待せず読んだからってのもあるかもしれないし、2つのプロローグが読みやすかったからかな、初めからぐいぐい物語に入り込めて、近年の東野作品のなかではわりと上位。面白かった。
    被害者であるおじいちゃんが、孫の梨乃へかける言葉とかが素敵で、あたたかくて目頭があつくなった。
    随所でいい言葉がでてくる。
    終わり方もとてもすっきりしていて良い。
    無難に面白かった。

  • 久しぶりに先が気になり一気に読んだ。江戸時代にはあった黄色い朝顔がなぜ現存しないのか。それが全ての謎を解く鍵になっている。

  • 東野さんの作品は登場人物(犯人でさえも)がみんな誰かを思いやっていて、人間らしさが感じられるのがいい。もちろんエゴがあるから犯行に至ってしまうわけだが、それは突飛なものではなくなんとなく理解できるのだ。

    最後が未来を感じられるのもいい。蒼太や梨乃の未来、蒼太と兄や母親との関係、それから話の中では語られていないが早瀬刑事と息子との関係についても明るい希望がもてる。
    強引な感じがなくはないが、それを含めても好きな作品です。

  • (No.13-27) ミステリです。

    『江戸時代には存在した黄色いアサガオ。なぜ現代では絶えてしまったのか。
    黄色いアサガオだけは追いかけるな・・・・。』

    私はマイナーな作品のレビューはすごく書きたくなるのですが、東野さんほど売れまくる人の作品は別に書かなくてもいいかな~って感じになってしまい、迷っている間に書かずじまいということが多いです。でもこれはエピローグのところがとても良かったので、やっぱり書いておきます。

    ネットであちこち見てたら、いろいろあって単行本になってなかったけど、そもそもは10年も前に連載が終わった作品だそうで。
    え?内容からしてそれはありえないでしょとびっくりしてたら、科学情報が古くなったので全面的に書き直したのだそうです。
    「書き直したことで10年前でなく、今の時代に出す意味が生じたのではないかと考えています。その理由は、本書を読んでいただければ分かると思います。」と東野さん。
    そうなの、私はそこのところに感動しました。

    3.11後の原発を工学系の東野さんとして考えた結果がこのエピローグなのでしょう。蒼太の覚悟は他人事であってはならないと思う。
    日本人として同じ覚悟がいるのだという東野さんのメッセージを受け取りました。

  • 質の高い物語を紡ぎ続けることは難しい。
    その困難なことをし続けてきた東野圭吾。
    その稀有なる才能は素晴らしいとしか言いようがない。

    しかし今回のこの本は、何なのだろうか。
    理系出身という立場をどうしても意識するが故に、アサガオを薬学と植物学の知識として使わねばならなったのだろうか。
    アサガオは漢方生薬名”牽牛子”(ケンゴシ)と呼ばれ、非常に強い下剤と言われる。漢方を使うものが知るぐらいで、一般には下剤としても使うことは稀だ。筆者も其の毒性はあまり知らないし、使わない。
    そんな知識をひけらかして、一体何になるのか。
    ”新参者:麒麟の翼”も、この本と同様ミステリーとしては程度が低い。
    しかし、有り余る親子の情、若い夫婦の愛、若さゆえにしでかした罪の重さに苦しむ姿を描いているではないか。
    東野圭吾の作品には、そういった愛が感じられるから読者は新刊本を待ち望んでいるのではないか。

    「夢幻花」には、それがない。
    ミステリーとしての内容としても、唸らせるものがない。

    はっきりいって、これは駄作である。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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