あなたのゼイ肉、落とします (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575522822

感想・レビュー・書評

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  • 2022.4.29読了
    痩せたいと思わなかった事はない。
    そして、できれば楽して痩せたいと思う。
    そして、そんな事は無理に決まっていることも知っている。
    さあ、どうする…

    と考える前に、果たして痩せたら幸せになれるのか?と問いかけられる一冊。
    なぜなら本作に登場する仕掛け人で、「あなたのゼイ肉、落とします」と言っている当人こそが、まず太っているからだ。

    ダイエット請負人の名は大庭小萬里。彼女は「掃除のオバサン」ふうの中年の女性で、本人曰く「太っているがデブではない」のだが、ダイエットの指導者としてはいかがなものかと依頼人達は絶句するのである。
    更に、小萬里はダイエットとは関係のない指導をする事もあるのだ。例えを挙げれば、ブスとして生きる覚悟を決めろなどと身も蓋もない言葉を投げかけたりする。
    しかし見た目だけ整えたから何だというのだ。
    小萬里は、見た目を作るのが内面だということを理解している。だから内面の問題を解決するのである。
    そして、内面を作るには依頼人の考え方だけではなく、家族など周辺の人々や環境も影響する。
    依頼人がその影響を受けて間違った方向に舵を切ろうとするのに待ったをかける様に、何か親心のようなものを感じ、あったかい気持ちになる。
    本作は4話の短編集になっているが、これで終わりなのが名残惜しい。
    もうちょっと小萬里と話したい気分だ。
    あまり痩せていませんね、と言われそうだが、、、

  • 自分の容姿についての悩みが最高潮に達した時、机の上に積んであったこのタイトルが目に入って読み始めました。

    まるで本編に収録されていそうな出会い方ですが、結果として私の心も救われたというオチまでシナリオ通りです。

    登場人物たちがデブとして悩む描写の多い前半パートでは何度共感をしたことか。
    次第に彼らの気持ちが明るくなっていく後半パートではどんなに背中を押されたことか。

    きっと私の人生に残る大切な1冊。

    前作も読みます!

  • 安定の垣谷さん。

    今回はトマリさんの妹、コマリさんだったー!!!
    すごい姉妹だ。
    4つの短編集だったけど、1つ1つを深堀りして単行本にして欲しいと思った。

    3話の記憶喪失はあんまりだったけど、あとは全部良かったー。
    私の心の贅肉も落としてもらいたい。

    贅肉→不要な肉塊らしい。

    肉塊。

  • 心の贅肉落としますってことで、太るのは直接的には食べ過ぎや運動不足なんでしょうが、その背景がありますよねって話で、人それぞれ色んな事情があって面白かった。
    しかし、デブってのは想像以上に惨めな気持ちになるものなんですね。最近だいぶやばいので気をつける。
    中編集なので読みやすいです。

  • 太りやすい体質とかも関係あるけど、
    デブの一番の理由は心の問題!?
    …いや、太る理由は様々なんだなと改めて思う。

    ・一話
    細くて美人だった自慢のママがいつの間にか太ってしまい、ブスとして生き直すために何が必要かを考える話。
    ⇒ブスの方が世の中の悲しさ、理不尽さを味わっていて、愛嬌、笑顔と顔以外で生き抜く方法を知っている
    ⇒子供が大きくなって、自分も歳をとったのに、自分の負担が減っていないことへのストレス(成人した子供が実家にパラサイト、家事全般一人でこなして職場では部長職も兼務)が食へと走らせていた
    ⇒子供、旦那の今後のために自立を促す。子供にお金を入れさせる。旦那に家事をさせるなど。
    ⇒自分の健康を気遣う時間が確保できた

    ・二話
    旧華族という家柄に産まれ、金持ちに嫁ぐ事だけを父に強要された18歳末っ子の反発
    ⇒姉達のように、金持ちに嫁ぎ、華やかな生活を送ることに魅力を感じていない
    ⇒太ったことで自分には価値がないと落ち込み、さらに食べる負のスパイラル
    ⇒実は父は姉達からお金を援助してもらっていて、自分を金づるとしか見ていないと知ったこと、自立のための具体的な目標を立てたこと、伯母の応援があったことで行動に移す
    ⇒情熱を注げる対象が出来て、落ち込む暇が無くなる

