ぼくは猟師になった

著者 :
  • リトル・モア
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本棚登録 : 498
感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898152447

感想・レビュー・書評

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  • 罠の説明とか解体の方法とか。わかい猟師さんの話

  • <運送業を生業とする猟師>の著者。
    子供の頃から動物が好きで、将来は獣医にと思っていたが、
    紆余曲折あり断念せざるをえなかった。
    それじゃあと、副業で正に”猟師になった。”
    ホームグラウンドである京都の山でのターゲットは「鹿」と「猪」。
    できれば「猪」だそうだ。手法は”ククリワナ猟”。つまりは獲物の脚が
    ワッカに掛かって抜けなくなるというもの。ということはそっから先は
    獲物との格闘。ん〜〜、男です!
    ただ狩るのではなく”命を戴く”という著者のしっかりとした考え方に惚れます。
    その後の調理法なんかもしっかり教えてくれていて、嬉しい一冊。

  • 目からウロコでした。

    千松信也は幼いころから虫や動物が好きで自然とふれあいながら育ったそうです。
    京都大学在学中に4年間の休学を決意し、アルバイトをして貯金したりアジア放浪をしたりボランティアに従事したり。
    その後バイト先の運送会社先輩からワナ猟の手ほどきを受け、猟の道に入ります。
    銃は「ズルイ」ので使わずあくまでも「ワナ」。
    そのワナ(ククリワナ)の作り方から、シカ・イノシシの解体の仕方、革のなめしかた、肉のいぶしかたまで丁寧に写真つきで解説してくれています。

    現代社会に生きているわたしは「肉」といえばスーパーでパック詰めされているものしか想像力が働かなくなってしまっています。
    獣の匂いもそれが生きて動いていたという痕跡も残さないパック詰め。「肉片」の状態での対峙。
    しかし本来、「肉をいただく」というのは、もっと神聖なものなのではないでしょうか。
    この本を読んでると私には肉を喰らう資格はないな、と思いました。
    人と獣の関係を根底から考え直させられる貴重な機会でした。

  • こんなおもしろい本から今年の読書生活をスタートできたことがとてもうれしい。資本に従属した「エコ」や「スローライフ」とは一線を画す著者の生活、考えが生き生きとつづられる。
    自然の尊さとか田舎暮らしの醍醐味とかではなく、「生きる」という人間にとって最大の関心事に興味津津な著者自身が、僕にはとてもおもしろかった。いい給料もらってることが「生きる」につながっているのかかなり曖昧であるし、お洒落でスマートでモダンな都心に暮らし、労働することで、いつのまにか自分と東京の区別がなくなってしまったようなのである、僕は。山から出て高層ビルに囲まれて暮らすことが進んでる生活なんだろうが、いつのまにか僕らは逆立ちして世界を歩き、世界を認識してしまっているのだろう。
    イノシシを殺し、その血を抜き、熱い内臓を引っ張りだすような肌感覚の生活と、権力に従属して吸い取られる毎日を抜けだし、自分の利益に興味津津な生活を東京でも送れたらと思う。
    というわけで、京大出て猟師やってるなんて変な人だなぁ、なんて思いつつ本を買った自分がちょっと恥ずかしいのでした。

  • 猟師さんによるリアル猟師ライフエッセイ。文章がソツなく上手いので、スラスラ読める。獲物の生々しい解体の方法も、写真入りで分かり易く解説してくれる。「可哀そう」とか「残酷」とかと別次元の野生動物との関わり方、少し世界が広がりました。

  • まずなぜ猟師になろうとしたのかが気になりました。よめばわかりますが。
    私たちは工場で処理され、パック詰めされた「肉」の一片しか普段目にしません。でも猟師は獲物をとり、自らさばき、無駄にせず食すところまでを仕事としています。動物をさばいている写真をみると残酷とも思ってしまいますが、本来は同じことをしているわけです。いやなところを誰かに任せ、いいところだけを食べていると言ってもいいかもしれません。こんな風に普段見過ごしてしまいがりな「食」についても考えることができると思います。

  • 非常にわくわくする。人という種の真の意味での生命、食を得るということ。おいしいということ。いろいろな思いが脳裏をよぎる。
    『そばかすの少年』や、『大きな森の小さな家』などを好きな人は格別の思いがするでしょう。
    森に行きたくなります。

  • 思ってたのと違ったけれど、とても興味深く読んだ。作者が猟師になるまでの経緯とか、猟師とはとか、「いきものを食べる」ことに対する姿勢について書かれていることを期待して読み始めたけれど、獲物のとり方や、道具、季節による違い、どのように免許を取るか、どのような団体があるのか、猟/漁の種類、肉、内臓、骨、毛皮の処理の仕方、保存食の作り方、調理器具、などなど、具体的にどうするのかということが写真とともに記述される中に私が読みたかったことが混ざっていて、そういう具体的なことの描写の仕方の中に私が知りたかったことが隠れていたような気がした。猟をはじめたいと思っている人には入門書にもなると思う。とても、まっとうな生き方のことを書いた本だと思った。

  • 日本に於ける猟、しかも罠による猟についての情報ってほとんどなかったのでこれは貴重な一冊だと思う。

  •  現代日本の京都で猟師になった若者の手記。

     猟銃による狩猟ではなく、罠による狩猟で獲物を得て生活する様子が素直で読みやすい文章で綴られている。自分の住む京都近郊で、動物を狩るという行為を通して自然の恵みを享受し、生計を立てることが可能なことを知った。とても、興味深く読むことが出来ました。これで、野山を歩くときにも違う感慨を得ることでしょう。

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著者プロフィール

1974年兵庫生まれ、京都在住、猟師。京都大学文学部在学中の2001年に甲種狩猟免許(現わな・網免許)を取得した。伝統のくくりわな、無双網の技術を先輩猟師から引き継ぎ、運送業のかたわら猟を行っている。鉄砲は持っていない。08年に『ぼくは猟師になった』(リトルモア)を出版(現在・新潮文庫)。twitterアカウント = @ssenmatsu

「2015年 『けもの道の歩き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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