文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-1)

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218780

感想・レビュー・書評

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  • 日本でも、東京ー福岡のほうが東京ー青森よりも繁栄しているのは、地形のせいなのだろうか。日本に置き換えると、そのように考えた。

    • jyunko6822さん
      そう、この本は深読みすればトコトン!なんですが何故か私の周りの人たち敬遠してるんです。面白い本ですよね!
      そう、この本は深読みすればトコトン!なんですが何故か私の周りの人たち敬遠してるんです。面白い本ですよね!
      2015/07/14
    • scsa0316さん
      どちらかというと関東地方から先がぐっと北に上がっているので、東西方向のほうが何かと伝搬しやすいという本書の内容とも符合するんじゃないかと思い...
      どちらかというと関東地方から先がぐっと北に上がっているので、東西方向のほうが何かと伝搬しやすいという本書の内容とも符合するんじゃないかと思います。九州も福岡からは急に南の方向に伸びていくので。ちょっと強引かもしれないけど。
      2018/05/04
  • 本書は生理学者・進化生物学者・生物地理学者であるジャレド・ダイアモンドによる、人類史に関する不均衡に関する謎を解き明かそうとする本である。

    生物学、考古学、言語学などの研究成果から、現代社会におけるパワーと富の不均衡がどうして生まれたか、について考察を進めていく。

    全体としてはヨーロッパ民族の優越意識 (ある種の人種差別意識) に一石を投じるものとなっている。基本的にはこの差は民族の知能差によるものではなく、環境の差であることが示されている。とは言うものの、やたらニューギニアにかつてあった食人習慣が強調されているのは気になる。

    この上巻では農耕文化の発展による非生産階級の出現、そして、大型哺乳類の家畜化による病原菌の進化と免疫の獲得が不均衡の原因の一部になったことが述べられている。

    全体としてあまり科学の細部には立ち入らないが、世界史における様々な研究成果が紹介されており勉強になる。引き続き下巻も読み進めようと思う。

  •  昨今、歴史認識という奇妙な言葉が独り歩きしているように思う。私がここで「奇妙な」という形容詞を用いたのには理由がある。歴史を学問の一つとして捉えるならば、認識という主観を伴う表現に疑問を感じるためである。歴史が学問でないのであれば、それは想像の産物であり、余暇を楽しむための遊戯であり、個の中で閉じた世界である。より広い世界において物事を語り合うためには、その世界で共有される言語が必要であり、少なくとも今の世の中において、それは「科学」と呼ばれている。
     この本では、人類史という観点から歴史を「科学」することに努めている、あるいは努めようとしている。偏見を伴う思考から導かれる安直な結論や論理の飛躍、意図せずに行われてきた根拠に乏しい仮定などの思考停止を排除し、ある種妥当と考えられる論理を用いて、人類が何故かくある歴史を築き上げてきたのか、別の歴史を歩まなかった必然性とは何かを問う作品である。故にこの本は歴史の真実を書き下したものではなく、当時のより妥当だと思われる推論を展開した文章に過ぎない。「科学」とは真理を問う行為そのものを重視するのではなく、妥当な推論を重ねることで真理に近づこうとする過程に意味を見出すのである。
     この視点において、「銃・病原菌・鉄」は良く書かれていると思う。専門家にしか読むことのできない論文とは違い、一般読者向けに豊富な資料や参考文献も合わせて、始めから終りまで懇切丁寧に解説した文章には滅多にお目にかかることができない。文章の構成も分かりやすく、まず疑問という形で命題が提示され、背景知識として幾つかの視点からそれが考察される。そして様々な調査による事実を根拠として挙げ、その事実が満たされるための妥当な推論を展開していく。最後に結論があり、最初の疑問と合わせてその回答が紹介される。多くの学術的な文章と同様な構成ではあるが、それでも読みにくいものはいくらでもある中で、これ程までの大作を書き上げることは至難の業だろう。そして何より日本人にとり重要なことだが、邦訳が実に親しみやすい文章である。原作と比較している訳ではないので誤謬の存在は否定できないが、文章として違和感なく読むことができることは珍しい。
     内容は下巻を読み終えた後で紹介することにするとして、この本の主題を一つ紹介しておく。それは文中でも幾度となく取り上げられるが、なぜ人に持つ者と持たざる者が現れるのか、富や権力、技術や知識に不均衡が生まれる原因は何かという疑問である。各民族の能力に差異があるとか、偶然の産物と結論付けることは単なる思考の停止である。かつて数学者パスカルが人を「考える葦」と表したように、人類の歩んだ歴史を「科学」という言葉で「考える」ことで、人類史に意義を見出そうとする。こうした意志を私はこの本から感じ取れるのである。

