職業としての小説家 (Switch library)
- スイッチパブリッシング (2015年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884184438
感想・レビュー・書評
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小説家としての今の考えを色々なテーマで語ったものです。タイトルにもあるように職業小説家の本分のようなものを真摯な文章で綴られています。特にオリジナリティーや文学賞についてのテーマは面白かったです。
初版10万部のうち9万部を紀伊国屋が買い取りアマゾン等のネット販売に対抗したことで話題にもなった著書です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・1日何時間と決めて、毎日続ける。日々の積み重ねが大事。
・テンポを大事に、編集に時間をかける。
・極端に嫌いな人と、極端に好きな人の二極に分かれてる。
・海外でも売れているのは会社が営業をやっているのだと思っていた。
自分から営業して売り込んで行ったということ、少なくとも自分にはできそうにない。
海外でも売れるということは、日本で売れるという評価も間違ってはいなかった。
・「風の歌を聴け」は、一度英語にして、さらに日本語に訳したという。
最初読んだ時に、随分と無駄がなくスマートな文章と感じたけれど、こういう過程が
あったから感じたのかも。
最初は売れている作家ということがきっかけで読み始めた。
小説もエッセイも好きで、文章のテンポの良さが心地よい。
そんな作品の制作にはいつも泥くさい作業があったということ。
勇気付けられる。 -
村上春樹の小説はあまり読んだことがないけど、エッセイと翻訳は結構読んでいるが、軽妙で読みやすく、しかし頭に残る文書ですごいな。
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出たのは少し前かとは思いますが
すでに功なり名を遂げた人物の
ありがたいお言葉集ですよね。それは避けられない。
こんなにカッコつけて写真をつけてそれは避けられない。
しかし60も後半にきているのにこの写真のふてぶてしい感じは
自分のパブリックイメージを知ってても知らないフリを突き通す
小説家らしいフィクションに塗れた在り方ですね。
とまぁ、知ってはいたけど春樹のこと僕は大嫌いなんだなぁと思うわけです。
ただエッセイの出来としては悪くない。
職業としての、と書いてるけど規範ではなくあくまで春樹個人が
具体的にどのようにして書いてきたか、はぐらかさずに書いてる。
海外展開する際の流れも克明でわかりやすい。
もちろん、とりわけ個別的な職業なんだから、
春樹にとらわれず好きにやったらいい。
いや、誰しも個人的な人生だから好きにやったらいい。
この本は多分、そういうことを確認したい年頃にちょうど良さそうではある。
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どの作品をとっても「もう少し時間があればもっとうまく書けたんだけどね」というようなことはありません。もしうまく書けていなかったとしたら、その作品を書いた時点では僕にはまだ作家としての力量が不足していたーーそれだけのことです。残念なことではありますが、恥ずべきことではありません。不足している力量はあとから努力して埋めることができます。しかし失われた機会を取り戻すことはできません。(p.159)
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謙虚さよりは、ぎりぎりと角張った矜持を感じる。
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河合先生の駄洒落というのは、言ってはなんですが、このように実にくだらないのが特徴でした。いわゆる「悪い意味でのおやじギャグ」です。(中略)それは河合先生にとっては、いわば「悪魔祓い」のようなものだったのではないかと僕は考えています。(p.303)
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なんというか、他の人間がとりわけ取り上げられるのはこの章だけで
河合さんの大きさというものを感じると同時に、
春樹が日本にいる理由なんてほとんどなかったんだろうとも思う。
「悪魔祓い」ね、屈伸みたいなことだろうが、
社会の悪魔祓いはどうやったらいいんだろうかねぇ。 -
P131
新しい世代には新しい世代固有の小説的なマテリアルがあるし、そのマテリアルの形状や重さから逆算して、それを運ぶヴィークルの形状や機能が設定されていくのだということです。そしてそのマテリアルとヴィークルとの相関性から、その接面のあり方から、小説的リアリティーというものが生まれます。 -
丸善にて購入。新刊コーナーに平積みでした。
あとで書き写したいところが色々あるので、付箋付けながら読書中。書き写しが終わったら、ペイさんに貸し出し予定。 -
読み終わりました。
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エッセイというより自伝を読んでいる感じだった。村上春樹が、どういう風に小説家になったのかが描かれていた。
面白かったのは小説の書き方について書かれていたところだろうか。書いて寝かして、直して寝かしてを繰り返すのは、予想していた通りの書き方だった。物語をどういう風に作って、日常を切り取り、観察してきた人をどうやって小説の中に入れるのか。その点を村上は重要視しているのだろう。
最近、健康を気にしている私にとっては村上の毎日書き走るという生活は魅力的に思える。どの小説家も言うのが、書くのは体力がいるということ。頭を使うには体が大事だ。
面白さはそこまでないが、そこそこためになることが書いてある本だった。 -
エッセイ