シャイロックの子供たち [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 映画とは全然違うストーリーだなと思ったけれど、最後はなんか同じかもと思わせる内容。

    しかし、池井戸さんの作品を読んだら、銀行員になりたい人いなくなるなと思うが、銀行員の友人の話を聞くと現実とそんなに乖離はないらしい。すごいな銀行員。

  • Audibleで読みました。
    少し前に読んで記憶が曖昧なのですが、主人公の北川とマイペース上司の西木の2人が、銀行の闇に切り込んでいくミステリー要素の強い池井戸作品でした。
    ラストのくだりは、子を持つ親である私は間違いなく西木がどこかで生きていると確信しています。いつか家族と会える日を信じて姿を消した。銀行という戦場のような組織の中でも、信念をもって生きた男の魂のようなものを作者は言いたかったのではないでしょうか。

  • 最初は繋がりのなさそうな話の連続で銀行の世界そんな知りたくないわと思って辞めてた
    でも、映画の予告見て興味が湧いた
    終盤、事件の全体像見えたと思ったら勘違いの可能性が匂わされて終わってしまう
    最後は想像させるパターンの終わりだった
    スッキリはしなかったけど面白かった

  • 銀行を舞台にしたミステリー小説。
    やっぱり池井戸潤、とてつもなく重い。

  • 銀行内で起こった現金がなくなる事件…様々な行員のかかわり方が、その人自身の生活とともに現れていく・・・・最後の方は見終わるまで眠ることができないので・・・・短時間で読み終わりました。

  •  半沢直樹の活劇の舞台となった銀行と随分イメージが違う銀行があからさまに描かれている。
     東京、大田区にある長原支店。街工場の多い地域の銀行。大田区は下請けの街工場が多く、バブル崩壊後、製造業はうまくいっているところは少ない。
     高校卒のたたき上げ副支店長の古川。「上司に逆らうな。目標はやり遂げることに意味がある」と思っている。顧客に損をさせるような金融商品は勧められないと嘯く入行3年目の融資課の大卒の小山は営業成績が悪い。小山の態度が気に入らないと古川は殴ってしまう。おい。おい。いつの時代なのだ。モーレツ社員でも行き過ぎている。小山は全治2週間で、古川の傷害事件を刑事告発する。古川副支店長は、上昇志向が強く、出世レースから脱落することを恐れている。銀行は減点主義で簡単に脱落させる。サバイバルゲームそのものだ。ふーむ。上司によって、組織のあり方が随分変わるものだ。古川の銀行感は、まるで軍隊である。こういう輩が銀行の管理職にいると思うだけで怖い組織だ。
     北川愛理は、慎ましやかな家庭で育ち、金銭感覚もきちんとしている。おぼっちゃまの三木に好かれて、少しお金の使い方が変わる。三木はスキーに誘うが、愛理はお金がないので断る。
     そんな背景の中で、100万円が紛失する。愛理のカバンのなかの単行本に、帯封が挟まっていた。愛理は100万円を盗んだという濡れ衣を着せられる。それを敢然と愛理はやっていないと営業課の課長代理西木は擁護する。いつもは、ヘラヘラして、セクハラまがいの言動が多い西木が自分の部下は守るのだ。そして、西木は愛理のカバンにあった帯封についた指紋を調べる。そういう西木が、失踪する。
     古川が、業績の悪い部下を徹底して批判する。精神に異常をきたす行員も出てくる。怖い話だ。
    西木がなぜ失踪したのか?を、物語は少しづつ解きほぐしていく。ふーむ。そんな風に物語は進むのか。それにしても、銀行は、随分とおぞましい組織であることを徹底して暴く。
     シャイロックは、シェークスピアのベニスの商人で出てくる強欲、無慈悲な高利貸しである。所詮、銀行員は、シャイロックの高利貸しの系譜にある人に過ぎないと池井戸潤は言いたいのか。ここでは、バンカーらしき人は、出てこない。愛理のテキパキした銀行員の雰囲気がなんとも言えずいいなぁ。
     ネットバンキングなどで、大きく銀行をめぐる状況は変わってきている。銀行はどんな方向に進んでいくのか。興味がある。

  • 続きを読みたい。

  • 映画化されるので、10数年ぶりに再読。

    東京の下町を拠点とするメガバンクの長原支店で働く銀行マンたちが入れ替わり主人公をつとめる連作短編集。ノルマ遂行、現金紛失、パワハラ、社内恋愛など、銀行によくあるトラブル、トピックが集まる。当然、いつもの池井戸作品らしく最後はスカッとした快感を味わえ、働く人に元気を与えてくれると期待するが、中盤からリーマン小説らしからぬ展開へ。そして、本作品が実は、犯罪ミステリーだったことに気づく。

    「半沢直樹」や「下町ロケット」よりも前の作品であり、これぞ池井戸作品というスタイルが確立していなかった。が、この粗削りさは、それはそれで意外性があって面白い。

    しかし、この作品で描かれる当時の銀行マンスタイルは、出世こそが人生の目標で、自身は生涯を銀行に捧げるというもの。これが令和時代の映画に持ち込めるのかが心配だ。

  • 昭和の縦社会を象徴する、とある大手銀行にて、「金」が引き金となり、次々と従業員の人生が沈んでいく話。
    反吐が出るほど、第一章で登場する支店長代理に拒否反応を起こした。
    日系企業の管理職の大半が、思考停止状態で会社の歯車となり、腹いせを同僚にぶつけてたんだろうな。
    自身の幸福を追求できる現代に生まれてきて良かった。

  • 池井戸作品は総じて好きだが、この作品は内容が分かりづらいし盛り上がりもない。正直言って特に面白くなかった。
    銀行のとある支店を舞台にしているものの、章ごとに主人公が入れ替わり、それぞれの立場や考え方からストーリーが展開されていく。
    そしてそれが徐々に繋がっていく、はずだのだが、理解力のない私にとってはその繋がりがイマイチ理解しきれず、読了後に何とも言えない未達成完だけが残った。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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