  • 「白人はたくさんのもの発達させてニューギニアに持ち込んだが、ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜか?」
    ニューギニアのカリスマ政治家の質問から解説は始まる。
    別の言葉で言えば、人類が地域によって異なる発展を遂げてきたことに対する歴史的確に解明だ。

    キーワードは
    ・銃・病原菌・鉄
    (これら直接要因がどう発展・伝播したかが本書の目玉)
    ・人口の稠密性
    →高いほど専門化された集団が形成されやすい
    ・緯度による地域間の気候の差異
    →野生動物の家畜化、生物相にも影響
    ・有用な野生植物の有無
    →新しい主要食物は近世以降ひとつも栽培されていない
    ・家畜化されなかった理由
    ex.シマウマは一度人に噛み付くと離さない習性がある。
    群れをなす群衆性があるか否か。
    ・病原菌も生物同様に淘汰され進化している

    下巻も楽しみです。

  • Audibleにて上巻だけで11時間半。途中か1.5倍速で聴く。
    なぜ欧米が繁栄、他の地域が遅れたのか。ニューギニアなどの辺境から文明が発展しなかったのは何故なのかといった問いに対して、
    地域の動植物、気候や部族の特徴などの要素から考察してる面白い作品
    下巻も聴きたいけれど覚悟がいる

  • 東南アジアやアフリカ、オセアニア地域に主に焦点をあてた珍しい歴史科学の一冊。
    内容自体は大ボリュームかつ新しい知見がてんこ盛りで大変面白いのだが、文章が堅く難しいので読み終わるのにかなり時間がかかった。

    個人的に好きだった箇所↓↓↓
    ・政府かの歴史を形作った要因は、人種の優劣ではなく環境の差異。
    ・農耕、家畜の有無が社会形成に大きく影響を及ぼす。
    ・シマウマは気性が荒いために家畜化されなかった。
    ・文化の伝播は南北方向よりも東西方向の方が起こりやすい。
    ・家畜の飼育を早くから始めた地域は病原菌に対する抗体をいち早く獲得し、それが他国を征服する上での強力な武器となった。

  • 興味深いことがたくさん書いてあり、今こそ、と思って意気揚々と読み始めたけど、いかんせん長い!みんな良く読めるなー。ちょっとずつ読み進めて、何度も寝落ちし、何とか。下巻に行く勇気なし。

  • おもしろい。やや冗長に感じる部分もあるが、よくここまで調べているものだと感心した。

  • 非常におもしろいです。短期間で読むのがもったいないので、読むのを少し我慢したくらいです。
    人類の歴史に食料、土地の地形や気候、病原菌がこんなに作用していたとは、この本を読むまで、
    考えにもおよびませんでした。
    学生時代にこんな風に世界史や地理を教えてくれたら、もっと勉強がおもしろかったのに、と思いました。
    なので、特に10〜20代の若い人にこそ読んでほしい良書と言っていいでしょう。早く下巻も読みたい!

  • ヨーロッパ人が新大陸を瞬く間に征服できた要因のうち、病原菌によるものが大きいという事実は衝撃的だった。
    アメリカ大陸の先住民の95%が、ヨーロッパ人のもたらした病原菌が引き起こす疫病で死んでいる。
    病原菌の進化だけでなく、人口を爆発的に増大させた農耕の発展や、文字や政治体系や武器の進化などが、ユーラシア大陸という場所だからこそ生まれえたというのも、なんとも言えない複雑な気持ちにさせる。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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