あなたとオムライス 食堂のおばちゃん(8) (ハルキ文庫 や 11-10)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.73
  • (32)
  • (98)
  • (84)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 819
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443531

作品紹介・あらすじ

なつかしのオムライス、うすいえんどうの豆ごはん、ロールキャベツ、アジフライ──。
佃はじめ食堂の常連客でお酒も卸している辰浪康平は四十歳すぎで気楽な独身。
両親が息子の将来を心配して、代理婚活の会に入会した。子供の代わりに親同士が見合いして結婚相手を探すという。
康平は三十三歳の女性とつき合い始めたが……。
幸福な出逢いとかけがえのない思い出。はじめ食堂に集う人々の人生模様と、季節の美味しくて庶民的なご飯を描く、
大人気シリーズ。(巻末に著者のレシピ付き)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 食堂のおばちゃん シリーズ 第8弾。

    今回は「婚活」と「死」。
    でも、話はほっこり。

    生と死はあちらとこちら ではなく、陸続き。
    その感覚はこの年になると、私にも理解ができる。
    これも梨木さんの本のおかげかも。

    食べ物としては、うすいえんどう、ビシソワーズ、オムライス。
    積読していた8巻を読み終わってホッと一息。
    まだ続きそうなので、続きが楽しみです。

  • あれっあれっ2人は現状維持なのかね、あの流れで熱海旅行後に必ずあるだろうと思って読んでござる。1番の息抜きが一食堂で恋人に使う時間を全部一食堂なんだろうな、なので時間は平等って事。毎回4千円くらい使うのが羨ましい限りです。後藤さんの悼みも突然だった だから題名だったのかな、オムライス話はとても良いです。いつもの顔触れの合間に料理の説明が的確で想像出来る。お酒もそう江戸開場とかほんと好きなんだろうな山口恵以子さん あー

  • 食堂のおばちゃんシリーズ8冊目。
    姑の一子と嫁の二三が切り盛りする、はじめ食堂。
    婚活の話題から始まる人間模様。これは縁?そして別れも。
    第一話 菜の花と婚活・・・節分の夜の話題は婚活。康平も瑠美も
      40代の独身。その翌日、康平の両親が代理婚活の会に入会。
    第二話 牡蠣よ、さらば!・・・雛祭り。康平の婚活の相手は
      33歳のOL。両親は乗り気だが康平は?瑠美の表情も気になる。
    第三話 いつも心に豆ご飯・・・瑠美の土産のうすいえんどうで、
     花の豆祭り。志音が店への不満で揉め事を起こすが万里は・・・。
    第四話 椿油で縁結び・・・6月は店の慰安旅行で熱海・伊東へ。
     パワースポットでの参拝でおみくじを引き、思うのは、
     食堂での小さな幸せを大切に育てて守ってゆくこと。
    第五話 あなたとオムライス・・・オムライスを食べて心に浮かぶ
     情景は、あの時も食べた過去の想い出。そして彼は旅立つ。
    <巻末>食堂のおばちゃんのワンポイントアドバイス・・・レシピ。

    優しい心遣いが味付けになる大衆食堂での、人情話短編集。
    年を重ねるにつれて脳裏を過ぎるのは、過去の情景や想い出。
    そして人生の終焉。康平の将来を心配して、両親が代理婚活の
    会に入会したのも、自分たちの老い先を考えてのことです。
    実際に、第五話ではレギュラーメンバーの常連、後藤が
    亡くなりました。どうにもならない運命。
    だけど、遠くならないうちにまた会えるという山手の言葉に、
    心を打たれました。山手も70代。思えば一子は高齢だし、
    二三も還暦を過ぎ、登場人物たちも年を重ねてきました。
    新型コロナウイルスが物語の中にも影響する、令和2年。
    自粛生活や休業要請の波が登場人物たちにも降りかかる日々。
    常連たちの支えで乗り越えましたが、はじめ食堂のこれからは、
    どうなってゆくのか?康平と瑠美の関係も含め、気になるところ。
    日本酒の情報がたっぷりあったのも、楽しかったです。

  • 食堂のおばちゃんシリーズの良いところは、大きな変化がないところ

    でも、今回は違う
    万里の成長をとても感じるし
    はじめ食堂に集う人たちの関係性
    そして、、

    変化を感じる一冊でした

    はじめ食堂に行きたい!オムレツ食べたい!

