黄色い雨

  • ソニ-・ミュ-ジックソリュ-ションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789725125

感想・レビュー・書評

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  • 散文だが、詩的で漠とした美しさに溢れた作品。

  • 2012.10.2.tue

    【経由】
    ぺりこさん推薦

    【メモ】
    廃村にひとり残された老人が孤独と死を最期まで見つめる話。

    【感想】
    •ぺりこ氏にエリック•サティのクラッシックも借りていて聞きながら読んだのだけど、「ジムノペティ」「ひからびた胎児」がまさに本著のイメージどおりで、淋しくて何故か美しい作品だと思った。
    •前からただでさえおじいちゃんと犬には弱いので、雌犬の無垢な瞳に耐えきれなくて云々の描写は辛かったよ…
    •狂い咲いたりんご、その液体を受け継ぐじぶんの描写にゾクゾクするものがあった。
    •文中に「黄色」≒朽ちていくものがよくでてくる。表紙の色彩がまさに内容にぴったりで、色彩のイメージが強く残る。
    •孤独を悲劇的に描くのではなく、ただその廃れ淋しい様をありのままに表す文体。

    【発見】
    •お芝居が好きなので、物語の展開を求めるところがじぶんにはあるけど、本著みたいな概念を見つめる作品も好きなんだなということ。ただし文体による。安部公房のような毒を含むと長編にわたって概念を見つめるのはやっぱり好きではないかもしれない。(興味深いからなんやいうて読んでしまうのだけど!)

    【共感】
    誰からも忘れられたらそれは「死」と変わらないということ。
    生きていることが実感できなければ人は無気力になってしまうこと。
    犬の目に「生」を確かめてしまうこと。

    【あとがきについて】
    著者が批評することが嫌いで、批評することで作品がよりよくなる訳ではないという考えがあるということを知って、だからこんなにニュートラルにできごとを物語れるのかなーと思った。

    それについてはわたしも悩むところだけど、批評することで頭の整理、自身の嗜好の分析ができるので、「この作品が面白いのは何故なのか。どつやったらもっと面白いか」という目はもっておこうと今は思う。

  • ・文体の美しさ。
    ・簡素な舞台と、奥深さ。
    ・不吉さ。
    ・幽霊。
    ・雌犬の存在。
    ・悲しくも優しいまなざし。
    ・異文化。
    出会えてよかった本。

  • みなさんのレビューをみて、読みましたが、
    良いのですが、
    ??
    作品全体を通して、
    透明に朽ちていく情感についていけませんでした。
    ごめんなさい。
    世の中にはいろいろな種類の人間がいる。
    高温多湿の中で生活する者には、理解できない憧れだけが残る作家でした。

    歳を経て読み直すとわかるのかしら?

  • 仲間や家族の離村・死別により一人取り残された男の、狂気と孤独の物語。
    静かに壊れてゆく彼は、次第に生死すら曖昧になってゆく。どの部分から彼は死んでいたのだろうか。

    テーマは重いが、文章が端正で案外読みやすい。
    じっくりと時間をかけて味わいたい作品。

  • 朽ちていく命と村。降り積もる雪、黄色いポプラ、孤独。生と死の境界があいまいになる。

  • 時を腐らせる黄色い雨が、この死者の回顧録を読むあいだ、わたしの眼にも降り注いでいました。

  • 「黄色い雨」(フリオ・リャマサーレス)を読んだ。たぶん極限の孤独感と閉塞感についてのかなりユニークな物語だと思う。しかし、確実にそこにある悲しみを感じることはできるのだが、おそらく私の想像し得る領域からあまりにも逸脱しているせいなのか、感動をもたらしてはくれなかった。読解力不足。

  • 「言葉を使って見えるものと見えないものが魔法にかかったように前からも後ろからも表からも裏からも足下からずっと上の方から近くからそして遠くからあっちからもこっちからも描きだされていくようなそしてその絵の中に引き込まれていくような。」

  • 夜が、あの男のためにとどまっている。
    ──沈黙と忘却に蝕まれゆくアイニェーリェ村に、たったひとり残された老父の物語です。

    はじめて読んだ時、これほどまでに哀しみにあふれた物語なのに、言葉の美しさに胸が震えたのを思い出します。

    このアイニェーリェ村というのは、かつて実在し、忘却と雪に包まれて、今も沈黙したまま建っているのだそうです。

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著者プロフィール

1955年、スペイン生まれ。詩人、作家。著書に『黄色い雨』『狼たちの月』『無声映画のシーン』(いずれも木村榮一訳)など。

「2022年 『リャマサーレス短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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