山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)
- メディアファクトリー (2012年8月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840146968
感想・レビュー・書評
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品川ー田町間に新しい駅ができるという。2012年正月明けの新聞に記事が掲載されたとのこと。知らなかった。40年ぶり、30番目の駅になるとのこと。そして、この新駅開発を武器に、東京の経済活性化の起爆剤になる仕掛けがいくつもあると筆者は説明する。
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実現可能性はどうか分からないが、山手線新駅から広がる未来を垣間見えた。山手線の歴史などの周辺知識も手に入れられる良書だと思います。
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品川のポテンシャル
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職場が近くにあった関係でよく利用していた泉岳寺駅。この駅は夜遅くなると運転間隔が異様に広がるため、電車を一本逃すと大変だったのだ。
次の電車を待つのももどかしく、夜の第一京浜をブツクサ言いながら品川駅まで歩いたことが何度もある。
しかしあのときまさか、都内では珍しいほど茫洋としたあの暗い空間に駅ができる計画が持ち上がるとは考えてもみなかった。
完成まではあと6年ほどかかるようだけれども、できた時のメリットは計り知れないようだ。泉岳寺でブツクサ言う者も減るんじゃないかと思うとワクワクせずにはいられない。
本書はタイムカプセルとして残しておいて、新駅ができた時にもう一度読んでみたいものである。そういう意味では二度楽しめる。 -
山手線の品川駅と田町駅のに山手線30番目の駅が出来ると最初に報じられたのは、2003年12月31日であり(日経新聞)、そのことは、今でもはっきり覚えている。早いもので、それから10年が経とうとしている。
しかし、その報道後は、しばし本件に関して、メディアは沈黙を続けていたが、一点、今年(2012年)の年明け早々、より具体的な新駅に関する記事が新聞各紙に躍った。
今年の報道によると、単に新駅だけでなく、新駅予定地の東側に広がる下水処理場の空中も再開発し、かつその地域が「アジアヘッドクォーター特区」(※1)(東京都)、「国際戦略総合地区」(※2)(内閣官房)、「特定都市再生緊急整備地区」(内閣に設置された都市再生本部)などにも指定された。
つまり、新駅が出来ることを前提に、外堀を埋められた形となっており、これはもはや新駅構想が後戻りできないレベルに来たことを示唆しているといえよう。
また、JR敷地内でも、新駅に付随して、現在の品川車両基地跡地に、JR東日本が商業施設をつくるようである。JRは最近駅ナカビジネスに軸足を移しており、その舞台として今回の新駅対象地は格好の場所となっている。
長引く不況で暗い話が多い日本にあって、なかなか、楽しみな話だが、本書によれば、この新駅開発は、順調に行けば、下記のようなスケジュールで進むといわれる。
①2014年度中に、東北縦貫線(※3)工事が完成
②2020年頃までに、山手線・京浜東北線の線路移設工事完成
③2020年頃、品川―田町駅間に山手線(京浜東北線も停車)の新駅完成
④2020年頃までに、品川車両基地跡地約15haにオフィス・商業施設が完成
⑤2020年頃、東西連絡道路(※4)開通など東京都の駅周辺事業が完了
⑥2027年頃、リニア中央新幹線の品川駅開業
この他にも、六本木―品川間の新地下鉄構想(「都心の新しい街づくりを考える会」提案)や成田と羽田を59分で結ぶ地下鉄短絡線(国土交通省による「成田・羽田空港てつどうアクセス改善調査」)(※5)構想など、品川エリアの開発構想はより大規模な範囲で広がっていくようである。
※1.東京都による積極的な外国企業誘致プロジェクトで、アジア地域における業務統括拠点、研究開発拠点、具体的には、全世界を相手にビジネス展開している外国大手企業のアジア本社、アジア統括事業本部、アジア研究開発センターなどを誘致するもの。
※2.「わが国の経済成長エンジンとなる産業や外資系企業等の集積を促進」することを目的とし、「国は、国際競争力の強化のための包括的かつ先駆的なチャレンジに対し、規制の特例措置、税制・財政・金融上の支援措置等により総合的に支援する」としている。東京都は。「アジアヘッドクォーター特区」を「国際戦略総合特区」の一つに指定するよう申請した。
※3.現在上野止まりの宇都宮線・高崎線・常磐線の線路を延長して、3線とも東京駅まで乗り入れるようにするというもの。これにより、山手線のラッシュ時の混雑緩和効果が期待される。
※4.環状4号線(外苑西通り・プラチナストリート)を、白金台交差点から国道1号線(桜田通り)を高輪台交差点で、国道15号線(第一京浜)を高輪二丁目付近で横切り、京浜急行線、JR山手線・京浜東北線・東海道新幹線・東海道本線をすべて高架で跨ぎ越して、東口の都道316号線(海岸通り)と交差させるもの。
※5.具体的には、都営地下鉄浅草線押上駅付近―京急泉岳寺駅付近を短絡線で結ぶアイデアで、これにより、浅草線の12駅分(約11km)をまるまるショートカットする計画。 -
現在都民の私は、題名に興味を持ち購入したのだが、中身のない近年まれに見る駄作であった。何度も何度も同じ主張を繰り返し、これは前に読んだページかと錯覚するくらいであった。また全体を通し、論理構成ができておらず、大学入学したての学生のレポートを思わせるレベルであった。内容の重複を削除するとおそらく中身は50ページ程度しかなく、中身も新聞で得られる情報を超える内容はない。
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経済効果がすごいであろう、ということはよく分かった。
ただ、開発に関しては筆者の思う様には行かないだろうなと思ってしまうのは何故だろう。
でも、これ位理想を持って新駅の開発が出来たなら素晴らしいなと思わせる位、筆者は都市開発がお好きで理念を持ってるんだなと思わせる一冊。 -
山手線新駅の話だけではなく、東京の都市戦略を短時間で把握して、妄想するには良い本。
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品川駅付近の操車場が、東北縦貫線をつくることによって、田端などに踊り子やホームライナーを移せることから、大規模開発の可能性がでてきた。
それに併せて、山手線に新駅をつくるとともに、JR東日本は一体の面的開発をしようとしている。
リニア新幹線とかいろいろな要素がまだ不確定だが、今の品川ビル群や汐留の開発の反省をもって事業に取り組んでほしいし、国も積極的に関与すべき。
(1)汐留などのように基盤部分だけを国や都が関与して、あとは切り売りにしてしまうと、結経、街のにぎわいとか集客力が生まれない。上物部分についても行政がなんらかのリスクをもって参画すべき。
(2)まず、国又は都が考える公共建築物と一体的に事業をすることを提案できないか。
(3)さらに基盤整備と上物を整備するSPCに対して国や都も出資して、一定の公的関与をしながら、上物の用途や配置、デザインを考えていく。そして、事業が成功すれば、その出資はむしろ利益をあげて帰ってくるようにして、国民の負担をかけないようにする。
(4)基盤整備や上物の建築、土地利用については、URなどの技術者と、施設の中のビジネス運営のための経営者が共同で参画する官民一体の運営企画会社方式でできないか。
とにかく、基盤だけ補助して、あとはJR東日本が高値で売却しておわりにならないように、国と都もきちっと開発にグリップをかける必要がある。 -
2012.09.26 新駅ができるわけ、というより首都圏の今後の都市計画や交通網の発展の可能性を語った本。なんとなく未来に期待が持てるが、都市開発、交通網以外の視点からの発展の根拠はあまりない。