人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人工知能ブーム
    一次 1956-1960
    二次 1980
    上限値と期待値を切り分けて読むこと
    人工知能を搭載した製品はできているが、人工知能、人間のように考えるコンピュータはできていない
    世の中で人工知能と呼ばれるものの整理(人工知能をエージェントと捉え、入力と出力の関係から考える)
    ①単純な制御プログラム:言われたことだけをこなすアルバイト
    エアコン、掃除機、電動シェーバー
    ②古典的な人工知能:たくさんのルールを理解し判断する一般社員
    将棋のプログラム、質問に答える人工知能
    ③機械学習を取り入れた人工知能:決められたチェック項目に従って業務を良くしていく課長
    サンプルとなるデータをもとに、ルールや知識を自ら学ぶ。検索エンジンに内蔵されている
    ④ディープラーニングを取り入れた人工知能:チェック項目まで自分で発見するマネジャー
    機械学習をする際のデータを表すために使われる変数(特徴量という)自体を学習するもの
    →特徴量をどう作るかが機械学習における本質的な問題
    学習するとは、分けること。認識や判断は、イエスノー問題として捉えられる
    分け方5つ
    最近傍法
    ナイーブベイズ法
    決定木
    サポートベクターマシン
    ニュートラルネットワーク
    学習には時間がかかるが、予測は一瞬
    →高齢化社会において高齢者の判断、識別能力を役立てることは重要かも
    グーグルのネコ認識:データから概念を作り出す。教師なし学習

  • 最近よく耳にする人工知能。しかし、どのメディアもAIを搭載した最新のすごい機械としか云っておらず、何がすごいのかさっぱり分かりませんでした。ディープラーニングなんて聞いてもピンときません。
    本書はそんなド素人でも理解できるように丁寧に作られています。AIの歴史から現在、そしてこれからが事細かく書かれていて、AIの基本を学ぶには最適な一冊だと思います。今まで断片的でしかなかった知識が集合したような感覚がして、読んでいて楽しかったです。それと同時に日本の将来に不安も……。出版が2015年ということで、技術も進歩していることでしょうし、また別の本も読んでみようと思いました。

  • 本書によれば、現在の第3次の人工知能ブームは、人工知能に関する大きな課題であった「特徴表現の獲得」が、ディープラーニングという特徴表現学習によって解決されつつあり、これが大きなブレークスルーになって起こっているのだという。

    ディープラーニングは、機械学習において「長年の知識と経験がものをいう職人技」であった特徴量の設計(特徴表現の獲得)を、コンピュータ自ら行うことができるようにした。

    その原理は、「教師なし学習を教師あり学習的なアプローチで」やること。すなわち、「本来なら教師が与える正解に当たる部分にもとのデータを入れることによって、入力したデータ自身を予測する」自己符号化器(=情報圧縮器の一種)の真ん中にある細くくびれた「隠れ層」から、「復元エラー」が最小になるように調整された特徴表現(特徴量)を抽出し、その特徴量を多階層化して高次の特徴量(より抽象度を増し、概念化された特徴量)を得る仕組み、とのこと。

    う~ん。何となく分かったような、分からないような。この辺の説明は、直感的に理解し難くいなあ。

    著者は、人工知能技術の進展や社会でへの浸透にかなり前向きで、「真に自己を設計できる人工知能の実現は遠く」、「人工知能が人間を征服する心配をする必要はない」としつつも、人工知能の可能性を過小評価してはならず、長期的には、「非常に大局的でサンプル数の少ない、難しい判断を伴う業務」(経営者の仕事)や「人間に接するインタフェースは人間のほうがいい」という理由で残る仕事(セラピストや接客業)以外は、人工知能に置き換わってしまう可能性がある、と予想しているる。従って、我々人間は、将来的には「人間にしかできない大局的な判断をできるようになるか、あるいは、むしろ人間対人間の仕事に特化していったほうがよい」と。

    ホワイトカラーに求められる仕事の量や質、能力が大きく変わっていくとしたら、世の中どうなってしまうのだろう。AI技術の進展自体は素晴らしいことなのに、一抹の不安が払拭できない。