  • くどき上手 秋鹿 天青 亀泉 醸し人九平次の雄町
    月の輪 人気一・・・
    この巻だけでもこんな日本酒の銘柄が出てきた 

    このシリーズもこれで第八巻
    思えば、初めから夕方のご常連酒屋の辰浪康平さんの口からさまざまな日本酒の銘柄とそれに合う料理が語られた

    私はビール党なので、いろんなお酒があるんだなと思う程度でスルーしてきたが、今回は、料理研究家の瑠美先生の日本酒に合うスイーツの開発をきっかけに、まるで日本酒名鑑のように日本酒の種類や系統が出てきて驚かされた

    コロナ禍で緊急事態宣言
    はじめ食堂はもちろん、常連さんの仕事にもさまざまな影響が出るが、決して挫けることなくサラリと受け止め、前を向く
    生きていればいろんなことがある

    そして、常連の後藤さんの訃報

    「生と死も、陸続き、隣町って感じかねえ」
    「孤独死とか可哀想と決めつけるのは間違いですよ。誰がそばにいても死ぬ時は一人。誰にも代わってはもらえません。それぐらいの覚悟は、後藤さんはとっくになさっていましたよ」
    という一子の言葉に慰められる

    おいしいものを食べながら、後藤さんとの思い出話を語り合えるのも、また、はじめ食堂ならでは

    康平さんと瑠美先生のロマンスの行く末も見守りたい


  • 「食堂のおばちゃん」シリーズ第8弾。良いペース。
    姑の一子(いちこ)と嫁の二三(ふみ)が営む「はじめ食堂」の物語。
    前作、第7弾で、従業員の赤目万里(あかめばんり)が調理師試験に合格した。
    万里の巣立ちを遠く視野に入れながらも、毎日のお客さんに美味しいものを出して季節は進んでいく。

    今回のメインテーマは、常連・辰波康平(たつなみこうへい)の婚活、謎解きは少なめ。
    四十路を迎えた息子の独身は、家業の酒屋にとっても大問題、とテンパった両親が代理婚活に踏み切るなど、現代が抱えた問題に迫る。
    常連の中からカップル誕生するか!?と興味津々。
    しかし、人生には良いことも悪いことも起きる。
    長年連れ添ってきた読者にも予期せぬ展開?

    作者が経験の中で感じたことが今までも語られてきた。
    一人で死んだら孤独死?可哀相?
    それは違う。
    人は誰も一人で死ぬ。
    命が終わるまで自由であったこと、好きなことをしてきたこと、それがあったなら、人生の最期もお祭りだ。

    そして…オムライスは好きな人と、楽しく半分こするもの?

    今回はコロナ禍の影響を描くことも避けては通れない。
    おなじみの登場人物たちも、それぞれに頑張って乗り切って来た様が描かれている。

    第一話 菜の花と婚活
    第二話 牡蠣よ、さらば
    第三話 いつも心に豆ご飯
    第四話 椿油で縁結び
    第五話 あなたとオムライス

  • 食堂のおばちゃんシリーズ第8弾。
    山口さんのシリーズものは本当に刊行ペースが早い! ついこの間読んだと思ったらもう新作が! ありがたいことです。

    コロナ禍真っ只中、飲食店は時短営業や自粛生活の等の影響をもろに受けて大変だった。そんなニュースを見聞きして、はじめ食堂は大丈夫か…なんてリアルに心配してしまった。それくらい、行ったこともないのに自分の馴染みの店、みたいな存在になっている(笑)。
    今作ではしっかりコロナの時事問題にも触れていたけど、はじめ食堂にはそこまで大きな影響はなく、無事に日々を過ごしていて安心した。

    それにしても最初は康平さんの婚カツ話でほのぼのしていたのに、ラストでは後藤さんが亡くなって…。まさかの展開に思わず涙が溢れそうになった。
    でも一子さんが後藤さんの娘さんにかけた言葉でハッとなった。
    一人で死んだからって、可哀想ではない…。
    確かにそうだなぁ。後藤さん、確かに毎日幸せに過ごしてたもんなぁ。
    やはり一子さんの言葉は素敵。

    次のお話では康平さんたちに何か進展はあるのかな? そちらも楽しみに待ちたい。

  • やっぱりいいね、はじめ食堂。今回は常連の辰波康平さんの婚活話から。両親が心配するのもわかる。本人がその気にならないとなぁ。。。お相手の方もだまそうと思っていたわけじゃないと思うな。ただ、今の状況を脱したかっただけではないかな。社員旅行!いいな、伊東の温泉。女子が好みそう。
    第5話。オムライスの裏側にそんな出来事があったなんて。でも、幸せに生きていたと言ってくれた一子さんに感謝。

  • 「食堂のおばちゃん」シリーズの第8巻。この巻では、常連客で酒屋の2代目、辰浪康平の両親が息子の婚活に乗り出します。康平以外にこの物語には、少しずつ登場人物が増えて「はじめ食堂」に通う人達が「はじめ食堂」を通じて人間関係をつくり、支えあう描写が人気の理由かなと思います。康平の婚活は?他の常連客の人生模様は?まだまだ続くこの物語。(物語が続く限り、「はじめ食堂」は繁盛して、美味しそうな料理も紹介されるのは当たり前ですが)

  • 二一子、二三の姑嫁とバイトの万里が働くはじめ食堂のあったかい料理と常連さんたちの物語。
    今回は常連の酒屋康平さんのお見合い話、瑠美先生の恋バナ、最後には驚きのエピソードも。
    軽く読めて温かい気持ちになれるおすすめのシリーズ。

全61件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山口恵以子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×