同志少女よ、敵を撃て [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  •  戦争ものの話は、好きじゃない。
     読んでる途中も、気分が悪くなりつつ、それでも作品に引き込まれた。

     従軍看護師ターニャの行動、発言が最も心に響いた。本当に、誰もがターニャのような考えを持っていたらいいなと思う。でも、自分の行動を正当化しながら、周りに流されながら、悪事も悪事と思わず、私は生きている気がする。

  • 「大祖国戦争」とソ連、そしてロシアが呼ぶ、所謂第二次世界大戦の、若い女性兵士が最前線に立つというソ連赤軍独特の歴史をシリアスに描く名作。

    後半の印象的な台詞、
    「もう戦争は終わる。そしたら、平和の時代は終わらないさ。世界中が戦争の恐ろしさをいやってほど知ったんだもの。きっと世界は、今よりよくなるよ」
    があまりにも皮肉に響く。
    人類は歴史から何も学ぶことができないのか。

    今まさに読むべき一冊。

  • これがデビュー作ということにまず驚く…
    研究者なのだろうか?このテーマを描いた理由を知りたいなあ。

    ウクライナ侵攻の歴史的背景がよくわかる小説だとネットで紹介されており読み始めたのだか、途中ウクライナでの出来事とリンクし辛くなり読むのをヤメた。3週間ほど寝かした後になんとか読了。
    ファンタジー小説やSF小説ならばよく見る光景なのだが、現実世界の出来事だとして描かれているのであればあまりに壮絶すぎる。。。

    マンガ、映画、小説。
    バーチャルな世界で悲惨な出来事を体験しすぎて感覚が麻痺しているが、それは温度のないものなのだと今回痛感した。

    戦争は二度としてはいけない。
    そんな言葉を今一度しっかり噛み締めよう。素直に思える。

  • 女性狙撃兵が主人公の重厚な物語。
    兵士としての覚悟や強さと、年頃の女子らしい葛藤や優しさが見える姿になんか色んな線引きが曖昧になる感覚がしたよ。最後は予想外だったけど個人的にはめちゃ好きな終わり方!読んでよかった。

  • 11回アガサ・クリスティー賞受賞作品、独ソ戦に活躍した、赤軍女子狙撃隊が出こわした悲劇の数々をサスペンスタッチで緊迫感を以って描くノンヒクション風長編大作。

  • なかなか読みごたえがあって、面白く読み終えた。
    ストーリーに一貫性があるところがこの作品の魅力か。表紙のアニメ的な絵とは一線を画すしっかりとした内容だった。
    それにしてもこの著者はなぜソ連を舞台にこのような作品を記したのだろう?日本にいると、だいぶ遠い存在だという気もするのだが。

  • 圧巻。『戦争は女の顔をしていない』が、この本は女の顔の戦争を教えてくれる。戦争とはなにか。どのように殺人を合理化するのか、どう敵に向かって行くか。異常が日常になる生活で、徐々に感覚や考え方が鈍麻していく。
    戦争の中で、女はどうあったのか。女のために戦う、とはどういうことなのか。幼馴染を自らの手で射撃するラストのシーンでは胸を打たれる。イリーナは、全てを請け負い少女たちを生に向かせていた。復讐に燃えた相手は、もとより女のために戦い、女たちを救っていた同志だった。
    戦後、狙撃兵が不必要となった後、彼女たちはどう生きるか。多くの命を奪い、大切なものを失い、負傷した体と生きていく。愛するものと趣味この2つが必要。それがなければ、心を病む。敵も味方も関係なく全ての人が戦争の犠牲であると思う。緊迫していた戦争とその後はとてもギャップがあり、驚き半分ホッとする。

    戦争だし、外国だし、難しいから読むの苦労するかと思ったらスラスラ読めた。物語に引き込まれていた。戦争、女、命いろいろ考えさせられた。

  • ページターナー。
    銃についての知識がすごいです。
    銃だけでなく、この本を書くまでにどれだけの資料収集をされたんだろう、と思わずにはいられない。

    まるでその場にいるような臨場感をここまで出せるとは。ものすごく生々しくて、脱帽。いい読書した、、、

    ナチドイツ対ソ連チャプターについてもっと知りたくなる。

    ロシアとウクライナのことを思うと、、。

  • ひとつひとつの戦場の描写が臨場感があり、ページから目が離せませんでした。

  • わずか18歳で母と住んでいた村の人々を目の前で殺され、その場でイリーナに生きるか死ぬかを決めさせられた。セラフィナは狙撃兵として養成され、最後まで残った5人のうちの1人となり、最高司令部直属の狙撃専門の独立小隊として参戦する。
    狙撃兵としていつか母の仇を打ち、イリーナを殺す事だけを胸にセラフィナは戦果を上げていく。

    独ソ戦について詳しくなかったが、これほどの被害をお互いが被っていたとは。また、ソ連とウクライナ等の周辺国・民族との関わりは、複雑な歴史の上にあることもわかった。「戦争は女の顔をしていない」を途中までしか読んでいないが、戦後の女性兵士への扱いはひどい。女性の待遇はソ連はアメリカやドイツより進んでいる、といいながら、ドイツ人女性に乱暴を働いた赤軍兵士たち。同様にソ連の女性に対する乱暴もドイツ軍は働いていて、お互いが戦後その事に口を閉じた。結局は女性が被害を被る。ミハイルの本音はどうだったのかわからないが、セラフィナには下品な男にしか見えなかったろう。

    ものすごく力のある作品。戦時下の暮らしや狙撃兵の扱いなどがよくわかり、次々と人が亡くなっていくのにも、戦争中だからな、と納得してしまう。
    女性を守るために戦う、と誓うセラフィナをイリーナは最後まで守る。

    ウクライナの戦争は長引いてしまうかも、と不安になった。

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著者プロフィール

逢坂冬馬(あいさか・とうま)
1985年生まれ。35歳。埼玉県在住。『同志少女よ、敵を撃て』にて第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。

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