職業としての小説家 (Switch library)

著者 :
  • スイッチパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884184438

感想・レビュー・書評

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  • 彼の作品は、メタフォリックで夢心地で投げっぱなし感があって、捉え難く無定形な印象があるけど、実は心理の深い所で読者と通底しているという確固とした信念があった上での表現なのであって、そういう意味で、まったく自己完結した、閉じたテクストなのだと思う。このエッセイも、彼の仕事ぶりを精密に正確に描写することで、作品と同様に、彼の作品を書く行為について自己完結が全うされている、そう思った。

  • まあいろいろよく考えている人だと思う。こんなに偉くなるなんて思ってなかったわよね。

  • 家のあちこちに本を配置し、隙間時間のながら読み愛好家の自分だが、なんとなくこの本はトイレ前に立てかけた。
    表紙の村上さんがトイレの門番みたいで、前にも書いたけど、自分の村上春樹さんのイメージは安西水丸さんのイラストで固定されてしまっているから、めっちゃ似てるわ。と毎度ニヤニヤしながら便座で本を開く。

    村上さんの個人的な小説家の在り方、創作のルーティン、文壇や賞への態度だったり。
    小説を漫然と読んでいる自分からすると、普段意識していない人称の問題だったり、テキストの役目(読者に咀嚼されることで、読者の手にわたる前に著者によって捌かれてしまったらテキストとしての意味や有効性が大幅に損なわれてしまう)とかアー確かに言われてみれば、と読書の視点が立体的に変わる。

    意外だったのは、小説として世に出すまでに何度も推敲を重ねていると書いてあった点だ。
    筆致が軽やかで柔らかなので、一筆書きではないけれど、すらすらと書き進めている印象があった。それは逆で職人的な凄さ、トンカチで何度も叩いている、具体的な回数にも及んでいた。
    そういえば太宰もあんな文体だが、何度も書き直しをしていると何かの本で読んだ。軽やかに見えて、工夫を凝らし、読者の心を巧みにつかむのは、練り直して書かれたいうなれば時間をかけて熟成されたものなんだなぁと。
    あまりにも自然な技術で見過ごしてしまう小説の凄みをもっと発見することで、読書の楽しみが深まる。それを気づかせてくれた一冊。

  • 村上春樹さん初読。エッセイは良いと聞いたことがあったので。
    わたしも小説を書いているので、タイトルに惹かれて。

    第10回 誰のために書くのか?
    いきなり心を掴まれた。
    「気分が良くて何が悪い?」

  • 5年前に読んだ本の再読。とても興味深かった。近年、ノーベル賞の頃になるとハルキスト達が大騒ぎだが、当のご本人はこういう考えを持たれているのだなと分かった(文学賞について)。村上文学はとても読みやすいイメージがあり、スラスラと淀みなく執筆されているのかと思ったら、かなり大変な推敲を繰り返し、時にはほとんど全てを書き直すという作業の繰り返しを経て提供されていることもわかり、イメージ違いすぎて驚愕だった。

  • マックス・ウェーバー著作の書名をもじっているのはご愛嬌として、大なり小なり小説家というものはいろいろと言わずもがなののことを言うんだなあ。まあ、小説家だけでなく市井のサラリーマンもそうだけど。
    ーーーーー
    いま、世界が渇望する稀有な作家──村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊!

  • ノルウェーの森が読めなくて、距離を何十年と置いて来たところで、小説以外なら読めるだろうと思って読みました。面白かった。初心者向けの小説から読みたいと思いました。探してみます。

  • 小説家という職業に対する適性、自らが歩んできた生き方。

    作品を世に出すことについての大作家の悩み。

    ひどいことを言う人なんて山ほどいますし、やはりそういう経験をされているのは村上先生だって同じ。

    私はノルウェイの森がずっと好きですよ…
    迫力のある言葉の数々…
    一人の人間として話してくださってるのが嬉しかった。

    謙虚でらっしゃる。

    何より自己管理がきちんとできている。

    そういう点でやはりこの人は最強なのだと思う。

  • 常々ムラカミハルキの小説は読んでる時が面白くて「音楽みたいだな」って思っていたので、合点がいった。意外だったのは、読者に作品を届けることに関して思った以上に熱心で積極的だったこと。作品について読者がどう思おうと(もしくは読まなくっても)気にしないのかと思っていた。自分の作品を受け入れてもらうために、多くの人と関わって努力して自分で切り開いた今日なんだと知った。

  • 共感と学びの多い興味深い本だ。小説を自分の職業と置き換えても、大切にしたい考え方が学べる。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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