    機械翻訳について、現在のものは、「対訳コーパスという日本語と英語が両方記載された大量のテキストのデータを使って、「英語でこういう単語の場合は日本語のこの単語に訳される確率が高い」「英語でこういうフレーズの場合は日本語のこういうフレーズに訳される場合が多い」と単純に当てはめていく」だけだが、いずれ、コンピュータが抽象概念を獲得し、それと「言葉(記号表記)」を結びつけることにより、「コンピュータはその言葉とそれがが意味する概念をセットで理解する」ことが出来るようになる。そうしてはじめて「コンピュータによる翻訳が本当に実用に耐えるものとなる」のだとか。機械翻訳は最近かなり精度が良くなったと思っていたのだけれど、やはりまだまだなんだな。将来に期待、というところ。言葉や言語の難しさ、奥深さが理解できたような気がする。

  • 人工知能:データの中から特徴量を生成し現象をモデル化するこのできるコンピューター

    作ることで理解する⇔分析的

    特徴量=データの中のどこに注目するか

    ディープラーニング:データをもとに、コンピューターが自ら高次の特徴量を獲得すること。
    多層のニューラルネットワークを高い精度で実現
    ・一層ずつ階層ごとに学習する点
    ・自己符号化器(オートエンコーダー)という「情報圧縮機」を用いる点=出力と入力が同じにして答え合わせ
    真ん中の隠れ層が細くくびれており、復元エラーが最小になるように重みづけが修正される

    ディープラーニングのしていることは、その実、
    主成分分析を非線形にし多段にしただけ

    ちょっと違った過去のデータ(ノイズを加えて)をたくさんつくりそのデータで学習し、精度のよい特徴量を見つけ出す
    ニューラルネットワークのニューロンを一部停止させる方法も頑健性の向上に使われる手法

    残る仕事:大局的サンプル数の少ない仕事。経営者
    人間と接するインターフェースは人間のほうが良い仕事

  • 東大の松尾先生の著書。情報系に興味のある高校生・大学初年度の学生にオススメ。知っておくべき内容がわかりやすく解説されている。何気に表紙絵が3Dアニメ作品の"イヴの時間”になっているのもポイント高い。

  • 人工知能の権威が執筆した書籍。
    人工知能のこれまでの経緯から最新の情報、人工知能のフェーズごとの特徴まで紹介されている。
    ボリューミーで難しい内容も含まれているが、人工知能の入り口としては良い本だと思いました。

  • 第3次ブーム真っ只中の人工知能に関する啓蒙書。今なぜ人工知能なのか、そしてそれがどう社会を変えていくのかをわかりやすく解説してくれる。
    表現学習が人工知能研究にとっていかに大きなブレイクスルーであるかがわかると同時に、人工知能研究というのはまだその程度のものであることもよくわかる。人工知能を活用したという各種サービスの内実というのは、そのくらいのものなんだな。
    その可能性には部分的に希望を持ちつつ、とはいえブームによくある過度の期待からは距離を置いて、というくらいが人工知能界隈に対するスタンスとしてはいいのかもしれない。

  • AmazonAudibleで。

    今まで人工知能に関する予測は大抵、希望的観測に寄りすぎてちょっと早まり続けてきた。
    早晩人工知能は社会に浸透するだろうが、シンギュラリティが起きるかどうかはまだ宝くじを買うようなもの。
    でも6億当てるのに比べればかなり分がある賭けだよ。と。


    この本、紙で読んだのをもう一度音声で聞いたことになるけど、けっこう前回と印象が変わった。
    と言うか、今回は「あんまり人工知能に期待するなよ」というメッセージを多く受け取った。

    同じ人の同じテーマの本を複数読めばどうしても聞いたことある話ばっかりになるからかも。

    そして物語と違ってこういう本は一回流し読みしただけじゃ大して知識になってないなーと反省。
    趣味で読むんだからいいんだけど。

  • 東大の人工知能の第一人者が書いているが、技術的な話だけでなく世の中の動きなどを交えて人工知能というのを俯瞰している。何ができて、何が幻想なのかをきっちり分けることができる。

  • 人工知能研究がどんな段階を経て進んできたか、何が課題か、これからどうなるのか。目の前で話しかけられるような、わかりやすい語り口でロジカルに書かれている。基礎の基礎を知りたい人におすすめ。2015年頃の話だけれど普遍的なことが多く今でも十分役立つ。

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著者プロフィール

1953 年、新潟県五泉市生まれ。1978 年東京教育大学教育学部芸術学科(彫塑専攻)卒。1989 年、毎日新聞社主催・毎日郷土提言賞富山県優秀賞受賞。
著書に『新潟街角の芸術̶̶野外彫刻の散歩道』(新潟日報事業社,1987)、『富山の野外彫刻』(桂書房,1991)

「2015年 『パブリックアートの展開と到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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