職業としての小説家 (Switch library)
- スイッチパブリッシング (2015年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884184438
感想・レビュー・書評
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P63
「かまわないんですよ、とくに取らなくても」の言ったところで、誰も額面通りには受け取ってくれないだろうし、かえって場が白けそうだし。
P67
そんなものはあくまで社会的な、あるいは文壇的な形式上の追認に過ぎません。
「何より大事なのは良き読者です。どのような文学賞も、勲章も、好意的な書評も、僕の本を身銭を切って買ってくれる読者に比べれば、実質的な意味を持ちません。」
P102
「何かを求めていない自分」というのは蝶のように軽く、ふわふわと自由なものです。考えてみれば、とくに自己表現なんかしなくたって人は普通に、当たり前に生きていけます。しかし、にもかかわらず、あなたは何かを表現したいと願う。そういう「にもかかわらず」という自然な文脈の中でわ、僕らは意外に自分の本来の姿を目にするかもしれません。
P148
読んだ人がある部分について何かを指摘するとき、指摘の方向性はともかく、そこには何かしらの問題が含まれていることが多いようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小説家・村上春樹が生い立ちがら作家になるまでと、小説家としての生き方や考え方について語る。要点を列挙すると、
・小説家になるには読書することが大前提
・著者は読書の他に音楽や海外生活を好む
・自分の事は自分で決める。独立心が旺盛で他人に頼らない。熱中せず、集中するタイプ
・店を持ったことが、人間観察の場になった
・小説の新しいジャンルを開拓したと見做されているが、賛否両論があることも知っている
・作家が相手にするのは、熱心な読者である。これは一貫したポリシー
・小説家は、努力も才能も必要。精神的にタフでないと務まらない
・外部への発信は少ない。必要最小限に留める。同じ名字の村上龍とは対称的。
この本は、小説家になるにはという本ではない。著者の本音が随所に出ていて面白かった。 -
誰の依頼でもなく今現在の小説家としての考えをまとめた文章をテーマ別に書いており、その半分が雑誌に掲載されたのち単行本としてまとめられた作品。
村上春樹さんの書いた本はほぼすべて読んでいるので、知っているエピソードも多かったけど、新しいものもあったしさらに深く書いてあるものもあってとても興味深く読めた。
小説を書くという事にどこまでも真剣に取り組んでいるし、それを35年に渡って続けているところに深い尊敬の念を抱いた。 今では新刊を出すとアメリカでもベストセラーランキングの一位になるそう。
今までもぼくの最も尊敬する作家でありアーティストだったけど、その思いをさらに強くした本でした。 -
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作家になった経緯を知った。
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土居裕美子先生 おすすめ
83【一般】914.6-M
★ブックリストのコメント
作家自らが小説についての考え方を語ります。「何よりも必要とされるのは著者と読者の間のナチュラルな自然発生的な信頼の感覚」など、あらゆる「職業」に共通する心構えと覚悟に注目です。 -
村上春樹の小説が好きでよく読んでいるが、村上春樹がどんな人か知らなかったので読んでみた。
小説と同じでとても読みやすく、一気に読み終わった。
内容は、小説を書き始めたきっかけ、小説の書き方、村上春樹が考える小説の在り方などが書いてある。
自分の勝手な想像では、高慢で読者の意見など全くきかない人と思っていたが、実際はとても謙虚で読者のことを考えてくれているということがわかった。
今まで、自分のような教養のない人間が小説を読むことに後ろめたさを感じていたが、本書を読んで、村上春樹から小説を読むことを許可された気がした。
これからは堂々と小説を読むことができると思う。 -
氏が小説家になった経緯、創作のプロセス、当時の反応などが、講演のログのような文で書かれている。
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心に響くフレーズ!!
①「作家は贅肉がついたらおしまいですよ」
②「リズムを乱さない」