    ・三話
    交通事故で1年半の記憶を失った男が、自分の記憶にある親と今の親の関係が違っていて混乱する話
    ⇒父は母親を奴隷のように扱っていて、自分の思い通りにならないとキレる性格
    ⇒そんな父を軽蔑していたのに、自分も母に対して父と同じ態度をとってしまっている。姉も恋愛に希望が持てないと絶望し、恋人もいない状態。
    ⇒記憶を無くした期間、ストーカー行為をしていた。被害者の親は有名企業の役職持ち。
    ⇒学生時代につきあった女の子の親が自営業だったため、当時父に怒鳴られ、全否定された。
    ⇒自分の好みではなく、父の意向に沿うかどうかが自分の判断基準になっていたことで、自分を押さえるストレスが食へ走らせていた。

    ・四話
    父を事故で亡くした一人親家庭で、ご飯はお菓子やカップラーメン。太っていることで陰湿ないじめを受ける小学4年の男の子の話。
    ⇒同じ一人親の家庭の子供と出会う
    ⇒脂質糖質の取りすぎで、ビタミン、ミネラルたんぱく質が足りないため、ご飯の作り方を学ぶ
    ⇒駆け落ち同然で、実家の援助を受けられなかった母親へ、今まで一人で頑張ってきたことはすごいことだが、信念ではなく意地の為なら捨てなさい、一番大切なことは息子を守るための環境を作ることだと諭し、実家の援助を受けることで、親子の時間が増える。

  • そろそろダイエットを本気でしないとな。と思っていた時にこの本のタイトルに惹かれて読んでみました。
    読んだら痩せるだけじゃなく、心から変わらなければということが分かり、なるほどと納得しました。
    挫折しそうになったら、この本を開こうと思います。

  • さくさく読める面白さです(^-^)
    「あなたの人生片付けます」のシリーズもの。
    各章で体型が悩みの主人公がいて、大庭小萬里さんが解決に導きます。
    みんなダイエット本を手にとり、疑いつつも最後の砦とばかりに連絡をいれる。
    事前に思い浮かべるのは、スラッとして美人で年齢より若く見えるタイプで、、、すごいわかる(笑)
    ダイエット本書く人って、=エッセイ本みたいな感じなので、医者を除けば作者に対しては、なりたい自分に近い理想体型を思い浮かべますよね。
    実際来るのは、一見小太りに見える筋肉がっしりなおばちゃんなんですけど( ̄▽ ̄)
    一番気持ちわかるなって感じだったのは、一章目の49歳の働く主婦。今までは美人として生きてきたんだ、これからは人間として生きなきゃいけないっていうのは、、なんか納得。
    若い頃のつもりでいると、中年になってから人間関係に苦労する気がする。そこに体型変化が拍車をかけたパターン。。わかるからこそ、今自分は気をつけてるけど、いつ気が緩むかわからないし。。中身を育てないとダメですね。
    最終章の10歳の男の子の話は、結末までとても良かった。大人のダイエットより、解決に向かう時の成長がすざましいなぁ。。いじめも無くなって、お母さんも助けられるようになって、明るくなって、、読んでてとても気持ちが良かったです。
    今の自分が当てはまるか、、というより教訓にして参考にしようって感じで読んでました。
    いつかは太るかもしれない自分を回避したいと思うなら、ぜひ読んでいただきたい小説です。

  • デブではなくマッチョな大庭小萬里の、こころのゼイ肉を落とすスパルタダイエット指導?というか、人生指南。
    詰まりを溶かしたら血液サラサラみたいな、ね。
    でも、小萬里の力こぶが出るくらいマッチョって気になるな~。ロコモ予防って言ってるけど、女性でムキムキって結構なトレーニングしてるよね?
    あと、どうしても3話目にホラーを感じてしまう。

  • 垣谷さんの小説は、笑って最後はホロリ。登場人物の明るい未来が感じられるものが多くてストレス解消にぴったり

    太ってしまった美人OL.女子大生、サラリーマン、小学生

    ダイエット小説と帯には書いてあったが、中身は、ダイエットカウンセラー大庭小萬里が、彼らの悩みに真摯に向き合い生活を改善させるストーリー

    いじめられっこで母子家庭の小学生を救う最後の話がとても良かった

  • ダイエットは運動と食事制限だけではない。大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。どうやら、身体だけではなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ…。ベストセラー『あなたの人生、片づけます』の主人公・大庭十萬里の妹である大庭小萬里の指導が冴える、読んで痩せるダイエット小説。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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